ベトナム女性はなぜ魅力的なのか?──住んでわかった”明るさ”の正体

2025.11.15
文化・歴史

ベトナムの街を歩いていると、とにかく「よく笑う女の子が多いな」と思う。

カフェの店員さんが目を合わせてにこっとする。バイクの後ろに乗った女子高生がきゃっきゃ笑いながら通り過ぎる。市場のおばちゃんがこちらの拙いベトナム語に大ウケして、矢継ぎ早にベトナム語を返してくる。

ベトナム女性は「明るい」「情が深い」「自立している」とよく言われる。それは間違いではない。ただ、住んでみるとその一つひとつの背景に、歴史・家族文化・社会構造が深く関わっていることに気づく。表面的な「かわいい」「優しい」だけでは語れない、もっと厚みのある魅力がある。

この記事では、ベトナムに住んで現地の女性たちと日常的に接している筆者が、彼女たちの性格・恋愛観・結婚観・キャリア・地域差まで、できるだけ正直に書いてみる。


ベトナム女性の性格は?──3つの軸で理解する

ベトナム女性の性格をひとことで言うのは難しいが、住んでいて強く感じるのは次の3つだ。

① 情が深い。 家族・友人・恋人、あらゆる人間関係に全力で向き合う。連絡の頻度は日本の感覚とはまるで違い、「つながり続けること」が安心の証になっている。

② 自己主張がはっきりしている。 「気が強い」とよく言われるが、正確には「遠慮しない」。日本のような「察して文化」が薄く、不満も嬉しさもストレートに表現する。裏表が少なく、付き合いやすい面がある。

③ 家族を最優先する。 どんなにキャリア志向が強い女性でも、家族が最上位にくる。休日は家族で過ごし、結婚後も親との距離は近いまま。この価値観は世代を超えて一貫している。

この3つの軸は、以下のセクションで具体的に深掘りしていく。


「身だしなみ=誠実さ」という文化

ベトナム女性の美意識が高いのは、住んでいればすぐにわかる。

朝6時の公園にはすでに人がいて、エアロビ、ヨガ、ウォーキングをしている女性がとにかく多い。ホーチミンでもハノイでも同じ光景だ。街を歩けば、エステ、ネイル、スパ、美容クリニックが至る所に並んでいる。仕事前にネイル、休日にスパ、夜はスキンケア。この”美容ルーティン”を自然にこなしている女性が、年齢を問わず多い。

ただ、これを「オシャレ好き」と片づけると本質を見誤る。

ベトナムでは、外見を整えることが「誠実さ」や「社会への敬意」と結びついている。仕事で人に会う以上、身だしなみは自分のためだけでなく、相手への礼儀でもある——そんな感覚が根付いている。日本でいえば「清潔感」に近いが、もっと積極的で、もっと当たり前だ。

食文化もこの美意識を支えている。主食のフォーやブンは米粉だからグルテンフリー。料理には生野菜と香草が山盛りで添えられる。揚げ物は少なく、スイーツよりも果物を食べる。結果として、ヘルシーな食習慣が”文化のデフォルト”になっている。

「なぜベトナムの女性はスタイルがいいの?」と聞かれることがあるが、答えは単純ではない。文化的な価値観、食生活、日常の運動習慣、そして紫外線を徹底的に避ける生活習慣(日傘、長袖、フェイスマスクは真夏でも標準装備)。これらがすべてセットで動いている。

ベトナム女性の平均身長はどのくらい?

ベトナム女性の平均身長はおよそ156cm。都市部の若い世代では160cm近い女性も増えていて、日本人女性(約158cm)とほぼ変わらない。10年前と比べると平均で2cm以上伸びており、栄養状態や生活環境の変化が体格にも表れている。

メイクと普段の服装

メイクは韓国スタイルの影響を受けたナチュラル志向が主流で、普段は口紅と眉を整える程度。厚塗りメイクは結婚式やパーティーなどの特別な場面が中心だ。

服装も日常はシンプルで、ジーンズにTシャツ、ワンピースにサンダルといったカジュアルスタイルが多い。バイク通勤時は紫外線を徹底的に防ぐため、長袖の日焼け防止パーカー+フェイスマスク+手袋が”標準装備”。真夏でもこの格好なので、最初は驚くかもしれない。アオザイ(ベトナムのアオザイ完全ガイド)は通学や行事、結婚式など特別な場面で着るもので、日常着ではない。


