空港の両替カウンターは、もう観光名所みたいなもの

ベトナムの通貨はベトナムドン(VND)。
桁が多くて最初は戸惑うけれど、慣れるとレートの差が旅の面白さになる。
ハノイのノイバイ空港に着くと、湿気とともに聞こえてくるのが両替カウンターのお姉ちゃんたちの声。
「うちのほうがレートいいよ!」
「いや、こっちはもっと!」
隣で声を張り合うその距離、わずか数メートル。
掲示レートは1円=160VND前後。
でもハノイ市街に出ると170VND。
そして成田空港では——なんと140VND。
この“距離で変わる両替差”、なかなか興味深い。
ちなみに、現地での金銭感覚をつかむコツはシンプル。
「ゼロを二つ取って、2で割る」。
たとえば100,000VNDなら、
ゼロを二つ取って“1000”→それを2で割って“約500円”。
ざっくりだけど、だいたい合ってる。
この換算法を覚えておくと、旅先での頭の中の電卓がかなり楽になる。
距離とレートの関係(2025年11月現在)

| 場所 | レート(1円=) | 備考 |
|---|---|---|
| 成田空港 | 約141ドン | 日本で両替。手数料とスプレッドが大きい |
| ハノイ・ノイバイ空港 | 約163ドン | 現地到着直後のカウンター。安全・手軽 |
| ハノイ旧市街(例:Giang Son) | 約171ドン | 街中最安クラスの実勢レート |
1万円を両替したとき、成田と旧市街では約300,000ドン(約2,000円弱)の差。
フォー5〜10杯分(200〜400円/杯)の“距離プレミアム”がつくわけです。
空港で両替するのは「必要最低限」で十分
昔は「とりあえず空港で換えとけ」が旅の鉄則だったけれど、
いまはGrab(配車アプリ)もクレカ決済対応で、空港から市街地までもだいたい300,000VND(2,000円くらい)。
万一、現金が必須になるのは、
-
SIMカードを買うとき
-
ローカルカフェで一息つくとき
くらい。
つまり空港では必要最低限だけ両替でOK。
残りは旧市街で。
街中の両替所は“普通に安全でお得”

ホーチミンならベンタイン市場南側、ハノイなら旧市街ハンバック(Hàng Bạc)通り。
ハノイのおすすめは130 Hàng Bạc「Giang Son」。隣に「Quang Huy」というお店もあり、こちらもOK。
2025年11月時点でもレート・対応ともに安定。
成田空港の「0.007円表示」はそういう意味

空港の両替表を見ると「1VND=0.007円」など謎の数字が並びます。
つまり1円=約143VND。
表記の単位が違うだけで損しているわけではないけど、この数字がレートの“現実”。
旧市街170VNDとの差を見れば、「同じ1万円なのに届く額が違う」ことが実感できます。
Wiseでスマート両替という選択肢
Wise(旧TransferWise)は、アプリで海外送金・両替・口座管理を一括できるサービス。
実勢レート+少額手数料で両替でき、Visaデビットカードでそのまま支払いも可能。
使い方の流れ
-
日本円をWise口座にチャージ
-
(任意)VNDへ両替
-
現地ATMでWiseカードを使って引き出す
ATMなら、Vietcombank/Techcombank/ACBあたりが安定。
Visa/Plusロゴのある機械を選ぼう。
ただし「英語ボタン小さい」「屋外で暗い」「後ろに人が並ぶ」など、実はテクノロジーより人間の焦りが最大の敵。
初回はショッピングモール内の明るいATMで少額テストが吉。
両替とWise、どう使い分ける?
| シーン | 最適解 |
|---|---|
| 到着直後(SIM・軽食) | 空港で少額両替 |
| 滞在中の現金補充 | 市内の正規両替所(例:Giang Son) |
| キャッシュレス派 | Wiseカード+ATM |
| 屋台・市場 | 現金(VND)必須 |
両替の最後は「気持ちよく使い切る」
500,000VND(約2,500円)が余っても、日本に戻すとレートが悲しい。
空港のカフェでベトナムコーヒーを飲んで、きれいに使い切るのが一番スマート。
ベトナムドンは使い切ってこそ美しい通貨だ。
円安時代の“お金の感覚”も一緒に持っていこう
旅行中は気分が上がって財布の紐も緩みがち。
数百円の差なんて気にしない、と思うかもしれません。
でも、お金はお金。
円が弱くなっている今こそ、なるべく損しないように両替する意識が大切です。
同じ旅でも、両替の仕方ひとつで「賢い人」になれる。
ベトナムでは、それがフォー5〜6杯分の違いになるのだから。