ベトナムの街を歩いていると、元気に働き、友だちと笑い、家族を大切にして暮らす女性たちの姿がよく目に入る。
明るさと強さが同居していて、遠くから見てもすぐに「ベトナムの女の子だ」と分かる独特の雰囲気がある。
美意識が高く、自分の人生に積極的で、家族や仲間とのつながりをとても大切にする。
けれど、その魅力の裏側には歴史や文化、都市ごとの気質、SNS世代の価値観など、外からは見えにくい背景が重なっている。
この記事では、ベトナムに住んで日々現地の女性たちと接している筆者が、彼女たちの性格・価値観・社会観を“リアルな視点”で解説する。
ステレオタイプを超えて、ベトナム女性の本質に近づけるはずだ。

美容と健康への意識が圧倒的に高い

ベトナム女性の平均身長はおよそ156センチ前後といわれている。
都市部の若い世代では160センチ近いケースも増えており、栄養状態や生活環境の改善が体格にもあらわれている。
日本の女性の平均はおよそ158センチで、数字だけ見れば日本人女性のほうがやや高い。
ただ、都市部の若いベトナム女性は日本人とほとんど差がない印象を受けることもある。
地域差や世代差が大きい点は、両国ともよく似ている。
ベトナムの女性は、若い世代からお母さん世代まで、驚くほど「美」を大切にする。
これは単なる“オシャレ好き”ではなく、社会的に「身だしなみ=誠実さ」だと考えられている文化的背景がある。
都市部のホーチミンやハノイでは、早朝の公園で運動する女性が本当に多い。
ランニング、ヨガ、エアロビ、どれも活気がある。
街を歩けば、エステ、スパ、ネイル、美容クリニックが至る所にある。
仕事前にネイル、休日にスパ、夜はスキンケアという“美容ルーティン”を自然にこなしている。
なぜここまで美意識が高いのか?
- 外見がキャリアの評価に直結しやすい文化
- SNS世代で自撮り文化が強い
- 伝統的に「女性が家を整え、身だしなみを整えること」が美徳
さらに食文化も美容向き。
フォー(米粉)、生野菜、香草、果物、シンプル調理……結果として自然とヘルシーな食習慣になる。
「どうしてベトナム人女性はスタイルが良いの?」
答えは、文化×食生活×日常習慣がセットだからだ。

社会進出が進んでいてキャリア志向が強い
ベトナムは、アジアの中でも女性の社会参加率が高い国。
事務職だけでなく、営業・管理職・経営・専門職まで幅広く女性が活躍している。
ベトナムでは15歳以上の女性の労働参加率が約69%(2024年)と非常に高く、男性の78%に迫る水準です。一方、日本の女性の労働参加率は約55%ほどで、数字だけ見ても大きな差があります。
働くことが「特別」ではなく、生活に自然に組み込まれている点が、ベトナム女性のキャリア観を支える大きな背景になっています。
これは歴史と関係が深い。
ベトナムは戦争期から女性が家計を支え、社会で働くのが当たり前だった。
その文化が現代にも強く残っている。
実際に現地で働く女性たちを見ていると、次のような価値観がよく分かる。

キャリア志向の特徴
- スキルアップ意欲が強い
- 上司にもハッキリ意見を言う
- 昇進を目指す女性が多い
- 結婚・出産後も働くのが一般的
産後4〜6ヶ月で職場復帰するのは珍しくない。
家族・実家・ナニー(家庭内ヘルパー)の存在もあり、育児サポートの仕組みが充実しているからだ。
日本より女性が職場で活躍しやすい社会構造がある。