「働く」がデフォルトの社会

ベトナム女性のキャリア志向の強さは、数字にも出ている。

世界銀行のデータによると、ベトナムの15歳以上の女性の労働参加率は約69%(2024年)。世界平均の約51%を大きく上回り、先進国の多くよりも高い。日本の女性の労働参加率は約55%だから、数字だけ見ても差は明らかだ。

この背景には歴史がある。ベトナムは長い戦争の時代から、男性が前線に出ている間、女性が家計と社会を支えてきた(ベトナムの歴史を読むと、この国の女性がどれだけ強くあり続けてきたかがわかる)。「女性が働くのは当たり前」という感覚は、近代に突然生まれたものではなく、何世代にもわたって積み重なった文化そのものだ。

実際に現地で働くベトナム女性を見ていると、いくつかの傾向がよくわかる。まずスキルアップ意欲が高い。英語やITの勉強を自主的に続けている若い女性が多く、上司にもはっきり意見を言う。昇進を目指す姿勢もストレートだ。

結婚・出産後も働き続けるのが一般的だ。ベトナムの社会保険法では、女性は6か月間の産休を取得できる。法的には手厚い制度だが、実際には経済的な事情や職場での立場を考えて、早めに復帰する女性も少なくない。日本から来ると「早すぎない?」と思うが、そこにはベトナムならではのサポート体制がある。実家の親が育児を全面バックアップするのが当然の文化だし、ナニー(住み込みのベビーシッター)を雇うことも一般的だ。ハノイやホーチミンなどの大都市では、住み込み・フルタイムのナニーは月600万〜1,000万VND(約36,000〜60,000円)前後がひとつの目安になる(経験、家事の範囲、住み込み条件で大きく変動する。ベトナムの物価も参考に)。決して安くはないが、共働き夫婦にとっては必要な投資であり、女性のキャリア継続を構造的に支えている。

副業と起業精神──「稼ぐ力」が強い

ベトナム女性のキャリアは「雇われて働く」だけでは終わらない。住んでいて驚くのは、彼女たちの副業や小規模ビジネスに対する貪欲さだ。

本業のかたわらSNSでオンライン販売をしている女性は本当に多い。Facebookやショッピーで化粧品、服、食品を売ったり、TikTokやライブ配信で商品を紹介して売上を立てたり。昼間はオフィスワーク、夜は自宅からライブコマース——そんな二足のわらじが珍しくない。

小さなカフェを友人と共同で開いたり、手作りのケーキやヨーグルトを近所に売ったり、英語の家庭教師を副業でやったり。とにかく「お金を生む方法」を常に考えている。この起業精神は年齢を問わず共通で、市場のおばちゃんも、大学生の女の子も、根っこの部分は同じだ。

ベトナム女性は金銭管理にも長けている。家計を握っているのは多くの場合女性で、「財布の紐はお母さんが握っている」のはベトナムの家庭ではごく当たり前の光景だ。


「情」が中心にある人間関係

ベトナム女性を理解するうえで、「情(tình cảm)」は外せないキーワードだ。

家族、友人、恋人——あらゆる人間関係の土台に「情」がある。日本の「義理人情」とはまた違って、もっと温度が高く、もっと日常に溶けている。

家族とのつながりは、日本人の感覚からするとかなり密だ。休日は家族総出で外食。結婚後も親との距離が物理的に近く、同居や近居が多い。祖母や母が孫の面倒を見るのは義務ではなく、喜びとして自然に行われている。

友人関係も濃い。女友だち同士の旅行、誕生日のサプライズ、日常的なメッセージのやりとり。その密度は、日本の友人関係とは一段階違う。仕事で困ったら真っ先に相談するのが女友だちで、「女友だちとの絆は恋愛より強い」と言い切る子も少なくない。


恋愛はロマンチックだが、かなり現実的

恋愛になると、「情」がさらに前面に出てくる。

記念日文化が根強く、サプライズやプレゼントに真剣だ。愛情表現はストレートで、「好き」「会いたい」を言葉にすることを恥ずかしいとは思わない。

筆者の経験でいうと、ベトナム人のパートナーとの連絡頻度は日本のそれとはまるで別物だった。忙しい日でも短いメッセージを何度も送り合うのが当然で、一日一回の連絡だと「寂しい」と拗ねられたことが何度もある。日本では「連絡が少なくても成立する関係」があり得るが、ベトナムでは「つながり続けること」が安心の証だ。

