ハノイのトレインストリートは、「2026年も入れるの?」「閉鎖されたって本当?」という疑問が絶えない場所だ。
結論から言えば、入れる。ただし、公式には立入禁止。実態は「カフェの客として入る」グレーゾーンが続いている。
ここでは、実際に訪れた経験をもとに、2026年時点の閉鎖・規制状況から時刻表、おすすめカフェ、行き方まで、必要な情報をすべてまとめた。
まずは30秒。現場の”ゼロ距離”を、その目で確かめてほしい。
トレインストリートは閉鎖?2026年の規制状況と入り方

「トレインストリートは閉鎖された」という情報は、正確には「半分YES、半分NO」だ。
当局は安全確保のため、観光客が鉄道の安全区域内で撮影したり、立ち入ったりすることを公式に禁止している。特に北側(フンフン通り)は規制の中心で、鉄製バリケードの設置や常駐警備の強化、店舗への行政罰が科されることがある。時期によっては完全閉鎖されることもある。
しかし、実態としては「線路沿いのカフェを利用する」形で入るケースが存在する。バリケードや警官が立っていても、カフェのオーナーやスタッフが入口まで迎えに来て、客を店内に「エスコート」する光景が日常的に見られる。
ただし、これは実務上の”柔軟な運用”に過ぎず、公式にこれを許可する規定は存在しない。店主に案内されて入った場合でも、立入制限区域であれば退去を求められるリスクがある。
なお、入場料は不要だ。もし入場料を要求されたら、それは詐欺の可能性を疑った方がいい。
【注意事項】
旅行者が「カフェのオーナーに案内されて規制エリアに入る」行為は、ベトナム当局が公式に禁止し、取り締まっている「違法行為」に加担するものであるという法的リスクが存在します。訪問の最中に警察の抜き打ち検査に遭遇し、当局によってその場から「強制的に退去させられる」リスクを常に負うことになります。
トレインストリートの場所と行き方:北と南、どっちに行く?
トレインストリートはハノイ駅の北側と南側で二つの顔を持つ。
北側(フンフン通り Phùng Hưng)

旧市街から徒歩10分ほど。
最も活気があり、カラフルなカフェが密集する超人気エリア。壁画やランタンの装飾が映え、写真撮影にも最適。賑やかさ、スリル、写真映え、すべてを求めるなら北側がおすすめだ。
ただし、当局による規制・閉鎖が行われるのはこちらのセクション。
南側(レズアン通り Ngõ 224 Lê Duẩn / チャンフー通り Ngõ 5 Trần Phú)

北側に比べると人が少なく、よりローカルで「素朴」な雰囲気が漂う。取り締まりも緩やかで、出入りも比較的自由。ゆっくりと電車の通過を待ちたい、生活感を重視する派はこちらだ。
ただし、南側も鉄道の安全保護区域であることに変わりはなく、完全に合法・安全が保証されているわけではない。事故や抜き打ち検査があれば注意・退去・罰則の対象となる可能性はある。
北側が完全封鎖されている場合の代替としても有効だ。
アクセス方法
- Grab(タクシー):最も簡単で確実。「Hanoi Train Street」や「224 Lê Duẩn」といった具体的な住所をセットすれば、運転手も理解してくれる。
- 徒歩:ハノイ旧市街から約15分。旧市街散策のついでに歩いて行ける距離だ。
- バス:節約派なら。例えば36番バスは、フンフン通り16番地の向かいに停車する。
- バイク:柔軟に動けるが、ハノイの混沌とした交通に慣れていないと難易度は高い。
【2026年最新】列車時刻表
ここを通るのは南北統一鉄道と一部のローカル列車で、観光客が想像するほど本数は多くない。
毎日すべての便が運行するわけではなく、実際には1日3〜5本程度の日もある。 雨天や遅延で20〜40分ずれることも珍しくない。
ネット上の時刻表には2019年以前の古い情報が残っていることが多いので要注意だ。あくまで目安と考え、予定時刻の30分前にはカフェで待機するのが賢明だろう。
現地に行けば、カフェの店先に当日の時刻表が掲示されている。こちらが現地で撮影した時刻表だ(2025年10月撮影。2026年4月確認時点でも大きな変更は確認されていない)。

以下はネットで見つけた時刻表情報だが、上記の写真とかなり異なっていることがよくわかる。ざっくりと午前に2、3本、夕方ごろに2本、夜に4、5本といった感覚で捉えておき、現地でコーヒーやビールを飲みながら雰囲気を味わいつつ列車を待とう。
| エリア | 曜日 | 時間(目安) |
| 北側:ホアンキエム区セクション
フンフン (Phùng Hưng) |
月曜~金曜 | 08:30, 09:30, 11:50, 15:15, 19:50, 21:15, 21:30, 22:00 |
| 土曜~日曜 | 06:00, 07:15, 09:30, 11:50, 15:30, 17:30, 19:30, 19:50, 21:15, 21:30, 22:00 | |
| 南側:レズアン通りセクション
レズアン (Lê Duẩn) |
月曜~日曜 | 06:10, 11:40, 15:30, 18:00, 19:10, 19:50, 21:00 |
狙い目:写真映えなら昼間の光線も良いが、カフェのランタンが灯り、線路が幻想的に照らされる夜(19時以降)は、格別の雰囲気を味わえる。

