甘さの衝撃! ベトナムコーヒーの「謎の中毒性」にハマる

2025.11.05

皆さん、ベトナムと聞いて何を思い浮かべますか?

美しいアオザイ、歴史的な街並み、美味しいフォーや生春巻き…?

もちろんどれも正解ですが、実はベトナム、コーヒーの生産量が世界第2位(ブラジルに次ぐ)を誇る、隠れた「コーヒー大国」なんです!

その証拠に、ホーチミンやハノイの街を歩けば、おしゃれなカフェから路上の簡易なイスで楽しむローカルカフェまで、無数のカフェがそこかしこに点在しています。

ベトナムのコーヒー文化は、19世紀後半、フランス植民地時代に生まれました。コーヒー豆とともに、フランスの“嗜みの文化”が持ち込まれたのです。しかし、それは単なる模倣で終わらず、暑い気候と人々の暮らしの中で独自にアレンジされ、いまの「ベトナムコーヒー」へと変化していきました。

今日はそのベトナムコーヒーについてお話しします。


ベトナムのスタバ?「ハイランズコーヒー」

数あるカフェの中でも、我々がよく知る「スターバックス」的な立ち位置で、街のいたるところで見かけるのが「ハイランズコーヒー(Highlands Coffee)」です。

まさに「ベトナムのスタバ」。

モダンでおしゃれな店内はWi-Fiも完備。スタバよろしくリンゴのマークが光るパソコンを広げてドヤ顔…いえ、集中して作業する人々の姿も(笑)。地元民にも観光客にも愛される、憩いの場となっています。


衝撃のファーストインパクト「甘い!とにかく甘い!」

さて、旅の疲れを癒そうと、このハイランズコーヒーで「アイスコーヒー」を注文。

そこで日本人が何気なく口にして、まず受ける衝撃が……

そう、とにかく甘い!!!

一口飲んだ瞬間、「ガツン!」と脳天を殴られるような強烈な甘さ。

コーヒーの味とか香りとか、そういう繊細なものを探す余裕はありません。もはや舌が甘さでしびれそうになるレベルです。

このコーヒーは、ゴクゴク飲むものではありません。

基本は氷がたっぷり入ったアイスコーヒーなので、氷が溶けて薄まるのを待ちつつ、時折ストローでかき混ぜる…。

まるでブランデーをロックで楽しむように、少しずつ氷を溶かしながら、ゆっくりと甘みの「角」が取れていくのを楽しむ感覚。

そう、これは飲み物というより、時間をかけた「格闘」です。

HIGHLANDS COFFEEのメニュー
  • Phin Sữa Đá(フィン スア ダー):コーヒー多め・練乳ミルクの甘いアイスコーヒー
  • Phin Đen Đá(フィン デン ダー):砂糖なしのアイスブラックコーヒー
  • Bạc Xỉu(バック シウ):ミルク多め・コーヒー少なめの甘いミルクコーヒー

犯人は「練乳(コンデンスミルク)」、それも大量の

なぜこんなに甘いのか?

その秘密は、コーヒーに入れるミルクにあります。ベトナムでは、牛乳の代わりに「練乳(コンデンスミルク)」を、それも「え?そんなに?」という量、惜しげもなく投入するのです。

これには歴史的な背景があります。

フランス統治時代にコーヒー文化が持ち込まれましたが、ベトナムは気候的に酪農が難しく、暑さで日持ちしない牛乳は高級品でした。そこで、安価で保存が効く練乳が代用品として普及したと言われています。

この文化が今も色濃く残っているわけですね。


探求!あの甘さを自宅(ホテル)で再現してみた

この衝撃の甘さ、一体どれほどの練乳が投入されているのか。

筆者も気になってホテルの朝食ビュッフェで再現実験を試みました。

コーヒーメーカーから注いだブラックコーヒーに、ビュッフェ台の練乳(当然のように置いてあります)と牛乳を少しずつ加えていく……そしてついに、あのハイランズコーヒーの味(甘さ)を再現する黄金比(?)にたどり着きました。