ベトナムの女性に聞いた話では、夫婦の距離感について「別々に寝るなんて考えられない」と笑っていた。

嫉妬は「関心の証」

日本人から見ると嫉妬深く映ることもある。連絡頻度への期待値が高いぶん、不安になりやすい人もいて、中にはスマホを見たがったり、飲み会の最中にビデオ通話で「どこにいるの?」を聞いてきたりするケースもある。1日連絡がないと「今何してるの?」が飛んでくることも珍しくない。

ただ、これはコントロール欲からではない。ベトナムの恋愛は「全力投球」が前提で、SNSの影響もあって連絡頻度への期待値がそもそも高い。関心がないことのほうが問題視される文化だから、嫉妬は「愛情の深さ」として成立している。

この距離感が心地よいタイプにとっては深くハマる魅力になるし、自分の時間を重視するタイプにとっては覚悟が要る。良し悪しではなく、文化の違いだ。

「面子」を守る文化──SNSと人前での扱い

もうひとつ、日本人が見落としがちなのが「面子(thể diện)」の重要性だ。日本にも「体面」の感覚はあるが、ベトナムでの表れ方はもっと具体的で、恋愛においても大きなウェイトを占める。

たとえば、恋人がツーショット写真をSNSに投稿してくれるかどうか。友人の前で大切に扱ってくれるかどうか。関係を公にしてくれるかどうか。これらは「愛情の見える化」として非常に重要で、もしそうしなければ、彼女の友人から「あの人、本気じゃないんじゃない?」と言われかねない。

日本人男性は「プライベートだから」とSNSに写真を載せたがらない人も多いが、ベトナムの恋愛においてはその感覚がすれ違いの原因になることがある。社会的な評価や体面は、彼女個人の問題ではなく、関係全体の信頼に関わるものだ。

恋愛は常に「現実」と結びついている

ベトナム女性の恋愛観で、日本人がいちばん面食らうのはここかもしれない。

付き合ってわりと早い段階で「仕事は何をしているの?」「収入はどれくらい?」「結婚の意思はある?」と聞かれることがある。日本の感覚だと「え、もう?」と戸惑うかもしれないが、ベトナムでは恋愛は常に現実と結びついている。

これは「お金目当て」とは違う。家族の安定を重視する文化背景があって、将来を見据えた現実的な判断をしているだけだ。少女漫画のようなロマンチック一辺倒の恋愛ではなく、「この人と家庭を築けるか」を見極めようとしている。

在住者として感じるのは、このストレートさはむしろフェアだということ。曖昧なまま何年も付き合って「で、結婚は?」となるより、早い段階でお互いの意思を確認するほうが、時間を無駄にしない。合理的と言えば合理的だ。

ベトナムの恋愛観や付き合い方をもっと深く知りたい人は、ベトナム人の彼女との恋愛がうまくいく「安心のルール」も合わせて読んでみてほしい。

ちなみに、ベトナムには年に二度「女性の日」がある。3月8日の国際女性デーと10月20日のベトナム女性の日。この日は街中が花束であふれ、男性が女性に感謝を伝える。こうした「女性を大切にする」文化が恋愛観にも深く影響している。詳しくは年に2度、ベトナムが花であふれる「女性の日」で紹介している。


ベトナム女性の結婚観──「家族の統合」という感覚

恋愛の延長で語られがちだが、ベトナム女性の結婚観は恋愛観とはまた少し違った構造を持っている。

まず、ベトナムの結婚は「二人の話」では終わらない。結婚は「家族同士の統合」に近い感覚がある。交際中から相手の家族に会うのは普通で、親の承認は軽視できない。結婚式は数百人規模が当たり前で、親戚・職場・近所の人まで呼ぶ。費用は双方の家族で負担するケースが多い。

ベトナムの平均初婚年齢は全国平均で27.2歳(2023年、男性29.3歳・女性25.1歳)。日本(男性31.1歳・女性29.7歳)と比べるとまだ若いが、年々上昇している。特に都市部では晩婚化が進んでおり、ホーチミン市の平均初婚年齢は30.4歳と全国平均を大きく上回る。

