ベトナムのハス茶(蓮茶)は、スーパーで200円ほどのティーバッグと、100gで数千円する専門店の茶葉が、同じ「蓮茶」の名前で並んでいる。値段の差は、蓮の香りを何で付けたかの差だ。この記事では、種類ごとの値段と、棚の前で見分ける方法を書く。

ベトナムのハス茶(蓮茶)とは|蓮の花の香りを移した緑茶
ベトナムのハス茶は、緑茶の茶葉に蓮の花の香りを移したお茶だ。ベトナム語では Trà sen(チャーセン)、北部では Chè ướp sen(チェー・ウォップ・セン=蓮で香りを付けたお茶)とも呼ばれる。日本では「ハス茶」「蓮茶」「ロータスティー」と呼ばれるが、蓮の葉や芯のお茶まで含めてこう呼ぶ商品もある。この記事で扱うのは、緑茶に蓮の花の香りを移した Trà sen だ。
土台になる茶葉は、北部タイグエン(Thái Nguyên)省の緑茶が多い。蓮はベトナムで国の花のように親しまれていて、ハノイの西湖(タイホー)周辺は昔から蓮茶づくりの土地として知られている。
蓮葉茶(Trà lá sen/チャー・ラー・セン)は、蓮の葉を乾かしたお茶。緑茶ではない。
蓮の芯の茶(Trà tim sen/チャー・ティム・セン)は、蓮の実の中にある緑の芯を乾かしたもの。

蓮の芯の茶は、スーパーでも蓮茶と同じお茶の棚に並んでいる。袋に「Tâm Sen」(tâm も tim も「芯」の意味)と書かれていたら、蓮茶ではなく芯のお茶だ。写真の袋には135,000ドン(約810円)の値札が付いていた。
ハス茶の種類と値段|ティーバッグ・箱入り茶葉・西湖の伝統製法
ハス茶は、香りの付け方で値段の桁が変わる。先に全体を表で見ておく。
| 種類 | 香りの付け方 | 値段の目安 | 円換算 | 買える場所 |
|---|---|---|---|---|
| ティーバッグ | 香料 | 25袋(50g)30,500〜33,000ドン | 約180〜200円 | スーパー |
| スーパーの箱入り茶葉 | 商品による(蓮の花で香り付けと書かれたものもある) | 100g 75,000〜85,000ドン/125g 326,700ドン/フエの蓮茶25g 139,000ドン | 約450〜510円/約1,960円/約830円 | スーパー |
| 伝統製法の茶葉 | 蓮の雄しべと茶葉を重ねて、何度も香りを移す | 100g 50万〜100万ドン(10gの小袋は67,000ドン前後) | 約3,000〜6,000円(小袋は約400円) | 専門店・西湖周辺の作り手 |
| 花ごと包んだもの | 茶葉を蓮の花の中に入れて一晩おく | 1輪3万〜10万ドン/乾燥させた20輪入りの箱120万ドン | 約180〜600円/約7,200円 | 西湖周辺の作り手・専門店 |
ティーバッグ|25袋で約200円、香りは香料
いちばん安く、スーパーでよく見かけるのがティーバッグだ。定番の Cozy(コージー)の「Trà Túi Lọc Cozy Hương Sen」は、2g×25袋入りがロッテマートで30,500〜33,000ドン(約180〜200円)。原材料欄は緑茶と合成香料(蓮の香り)で、蓮の花そのものは使っていない。
1袋ずつ包装されていて軽いので、職場で配るお土産には使いやすい。「蓮茶を飲んだことがある」と言える入口としては十分な値段だ。
スーパーの箱入り茶葉|100gで500円前後から
茶葉をそのまま箱や袋に詰めた商品もスーパーに並ぶ。Phúc Long(フックロン)の「Trà Hương Sen Cao Cấp」100gはイオンの通販で85,000ドン(約510円)、セール時は75,000ドン。商品説明では、蓮の花と雄しべで何度も香りを移していると書かれている。
ロッテマートの Hương Mai(フオンマイ)「Trà Sen」は125g入りで326,700ドン(約1,960円)。こちらも蓮の雄しべ(nhị sen)で香りを付けたと説明している。