トレインストリートのおすすめカフェ
トレインストリート観光の定番は、線路沿いのカフェに入って列車の通過を待つスタイルだ。どのカフェを選ぶかで体験がかなり変わる。

北側エリアのカフェ
RAILWAY TUAN CAFEは北側で最も人気のある店。内装も外観もフォトジェニックで、線路との距離が近く、列車通過の瞬間を撮影しやすい。ただし混雑するので、列車通過の30分〜1時間前には着いておきたい。
2階席があるカフェでは、上から列車を見下ろす構図も撮れる。迫力重視なら1階、ゆっくり眺めたいなら2階と使い分けるといい。

南側エリアのカフェ
Cafe Ga Đông Dương(インドシナ駅カフェ)は南側の人気店。フランス風の内装が特徴で、古い電車の座席が店内に置かれていたり、壁に電車のドアが取り付けられていたりと、鉄道好きにはたまらない空間。
The Railway Café 1990もおすすめ。レトロな雰囲気と2階からの眺めが良く、観光客が少ない穴場だ。

カフェ選びのポイント
列車が来る数分前になると、線路側のテーブルと椅子は一斉に片付けられる。このとき「立って線路際で見る」か「座ったまま見られる」かは、カフェによって異なる。座ったまま見られる店は線路から一段奥まった位置にテラスがあるタイプ。どちらが良いかは好みだが、事前にスタッフに確認しておくと安心だ。
ドリンクは、エッグコーヒー(cà phê trứng)やココナッツコーヒーなどベトナムならではのメニューがおすすめ。価格帯は40,000〜60,000 VND(約240〜360円)が相場。

安全のための絶対厳守ルール
忘れてはならない。ここはテーマパークではなく、本物の線路だ。
- 列車の警笛が聞こえたり、スタッフから指示があったりしたら、列車か巡回、いずれかの接近を告げる絶対の合図だ。スマホを構え続けるのは厳禁。速やかに指示に従おう。
- 列車が近づいている時に線路上に立ったり、三脚やカメラを線路上に置いたりする行為は、極めて危険であり禁止されている。
- 許可なくドローンを使用することも禁止だ。
- 子供連れの場合は、危険なエリアに入らないよう、絶対に目を離さないこと。
在住者が見た、事故2日後のトレインストリート
ここからは、実用情報ではなく「体験」の話をしたい。我々がトレインストリートを訪れたのは、カフェのテーブルが列車に接触する事故が起きた、わずか2日後だった。

当然、ストリートはピリピリムード。当局の担当者が定期的に巡回し、線路脇に障害物が出ていれば即座に指導が入る。
…はずなのだが。
目の前の光景に、我々は目を疑った。ストリート沿いのカフェは、そんな緊張感をよそに、線路ギリギリまでテーブルと椅子を広げ、満面の笑みで観光客を迎え入れている。その商魂、恐るべし。
誘われるまま、我々も線路脇の特等席でハノイビールを注文した。

「これぞハノイだ」と異国情緒に浸っていた、その時だった。
「Up! Up! Inside!」
突然、店のスタッフが表情を一変させ、電光石火の速さでテーブルと椅子を撤収し始めた。何事かと戸惑う我々を、半ば強引に店内へと誘導する。

その直後、ストリートの向こうから現れたのは、制服を着た当局の巡回チームだった。
どうやらこのストリート一帯には、当局の動きを監視する独自の高速情報網が張り巡らされているらしい。「巡回が来たぞ」の報は、店から店へと瞬時に伝達されるのだ。
そして、当局チームが「異常なし」と判断して通り過ぎた、わずか数十秒後。
カタン、コトン。
何事もなかったかのように、椅子とテーブルは再び線路脇にセッティングされる。この一連の流れは、もはや様式美。規制と共存し、スリルさえも日常のスパイスにしてしまう。これこそが、ハノイのリアルだ。
忘れてはならないのは、ここがもともと「観光地」ではなく本物の住宅地だということ。
2017年頃、Instagramをきっかけに世界中から観光客が押し寄せるようになったが、それ以前は子どもが線路脇で遊び、洗濯物がレールのすぐそばに干されている、ごく普通の生活空間だった。観光が生活に入り込んだのであって、その逆ではない。
カフェを経営して生計を立てる世帯がある一方で、静かな暮らしを望む住民もいる。カフェの扉の向こうでは、昼食の支度をし、子どもが宿題をし、お年寄りがテレビを見ている。我々は「舞台」ではなく、人の暮らしの中に足を踏み入れているのだ。
“ゼロ距離”の衝撃