情が深く、人とのつながりをとても大切にする
ベトナム女性の“根っこ”にあるのは「情」。
家族・友だち・恋人の関係を丁寧に育てる。
家族愛
休日は家族総出で外食。
親戚同士のつながりも強い。
結婚後も両親との距離が近く、母・義母・祖母が育児を助ける環境ができている。
友情
女友だちをとても大切にする文化があり、相談・旅行・誕生日・日常の連絡まで密度が高い。
“女友だちとの絆”は恋愛より強い場合もある。
恋愛
ベトナムでは、家族や恋人との距離感だけでなく、“女性そのもの”を祝う文化が根付いている。
街では年に二度、男性たちが花束を手に女性へ感謝を伝える光景が当たり前に広がる。
こうした「女性を大切にする日常の習慣」は、恋愛観にも深く関わっている。
詳しくは、年に二度ベトナム全体が花であふれる「ベトナムの女性の日」についての記事でも紹介している。
こうした“感謝や愛情をきちんと言葉で伝える文化”は、恋愛の場面でも自然に表れる。
記念日文化が強く、サプライズやプレゼントに喜びを感じる。
恋人への愛情表現もストレートで、愛情深い。
ベトナムの女性に聞いた話では、夫婦や恋人との距離感について「別々に寝るなんて考えられない」と笑っていた。
筆者も似た経験がある。
忙しい日でも、短いメッセージを何度も送り合うのが当たり前で、連絡が一日一回だけだと「寂しい」と拗ねられたことが度々あった。
日本では“連絡が少なくても成立する関係”もあるが、ベトナムでは“つながり続けること”が安心につながる。
日本とは“近さの基準”が少し違っていて、人とのつながりを生活の中心に置く価値観がよく表れている。
日本人から見れば嫉妬深く映ることもあるが、ベトナムではごく自然な感覚だ。
頻繁にやり取りするのが苦手な人にとっては難しさを感じるかもしれないが、この距離感が心地よいタイプにとっては、むしろ深くハマる魅力になる。
いつでも笑顔で明るい。社交的で話し上手
ベトナム女性は、とにかく笑顔が多い。
店員さん・近所の人・初対面の外国人でも、自然に距離を縮めてくれる。
街中でも職場でも、「話す」ことがコミュニケーションの中心になっていて、会話のテンポも軽快。
おしゃべりはまさに文化の一部。
言葉が分からなくても、雰囲気で心地よく話せてしまう“空気の柔らかさ”がある。
気が強く、自分の意見をはっきり言う
ここは上位記事にもあるが、実際に“気が強い”というより、自己主張がはっきりしていると言った方が正確だ。
遠慮や「察して文化」が薄く、言いたいことは言う。
怒る時はまっすぐ怒り、感情表現が豊か。
恋愛で嫉妬もしやすいが、それは裏返せば「思いが深い」ということ。
写真が好きでSNS映えの研究熱心
ホーチミンやハノイのカフェには、撮影に夢中の女性が本当に多い。
- ベスト角度
- ライトの位置
- カメラ構図
- 背景の色
- 自然光の入り方
これらを“無意識に”研究している。
友だち同士で撮り合い、SNSにアップするまでがセット。
撮られ方の上手さは、世界的に見てもレベルが高い。

日本文化への好意がとても強い
日本語学習者は増え続け、アニメ・ファッション・コスメ・旅行など、日本文化への憧れが根強い。
その背景には以下がある。
日本の良質なイメージ
礼儀正しさ、清潔さ、品質の良さ。
アニメ文化の影響
ドラえもん、ポケモン、コスプレイベントなどは大人気。
コスメ・美容商品の信頼
資生堂、SK-IIなどはステータスアイテム。
旅行先としての魅力
京都・東京・富士山など観光人気はトップクラス。
ベトナム女性の「日本好き」は、単なる流行ではなく、生活文化に溶けこんでいる。

地域差・世代差という“上位記事にない深堀り”
同じベトナム女性でも、都市や世代によって特徴は大きく違う。
ハノイ女性の傾向
ベトナム北部の首都ハノイは、伝統文化が色濃く残る地域。社会全体が落ち着いた空気をまとい、女性も控えめで家族を重んじる価値観が強い。
- 落ち着いた性格
- 家族主義が強い
- 感情表現は控えめ
- 伝統的価値観を重視
ホーチミン女性の傾向
商業都市ホーチミンは、自由でスピード感のある南部気質。女性も明るくフレンドリーで、キャリア志向が強く、行動も軽やか。
- 明るくフレンドリー
- 自由でオープン
- キャリア志向が強い
- SNS文化が濃い
ダナン女性の傾向
中部の港町ダナンは、自然と都市がバランス良く共存する穏やかな街。地元コミュニティが密接で、女性もまろやかな人柄が多い。
- 優しく穏やか
- 家庭的
- コミュニティが密接
若い世代(18〜25歳)
- SNS全盛
- 自撮り文化
- 日本、韓国への親近感
- 英語能力が高い
- 恋愛はストレート
30代〜40代
- 家族優先
- キャリアと家庭の両立
- 子どもの教育に投資
- 自立した価値観を持つ

まとめ
ベトナム女性は、明るさ・しなやかさ・家族愛・自立心など、複数の魅力を同時に持つ存在だ。
そして、その魅力はステレオタイプではなく、社会の歴史や文化、都市の空気、世代ごとの価値観が折り重なって形づくられている。
彼女たちを理解すると、単に“明るい”“かわいい”だけではない、奥深い魅力が見えてくる。
ベトナムを知るうえで、ベトナム女性を知ることは近道でもある。
文化・街・人がつながって見えてくるはずだ。