合計特殊出生率も2024年には1.91と過去最低を記録した。ホーチミン市では1.39まで下がっていて、東京とほぼ変わらない水準だ。「ベトナム=大家族」というイメージは、少なくとも都市部では急速に変わりつつある。

25歳を過ぎると始まる「結婚プレッシャー」

数字上は晩婚化が進んでいるとはいえ、ベトナム女性が感じる社会的プレッシャーはまだまだ強い。

日本では30歳未婚でも特に何も言われないが、ベトナムでは25〜27歳くらいから「いつ結婚するの?」「恋人はいるの?」「理想が高すぎるんじゃない?」という声が飛んでくる。しかもそれは赤の他人ではなく、家族、親戚、近所の人——つまり逃げ場のない関係から来る。

このプレッシャーは女性の心理に大きな影響を与えていて、「本当は焦りたくないけど、周りの目が……」という板挟みに苦しんでいる女性は多い。都市部の高学歴な女性ほど、自分のキャリアと社会の期待のあいだで葛藤している。

結婚に求めるもの

結婚相手に求めるものとしては、「誠実さ」「家族を大切にする姿勢」「経済的な安定」が上位に来る。派手な高収入よりも、堅実に働き、家族を尊重してくれるかどうかを重視する傾向が強い。

もうひとつ日本人が知っておくべきなのは、「仕送り」の文化だ。結婚後も自分の実家にお金を送ることは、ベトナムでは自然な行為であり、義務感というよりも「家族への感謝」として行われている。この点を最初から理解しておくことが、国際結婚の場合は特に大切になる。

結婚後も働くことを前提としているベトナム女性にとって、「専業主婦になってほしい」は必ずしもポジティブなメッセージではない。むしろ「一緒に働いて、一緒に家庭を築こう」というスタンスのほうが響くことが多い。


「おしゃべり」は文化の一部

ベトナム女性は、よく笑い、よく話す。

これは南部も北部も共通で、カフェでも職場でも路上でも、会話のテンポが軽快だ。初対面の外国人にも臆さず話しかけてくるし、言葉が通じなくてもなんとか会話を成立させようとするパワーがある。

筆者がまだベトナム語をほとんど話せなかった頃、近所のおばちゃんがこちらの拙い単語に大笑いしながらも、まるで会話が成立しているかのようにベトナム語で話し続けてくれた。あの「とりあえず話す、笑う、つながる」という姿勢は、住み始めて最初に好きになったベトナムの文化のひとつだ。

ベトナム語のあいさつは相手との距離を一気に縮めてくれる。簡単なフレーズだけでも覚えておくと、まったく反応が変わる(ベトナム語フレーズ32選も参考にどうぞ)。


「気が強い」のではなく「はっきりしている」

上位の記事やネットの情報で「ベトナム女性は気が強い」とよく書かれている。間違いではないが、もう少し正確に言うと「自己主張がはっきりしている」だ。

日本のような「察して文化」は薄い。不満があれば言うし、嬉しければ全力で喜ぶ。怒る時はまっすぐ怒る。感情の出し入れがストレートで、裏表が少ない。

ベトナム在住の女性ライターが書いていたが、ベトナムのカフェや職場で女性が男性の肩をグーで叩いている光景は、わりと日常だ。嬉しい時、恥ずかしい時、ツッコミの時——理由はさまざまだが、「感情が身体に出る」のがベトナムスタイルだ。もちろん全員ではないが、親密度が高い相手ほど遠慮がなくなるのは間違いない。

日本人が陥りがちな「怒ってるのかな?どうしたのかな?」と相手の顔色をうかがう不安は、ベトナム女性との関係では起きにくい。不機嫌なら不機嫌だとわかる。その分、対処もしやすい。


写真とSNSへの情熱

ホーチミンやハノイのカフェに行くと、食事やドリンクが来た瞬間にスマホを構える女性がとにかく多い。角度、ライト、背景の色、自然光の入り方——これらを無意識のレベルで計算している。友だち同士で撮り合い、その場で加工して、SNSにアップするまでがワンセットだ。

撮られ方の上手さは日本の女の子とはまた違った方向で洗練されていて、「映え」の研究熱心さには感心する。


日本文化への親近感は「流行」ではなく「根付き」

ベトナム女性の「日本好き」は、一過性のブームではない。

ドラえもんやポケモンは子ども時代からの定番で、日本のアニメを見て育った世代がすでに社会の中核にいる。コスメでは資生堂やSK-IIがステータスアイテムとして定着しているし、日本語学習者の数は増え続けている。