列車は、見えるより先に「感じる」。遠くの警笛、足元にじわりと伝わる微振動、わずかに変わる空気の密度。その静かな緊張の数秒間が、じつは最も印象的かもしれない。
そして地響きとともに姿を現した列車は、信じられないことに、我々の目の前わずか数十センチを轟音とともに通過していく。
速度はスローだが、至近距離ゆえの強烈な風圧、身体の芯まで響く振動、狭い路地に反響する轟音。駅のホームで見る列車とはまったく異なる体験だ。
一部の店舗では、列車が来る直前にビール瓶の王冠をレールにそっと置いておき、通過後にぺしゃんこになったそれを”記念品”として手渡す演出をしているところもある。

トレインストリートの歴史
この線路は、フランス植民地時代の19世紀末、ハノイとベトナム各地を結ぶために敷設された、本物の鉄道網だ。
ベトナム戦争の混沌の中、爆弾が降り注いでも走り続け、人々の不屈の抵抗の象徴ともなった。戦時中も人々はこの線路脇で生活を続け、その結果、現在の「住居と線路がゼロ距離で共存する」稀有な景観が生まれたのである。

よくある質問(FAQ)
トレインストリートは閉鎖された?今も入れる?
「閉鎖」という情報は半分正しく、半分間違っています。北側(フンフン通り)は当局の規制対象で、時期によってはバリケードが設置され完全封鎖されることもあります。ただし、南側(レズアン通り)は比較的自由に出入りできる状況が続いています。北側も、カフェの客として入れるケースがありますが、公式に許可された行為ではありません。訪問前にInstagramで「#trainstreethanoi」を検索して、直近の状況を確認するのがおすすめです。
トレインストリートで事故はあった?危険?
はい、実際に事故は起きています。2024年にはカフェのテーブルが列車に接触する事故があり、これをきっかけに北側エリアの規制が大幅に強化されました。ただし、列車自体はこのエリアでは低速で通過するため、スタッフの指示に従い、線路上に立たない・荷物を置かないという基本を守れば、過度に怖がる必要はありません。警笛が鳴ったら即退避。これだけは絶対です。
夜と昼、どっちの時間帯がおすすめ?
どちらにも良さがありますが、個人的には19時以降の夜をおすすめします。カフェのランタンが灯り、線路が暖色の光で照らされる雰囲気は昼間とはまったく別物です。列車が闇の中からヘッドライトとともに現れる瞬間は格別。一方、線路の上を歩いて写真を撮りたいなら午前中〜15時台がベスト。夕方は逆光になりやすいので注意してください。
トレインストリートへの入り方は?入れないときは?
北側はバリケードや警備員がいることが多く、そのまま歩いて入ろうとすると止められる場合があります。カフェのスタッフが入口付近まで迎えに来て案内してくれるパターンが一般的ですが、公式に認められた方法ではありません。北側が完全封鎖されていた場合は、南側(Ngõ 224 Lê Duẩn)に回りましょう。規制がゆるく、入口もわかりやすいです。
列車は何時に通る?時刻表はある?
ハノイ発着の長距離列車が1日に数本通過します。時刻は固定ではなく遅延も多いため、カフェのスタッフに「次は何時頃?」と聞くのが確実です。本記事の時刻表セクションも参照してください。
子連れでも行ける?
列車通過時は壁際に退避する必要があり、小さな子どもには危険です。中学生以上で、保護者がしっかり管理できるなら問題ありませんが、幼児連れは避けたほうが無難です。
トレインストリートへの行き方は?
ハノイ旧市街から徒歩10〜15分。Grabで「Train Street Hanoi」と入力すれば近くまで行けます。Phùng Hưng通り沿いの入口が最もわかりやすいです。
カオスを楽しむ心構えを
ここは、安全が100%保証された場所ではない。そのスリルと現地の秩序(あるいは無秩序)を丸ごと楽しむ覚悟が、最高の思い出に繋がる。
旧市街からは徒歩でもアクセスできる。ハノイ旧市街の歩き方とセットで巡るのがおすすめだ。移動にGrabを使えば、ハノイ駅周辺まで数分で到着する。
この場所が今も人を惹きつけるのは、「危険だから」ではない。線路が生活から切り離されていないこと。環境と柔軟に共存し続けていること。列車接近時のスタッフの指示に従い、住民の生活空間をリスペクトする。その小さな配慮が、ここでの体験をより深いものにしてくれる。
日本では決して味わえない、この生々しい熱気と興奮。住んでいると、ハノイにはこういう「規格外」が当たり前のように転がっている。