ベトナムでの移動手段といえば、今やGrab(グラブ)が主役だ。
タクシーを探すよりGrabを呼ぶ方が早くて確実。観光客だけでなく、通勤や買い物など現地の人々の移動手段としても定着しています。
アプリひとつでバイクも車も呼べて、支払いもスムーズ。
この記事では、実際にハノイでGrabを使った体験をもとに、使い方や料金、支払い方法までまとめました。
Grabの基本:タクシーより分かりやすいアプリ

Grabは、東南アジア全域で展開する配車・フードデリバリー・宅配・電子決済が一体になったスーパーアプリだ。
日本でいえば、タクシー配車アプリの「GO」とフードデリバリーの「Uber Eats」や「出前館」を合わせたような存在で、ベトナム・ハノイでも日常の移動手段として欠かせない。
出発地と目的地を入力すると、近くのドライバーが自動でマッチングされる。車種、ナンバー、車の色までアプリに表示されるので、どの車が自分のGrabか一目で分かる。
実際、街中でも「車がわかりにくい」と感じたことはほとんどなかった。ハノイのように交通量が多い都市でも、この安心感は大きい。

ただし、緑色の車で来るわけでもなく、車体にGrabの表記があるわけでもない点は注意したい。また、乗車時は左右どちらのドアから乗ってもよいが、もちろん手動で開ける必要があるため、開くのを待っていてもドアは自動では開かない。
使い方:アプリを開いて3タップ

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アプリを起動
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出発地と目的地を入力
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表示された料金を確認して「予約」ボタン
たったこれだけでOK。
- Sân bay(サン バイ)=空港
- Hà Nội(ハノイ)=ハノイ市内
- Car 6 chỗ ngồi(カー・サウ・チョー・ゴイ)=6人乗り
配車が確定すると、ドライバーの名前・車種・ナンバーが表示される。マップ上で車の現在地もリアルタイムで追える。慣れると、ハノイ市内なら5分もかからず車が到着する。
位置情報の精度が低いエリアでは、ピンの位置を少しずらすと正確に配車できます。目的地名を英語で入力すると、ドライバー側のアプリでもスムーズに認識されます。
Grabには「バイクのGrab(GrabBike)」と「車のGrabCar」があり、料金も体験も異なるため、移動距離や荷物の量に合わせて選び分けると快適に移動できます。
料金と支払い方法(GrabCar・GrabBikeの相場も紹介)
Grabの料金は事前に表示される固定料金制で、乗車後にメーターが上がっていくことはない。
ハノイ市内中心部であれば、車で50,000〜100,000ドン(約300〜600円・2025年10月現在)程度。バイクなら30,000ドン前後(約200円・2025年10月現在)で移動できる。
タクシーより安く、値段交渉も不要。夜間や早朝でもほとんど変動しないのが便利だ。
バイクGrab:渋滞知らずの最強移動手段

ハノイではバイクGrab(GrabBike)も非常に人気。
渋滞が多い市内では、車よりも早く到着することが多い。料金もさらに安く、通勤や短距離移動に最適だ。
ヘルメットはドライバーが貸してくれるが、日差しが強い日は帽子やマスクも忘れずに。また、時折激しく降る豪雨にも注意したい。
支払い方法:クレジットカードか現金
Grabは支払い方法が選べる。
現金・クレジットカード・電子ウォレット(Momoなど)が利用可能。カードは日本のVisaやMastercardも登録可能だが、時々うまく認証されないことがある。
その場合は現金払いに切り替えると安心。降車時にドライバーへそのまま支払えば完了だ。
チップは基本不要だが、親切な対応をしてもらったら1万ドン(約60円・2025年10月現在)程度渡すと良い。Grabアプリは支払後にドライバー評価とチップ画面が表示されるので、そのままアプリ上でチップを支払うことができる。

車の「1日貸切・時間チャーター」プラン
ハノイで1日車を専用で使いたい、または観光地をまとめて回りたいときは、Grabのレンタル/チャーター機能が便利だ。
例えば、線香村やバッチャン陶芸村などの郊外観光地を1日でまわるときに最適。
特に線香村はハノイ旧市街から約40km離れており、現地でGrabを呼んでも来るまでに時間がかかることがあるが、あらかじめチャーターを予約しておけば、効率よく回れる。
アプリのメニューから「車」→少し下へスクロールして「時間単位で借りる」を選ぶと、時間ごとのパッケージ料金が表示される。