旅行先としても日本はトップクラスの人気がある。「京都に行ってみたい」「桜の季節に東京を歩きたい」——こうした会話は、ベトナムの女性と話していると頻繁に出てくる。

礼儀正しさ、清潔さ、品質の良さ。日本に対するイメージは総じてポジティブで、日本人であるだけで好意的に接してもらえることは多い。

ただし、「日本好き=日本人好き」と短絡的に考えると痛い目を見る。文化への好意と個人への好意は別物だ。そこは冷静に。


ベトナム女性の名前──花、宝石、月が多い理由

ベトナムで暮らしていると、女性の名前に自然や美しいものを表す言葉が多いことに気づく。

ベトナム人の名前は「姓(Họ)+ミドルネーム(Tên đệm)+名(Tên)」の3語構成が基本だ。苗字の種類は少なく、Nguyễn(グエン)が全人口の約40%を占める。だから日常では苗字ではなく「名」のほうで呼び合うのがベトナムの文化だ。

女性に多い名前とその意味をいくつか紹介すると——

Hoa(ホア)=花、Ngọc(ゴック)=宝石、Mai(マイ)=梅、Linh(リン)=魂・精霊、Hương(フオン)=香り、Thu(トゥー)=秋、Thủy(トゥイ)=水、Châu(チャウ)=真珠。

花、宝石、季節、水——名前に込められるのは「美しさ」や「清らかさ」への願いだ。男性名が「強さ」や「勇気」を表す言葉(Dũng=勇敢、Cường=力強い)に偏るのと対照的で、ベトナム社会が女性に求めてきたイメージがそのまま名前に反映されている。

ちなみに、女性のミドルネームにはかつて「Thị(ティ)」を入れるのが一般的だった。日本でいう「〇〇子」のような存在だが、最近は古いイメージがあるとして省略する家庭も増えている。名前の変化にも、時代の空気が映っている。


同じ「ベトナム女性」でも、都市と世代で別人になる

ネットの記事では「ベトナム女性は〇〇」と一括りにされがちだが、住んでいるとそうは思えない。都市と世代で、かなり違う。

ハノイの女性

北部の首都ハノイは、伝統文化が色濃く残る街だ。女性も比較的落ち着いた性格で、家族を重んじる価値観が強い。感情表現は控えめで、初対面ではやや距離を取る傾向がある。でも、信頼関係ができると一転して深く、長く付き合ってくれる。ハノイの女性と仲良くなりたければ、焦らないことだ。

結婚後は夫側の家族を立てる意識が南部より強く、礼儀や形式を大切にする面がある。たとえば旧正月(テト)の過ごし方ひとつとっても、「まず夫の実家で過ごすのが当然」と考える家庭が北部にはまだ多い。

ハノイ旧市街の歩き方を読むと、この街の「落ち着きと熱気の同居」がわかると思う。

ホーチミンの女性

南部の商業都市ホーチミンは、まるで別の国のようにオープンだ。女性も明るくフレンドリーで、初対面から距離が近い。キャリア志向が強く、行動も軽やか。SNS文化も特に濃い。

ホーチミンの女性は経済的自立への意識が特に強い。副業や小規模ビジネスを積極的にやっている女性の比率は、体感として北部より明らかに高い。形式にあまりこだわらず、合理的な判断を優先する傾向がある。

ハノイの女性が「慎重に深く」なら、ホーチミンの女性は「軽快に広く」。どちらが良いかではなく、気質の違いだ。

ダナンの女性

中部の港町ダナンは、自然と都市がバランスよく共存する穏やかな街。地元コミュニティが密接で、女性もまろやかな人柄が多い。ハノイほど堅くなく、ホーチミンほど派手でもない。「ちょうどいい温度感」を持つ女性が多い印象だ。

世代による違い

若い世代(18〜25歳)はSNSネイティブで、日本や韓国のカルチャーに自然に親しんでいる。英語力も高く、恋愛はストレート。TikTokやInstagramが生活の一部で、自撮りの腕前はプロ顔負けだ。

30代〜40代になると、キャリアと家庭のバランスに重きを置く傾向が強くなる。子どもの教育への投資意欲は高く、英語教室やインターナショナルスクールへの関心は年々増している。自立した価値観を持ちながらも、家族を最優先するという軸はぶれない。