コーヒー:練乳:牛乳 = 1:1:1

そう、これです。

もはやコーヒーというより「コーヒー風味の練乳を飲んでいる」と言っても過言ではないこのバランス。

コーヒーが主役なのか、練乳が主役なのか、哲学的な問いが始まります。


自宅で「あの甘さ」を完全再現! 最強のベトナム土産3点セット

ホテルのビュッフェで「コーヒー:練乳:牛乳=1:1:1」の実験に成功したものの、「どうせなら、もっと本格的にあの味を日本で再現してみたい!」と思うのが探求者の性(さが)ですよね。

ご安心ください。あの甘美なる格闘を自宅で楽しむための「三種の神器」が、ベトナムでは驚くほど安価に揃ってしまいます。
自分用のお土産としてだけでなく、日本のお友達にも衝撃の甘さを伝道してあげましょう。

1. 【主役】コーヒー豆(粉)

インスタントも人気ですが、本格的な「カフェ・スア・ダー」を目指すなら、やはり豆(粉)を買いましょう。

  • 鉄板ブランド: チュングエンコーヒー (Trung Nguyen) ベトナム土産の王様といえば、この「TRUNG NGUYEN」です。スーパーや専門店など、どこにでも売っています。 中でも「Sang Tao(サンタオ)」(Creative)というシリーズがおすすめ。数字(1〜8)でランク分けされており、数字が大きくなるほど高級になりますが、まずは好みの焙煎度合いで選んでみましょう。チョコレートやバニラのような、甘い香りが特徴の豆が多いです。
  • 記事で登場: ハイランズコーヒー (Highlands Coffee) もちろん、記事で紹介した「ベトナムのスタバ」ことハイランズコーヒーの豆も、店舗やスーパーで購入可能です。あの店の味を再現するなら、これが一番の近道ですね。

2. 【必須器具】カフェ・フィン (Phin)

「ドリップで淹れればいいや」と思ってはいけません。あの濃厚なコーヒーは、ベトナム独自の「カフェ・フィン(Phin)」という金属製フィルター(ドリッパー)なくしては語れません。

アルミ製やステンレス製で、安いものなら100円程度から購入可能。 使い方は簡単。

  1. グラス(耐熱)の底に、まず大量の練乳を沈めておきます。
  2. フィンの底皿をグラスに乗せ、中にコーヒー粉を入れます。
  3. 「中蓋」と呼ばれる部品で、粉を上から軽く圧迫(プレス)します。
  4. 少量のお湯で数秒蒸らした後、お湯を注ぎます。

ペーパーフィルターと違い、金属のフィルターを通して5分以上かけてゆっくり、ゆっくりと、濃〜いコーヒー液が練乳の上に滴り落ちていく…。この「待つ時間」こそが、ベトナム流なのです。

3. 【甘みの核】現地の練乳

日本のチューブ練乳でも代用可能ですが、どうせなら現地の味を。 スーパーの乳製品コーナーに行けば、「Ông Thọ(オン・トー)」(寿老人のおじいさんの絵が目印)ブランドなど、様々な練乳が並んでいます。

缶入りが主流ですが、旅行者には持ち運びやすい「チューブタイプ」が断然おすすめ。日本のものより甘みが強く、濃厚な気がするのも旅のマジックかもしれません。


そして、あなたも「甘い罠」にハマる

「もうこんな甘いの、二度と飲むか…!」

あまりの甘さにそう誓い、店を後にしたはずなのに……。

翌日。なぜか、またあの味が恋しくなっている自分に気づくのです。

「あれ…? もしかして、また飲みたいかも…」

灼熱の太陽と、けたたましいバイクのクラクション。そんなエネルギッシュなベトナムの空気の中では、あの脳に突き刺さるような強烈な甘さが、不思議と身体に染み渡るのです。

これぞ、ベトナムコーヒーが仕掛ける「甘い罠」であり、「謎の中毒性」の正体。

ベトナムを訪れた際は、ぜひこの「洗礼」を受けてみてください。

最初は驚くかもしれませんが、きっとあなたも、この甘く危険な魅力の虜になるはずです。

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エンジニア

幼少期をアメリカで過ごし、現在は世界を転々としながらコードを書くノマドエンジニア。

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