​ハノイ西湖(ホータイ)観光の魅力と現地の人に愛される理由

2026.01.27
文化・歴史

ハノイについて調べると、きっと一度は ホアンキエム湖(ホー・グオム)と西湖(ホータイ)この二つの湖の名前を目にするはずだ

ホアンキエム湖が、千年の歴史を抱えた「古いハノイ」だとしたら、 西湖はもっと静かで、もっと個人的な場所だ。

週末には歩行者天国になり、いつも人でにぎわうホアンキエム湖。その一方で、西湖は少し距離を置くように、 ハノイの日常をやさしく見守っている。


ハノイ西湖(ホータイ)とは|基本情報・アクセス・一周17km

西湖(ホータイ)は、ベトナム・ハノイで最も大きな淡水湖です。市の北西部、西湖区に位置し、旧市街からは約5kmほど。

遠すぎず、近すぎず。 人がふと思い立ったときに、自然と向かえる距離にあります。

面積はおよそ5平方キロメートル(約500ヘクタール)、湖を一周すると約17km。

湖の周りには、静かな住宅街、湖畔のカフェ、古い寺院、緑の多い公園が点在し、自然と都市の生活がとても穏やかに混ざり合っています。

旧市街からGrabやタクシーで向かう人もいれば、散歩やランニングの延長で訪れる人もいる。

西湖は「目的地」というより、日常の流れの中に、ふっと現れる場所です。


「悲しいとき、西湖に行ったことがないハノイ人を探すのは難しい」

ベトナムには、こんな言葉がある。

「悲しいときに西湖へ行ったことがないハノイ人を、私は知らない。」

西湖は、 人が“悲しみ”という感情を知った頃から、そこにあった。そんなふうに言われることもある。

昔、西湖は「浪泊(ラン・バク)」と呼ばれていた。 意味は、「さまよい、漂う場所」。

湖へ向かう道は「古魚(コー・グー)」。 名前を聞くだけで、少し胸が締めつけられる。

実際、15世紀ごろから、 王や詩人たちはこの湖を訪れ、 帰りには決まって「なんとも言えない寂しさ」を歌に残した。

21世紀になり、 FacebookやInstagramがあっても、ハノイの人にとって、西湖の代わりはまだ見つかっていない。


ハノイの若者と西湖の関係

恋人とけんかしたら、西湖。
別れたら、西湖。
仕事を失ったら、西湖。
将来がよく分からなくなったら、西湖。

理由は違っても、行き着く場所は、なぜか同じだ。


ハノイ西湖観光|はじめて来た人へ

正直に言えば、一度来ただけでは、「ただの湖」にしか見えないかもしれない。

中心部より少し涼しくて、 空気が少しきれいで、 人が少しゆっくりしている。

「観光名所」としては物足りない。それだけの場所に見えるだろう。

でも、 ぜひ一度、自転車で一周してみてほしい。

きっと、見え方が変わる。


西湖でおすすめしたいこと

西湖を一周する(徒歩・自転車・ランニング)

西湖周辺には、自転車を時間単位や1日単位で貸してくれるレンタルショップも点在しています。

実際に借りられる店の一例として、Hanoi Bikesのサイトも置いておきます(営業時間や場所は行く前に最新情報を確認してください)。

自転車を借りて、湖を一周する。
湖は広く、道も比較的走りやすい。
特に夕方、サンセットの時間帯は格別だ。

西湖で食べる・飲む(カフェ・軽食・ローカルおやつ)

湖のそばで、軽く食べて、お茶を飲む。高級である必要はない。

ベトナムらしい、気取らない時間を楽しみたい。

西湖アイスやボービアを味わう。

子どものころの記憶を呼び起こすような、素朴な味。

ベンチに座って、ただ湖を見る

何もしない、という贅沢な選択。


私と西湖の、いくつもの時間

ハノイで暮らし、学び、働いてきた4年間。正直に言うと、 自分が何回、西湖に来たのかはもう覚えていません。

西湖は、心の重たいものを少し下ろす場所です。 バイクで湖を一周するだけで、胸の中のざわざわが、少し静かになる。

初めてハノイに来た日。 何も分からなかったけれど、西湖に行きたいと思いました。

初めて好きな人ができて、一緒に湖を歩いたこと。

告白されたのも西湖でした。
けんかをして、泣いたのも西湖。
試験に失敗した日。
初めての失恋。
何年ぶりかに再会した友人と、長い時間話し込んだ夜。

すべての記憶に、西湖があります。

西湖は、 黙って話を聞いてくれる、やさしい友だちのような存在でした。

ある年、湖の魚が大量に死んだことがありました。 原因は水質汚染だと言われましたが、私たちは冗談でこう言いました。

「きっと、悲しみを吸い込みすぎたんだ。」

この湖を訪れる人は、 誰もが何かしらの想いを、ここに置いていくのだから。


日本で言えば、どこに近いだろう

日本にいた頃、新宿御苑の緑の中で半日を過ごしたり、明治神宮や隅田川沿いをゆっくり歩いたりするのが大好きでした。

そこにあるのは、都会の真ん中とは思えないほどの「完全な静寂」です。

ハノイの西湖を歩くと、あの日本で感じた心地よい開放感を思い出します。しかし、西湖には日本とは違う、ある「特別な表情」があります。

それは、目の前にはどこまでも広がる穏やかな湖面があるのに、すぐ後ろにはバイクの騒音や人々のせわしない日常が流れているという対比です。

ハノイという激しい街の中で、西湖はまるで魂を優しく包み込んでくれるシェルターのようです。広大な水面を見つめていると、騒がしい街の中にいながらも、自分の時間だけがゆっくりと流れていくのを感じます。将来について深く考えたり、あるいは何も考えずにただ空の雲を眺めたり。

誰もが言葉にできない想いを抱えて、この湖にやってきます。


おわりに

西湖は、観光地というより、 感情の置き場所なのだと思う。ハノイという忙しい街の中で、 人が人のままでいられる、 数少ない場所。

もしあなたがハノイに来たなら、予定を一つ減らして、西湖に寄ってみてほしい。きっと、 その街が、少し違って見えるはずだから。

この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。
ライター

日本での生活経験あり。リンランを生活圏に、文化背景の翻訳と取材サポートを担当。

関連記事

目次