もうひとつの顔──「ベトナム女性博物館」で知る深み

ハノイの旧市街からほど近い場所に「ベトナム女性博物館(Bảo tàng Phụ nữ Việt Nam)」がある。

ここには、戦争中に家計を支え、子どもを守り、前線にも立った女性たちの記録が展示されている。少数民族の暮らしや伝統衣装(ベトナムの民族衣装ガイドも参考に)、女性の社会的役割の変遷まで、ベトナム女性の「なぜ」がぎゅっと詰まっている。

ベトナムには「ベトナムの女性はライオン、最後はドラゴンになる」ということわざがある。結婚して家を守り、子を育て、社会を支える。その強さをライオンとドラゴンに例えたものだ。この博物館を歩くと、そのことわざが大げさではないとわかる。

観光としても評価が高い場所なので、ハノイに行く機会があればぜひ足を運んでほしい。ベトナム女性を「かわいい」「明るい」の先に理解するための、最良の入口になるはずだ。


誤解されやすい3つのこと

最後に、在住者の視点から「よくある誤解」を3つ整理しておきたい。

① 「ベトナム女性は従順」という誤解。 ネットでは「控えめ」「おとなしい」というイメージで語られることがあるが、住んでいる実感としてはまったく逆だ。初対面ではたしかにシャイだが、距離が縮まると自己主張はかなりはっきりしている。従順な妻を求めてベトナムに来ると、良い意味で裏切られるだろう。

② 「みんな日本人と付き合いたがっている」という誤解。 日本文化への好意は強いが、それが直接「日本人男性と付き合いたい」にはつながらない。あくまで文化への好感と個人への好感は別物。一方的な期待はお互いにとって不幸になる。

③ 「東南アジアだから物価も人もゆるい」という誤解。 ベトナム女性は仕事に真剣だし、人間関係にも真剣だ。「東南アジアだからラク」と構えていると、彼女たちの真剣さに圧倒されることになる。

なお、ベトナム女性一人旅を検討中の方は、持ち物や服装の準備も大切。ベトナム旅行の持ち物チェックリスト服装ガイドも合わせてチェックしておくと安心だ。


おわりに──ベトナム女性を知ることは、ベトナムを知ること

ベトナム女性の魅力は、「明るい」「かわいい」の一言では収まらない。

戦争の時代を支え、経済成長を牽引し、家族を守りながらキャリアも築く。その強さとしなやかさの両方を、日常の笑顔の奥に持っている。

住んでいて思うのは、ベトナムの女性たちは「強い」のではなく「折れない」のだということ。明るさは性格ではなく、何世代にもわたる経験から編み上げられた”文化の筋力”のようなものだ。

多くの日本人男性が「ベトナム女性はまったく違う」と感じる。でも、その違いは外見ではない。恋愛における主体性、将来についての現実的な思考、家族との強い結びつき、結婚に対する社会的プレッシャー——こうした文化的な背景を理解しなければ、見えているはずのものが見えない。「かわいい」の先にある構造を知ることが、ベトナム女性と本当の意味で向き合うスタートラインになる。

ベトナム女性の性格、恋愛観、結婚観、美意識、キャリア——どれをとっても一括りにはできない。都市によって違い、世代によって違い、一人ひとりが違う。でも共通しているのは、「人とのつながりを生活の中心に置く」という価値観だ。

彼女たちと接していると、こちらも自然とまっすぐになる。 それが、ベトナムに住み続けている理由のひとつだったりする。


よくある質問(FAQ)

ベトナム女性は気が強い?

「強い」というより「芯がある」が正確です。家族を守る責任感が強く、経済的にも自立している人が多い。ただし親しい関係では甘え上手な一面もあります。

ベトナム女性にアプローチするときの注意点は?

家族を大切にする姿勢を見せること、誠実さが最重要。チャラい態度は嫌われます。また、ベトナムでは交際=結婚前提と捉える人も多いことを理解しておきましょう。

ベトナムの女性の社会的地位は?

東南アジアの中では女性の社会進出が進んでいる国。管理職の女性比率はASEAN最高レベル。一方で家庭内での負担は依然として女性に偏る傾向があり、「強さ」の裏には大きなプレッシャーもあります。

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編集者

ベトナムに魅せられた東京出身の経営者。数字よりも人の営みに惹かれ、現地のリアルを言葉で伝えている。

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