表示されるベトナム語の「chỗ(チョー)」は「座席(seat)」、「tiếng(ティエン)」は「時間(hour)」の意味で、ドライバー付きの車を数時間単位でレンタルでき、燃料費込みの明朗会計。
このプランは、市内観光を数か所回るときや、出張で1日中移動があるときに特に重宝する。走行距離や滞在時間に応じて追加料金が発生することもあるため、出発前に観光ルートを共有しておけば、ドライバーも効率よく動いてくれる。

なお、チャータープランには“走行距離の上限”が設定されています。時間プランごとに含まれる距離は変わり、上限を超えると1kmあたりで追加料金が発生します。
距離設定や料金は時期や都市によって変更されることがあるため、予約前にアプリ上で最新の条件を確認しておくと安心です。
乗車時のコツとトラブル回避
もしドライバーがあなたを見つけられない場合は、Grabアプリ内のチャット機能で写真を送るのがおすすめです。周辺の建物や看板を撮って送るだけで、すぐに見つけてもらえることが多いです。
また、信頼できるタクシー会社を知っておくと安心です。ハノイでは白地に赤と緑のラインが入ったVINASUNや、緑の車体が目印のMAI LINHなどが主要タクシー会社。Grabを使えないときの代替手段として覚えておくと便利です。
乗車前にナンバープレートを写真で記録しておくのもおすすめです。
注意:キャンセルはほどほどに
Grabではキャンセル自体は禁止ではないが、頻繁なキャンセルを繰り返すと一時的に制限がかかることがある。
短期間で複数回キャンセルすると「支払い方法の登録を求められる」「次の配車がつながりにくくなる」などの報告もある。また、一定条件ではキャンセル料が発生するケースも確認されている。
たとえば、ドライバー確定後に数分経ってからキャンセルした場合や、7日間で複数回キャンセルした場合に、数千ドン〜1万ドン(約15〜60円・2025年10月現在)程度のキャンセル料が請求されることがある。
金額や条件は公式に明示されておらず、地域や時期によって異なるため注意が必要。アプリが「マッチング優先度を下げる」と公表しているわけではないが、体感として「呼びづらくなる」画面が出るケースもある。
配車を確定する前に、出発地と目的地をもう一度確認しておくとトラブルを防げる。
ノイバイ空港でGrabを使う方法【到着口から市内まで】
ノイバイ空港でもGrabは呼べる。
ただし到着口の前は車の停車が制限されているため、少し歩いて外のピックアップゾーンに出る必要がある。
空港に到着したら、Grabの出番はすぐに訪れる。通信環境が整わないとアプリが動かないため、出発前のうちにアプリのダウンロードと登録を済ませておくのがおすすめだ。
空港を出た瞬間から、野良タクシードライバーたちの呼び込みが一斉に始まる。その勢いに負けない“強靭メンタル”がある人以外は、Grabを準備しておく方が安心だ。
アプリ上でピックアップゾーンを指定すれば問題ないが、待ち合わせ場所にうまく辿り着けないとキャンセル扱いになることもあるので注意。

ちなみに、アプリ上で「待機禁止エリアですので、乗車準備を…」と省略されて表示されることがあるが、これは実際には「待機禁止エリアですので、乗車準備をしてください」という意味のメッセージで、呼べないわけではない。乗車準備を整えておけば、そのまま呼んでOKだ。

空港からハノイ中心部までは、車でおよそ300,000ドン前後(約1,700円・2025年10月現在)。
深夜・早朝のGrab利用のコツ
Grabは24時間稼働なので、早朝のフライトや夜の到着でも使えるが、深夜はドライバー数が少なくなることがある。
日本ーベトナム間のフライトは早朝・深夜便が多いため、時間に余裕をもって呼ぶのがコツ。
空港送迎を事前に予約する「Grab予約機能」も活用できる。
まとめ:Grabがあればハノイの移動はもう怖くない
初めてのハノイでも、Grabさえ使えれば移動の心配はほとんどない。
車でもバイクでも、アプリで呼んで目的地を入力するだけ。料金は明確で、チップもほぼ不要。支払いも現金・カードどちらでも対応できる。
交通渋滞も、暑さも、言葉の壁も、スマホひとつで超えられる。ハノイの街を自由に動き回る最初の一歩は、Grabをダウンロードするところから始まる。
初めての方も、この記事を参考に“ハノイを自在に動く”体験を楽しんでください。