蓮茶はハノイの西湖だけのものではなく、中部フエの蓮茶もスーパーに並ぶ。2026年5月に見た棚では、Mộc Truly Huế(モック・トゥルーリー・フエ)の「Trà Hoa Sen」8g×5袋が189,000ドン(約1,130円)、花の中で香りを付けた「Trà Hoa Sen ướp xổi」25gが139,000ドン(約830円)だった。どちらもセール中の値段で、通常は199,000ドンと149,000ドンだ。
同じスーパーの棚でも、ティーバッグと箱入り茶葉では原材料がまったく違う。見分け方は次の見出しで書く。
伝統製法の茶葉|100gで3,000〜6,000円
ハノイで「本物の蓮茶」と言われるのがこれだ。朝早くに摘んだ蓮の花から、中心にある白い粒のような雄しべ(gạo sen=蓮の米)だけを取り出し、茶葉と重ねて一晩おいてから乾かす。これを何度も繰り返して香りを移していく。茶葉1kgに使う花は、作り手や等級によって700〜1,500輪ほどになる。
専門店の値段は100gで50万〜100万ドン(約3,000〜6,000円)が目安で、1kgに直すと500万〜1,000万ドンだ。10gの小袋(67,000ドン前後・約400円)を置いている店もあるので、1人に渡す分だけ買うこともできる。
茶葉にするときに雄しべはふるい落とすため、袋を開けても花は入っていない。見た目は普通の緑茶で、香りだけが違う。
花ごと包んだもの|蓮の季節だけの生の蓮茶

開きかけた蓮の花の中に茶葉を入れ、花びらを閉じて一晩おいたものが「Trà ướp bông sen(花ごと香りを付けた蓮茶)」だ。花を開いて、中の茶葉と雄しべをそのままポットに入れて淹れる。
値段は1輪3万〜10万ドン(約180〜600円)。蓮が咲く6〜7月に作られ、生のものは冷凍庫で保存する。旅行中に持ち歩くのには向かない。
持ち帰れる形にしたのが、花ごと乾燥させた(sấy thăng hoa=フリーズドライ)商品で、20輪入りの箱が120万ドン(約7,200円)ほど。見た目はいちばん華やかだが、日本に持ち込むときの扱いが茶葉とは違う(持ち帰りの注意で書く)。
本物のハス茶とフレーバーティーの見分け方
ハス茶が「本物か」は、商品名ではなくパッケージ裏の原材料欄(Thành phần)で見る。商品名に「Hương Sen(蓮の香り)」と入っていても、香料の商品もあれば、蓮の花で香りを付けた商品もあるからだ。
原材料欄や商品説明に出てくる言葉は、次のように読む。
| ベトナム語の表示 | 意味 | どの蓮茶か |
|---|---|---|
| hương liệu/hương liệu tổng hợp | 香料/合成香料 | 香料で香りを付けたフレーバーティー |
| ướp sen | 蓮で香りを付けた | 蓮の花を使った蓮茶 |
| gạo sen/nhị sen/nhụy sen | 蓮の雄しべ | 伝統製法の蓮茶 |
| ướp bông sen | 花ごと香りを付けた | 花ごと包んだ蓮茶 |
| ướp xổi | 花の中に茶葉を入れて一晩で香りを付けた | 花ごと包んだ蓮茶と同じ作り方 |
| lá sen | 蓮の葉 | 蓮葉茶(緑茶ではない) |
| tim sen | 蓮の芯 | 蓮の芯の茶 |
ハス茶はどこで買う?スーパー・専門店・空港
スーパー|ティーバッグと箱入り茶葉ならここ

ティーバッグと箱入り茶葉は、WinMart(ウィンマート)、ロッテマート、イオンといった全国チェーンのスーパーのお茶の棚で買える。ばらまき用に数をそろえるなら、スーパーがいちばん安い。
専門店・西湖周辺の作り手|伝統製法と花ごとの蓮茶

伝統製法の茶葉や花ごとの蓮茶は、スーパーではほとんど扱っていない。ハノイでは、西湖の東側のクアンアン(Quảng An)やクアンバー(Quảng Bá)一帯が昔から蓮茶の作り手が集まる地区で、ほかに旧市街のお茶の専門店でも売っている。専門店には、試飲してから買える店もある。
花ごとの蓮茶を見かけるのは、蓮が咲く6〜7月だ。西湖の蓮畑の今の様子と見られる場所は、別の記事で紹介している。
市場・空港|ついでに買うなら
ホーチミンのタンディン市場では、ナッツや乾物の店にジャスミン茶などの花茶と一緒に蓮茶も置いてある。ダナンのハン市場にもコーヒーとお茶を扱う店が並ぶ。
買い忘れたときは空港の売店でも買えるが、同じ商品でも市内より高いことが多い。ハノイのノイバイ空港の売り場はハノイのお土産の記事に書いている。
ハス茶の味と飲み方

どんな味?|緑茶の渋みに蓮の甘い香り
味は緑茶そのもので、口に含むと蓮の花の甘い香りが立つ。伝統製法の茶葉は、渋みが穏やかで後味に甘さが残るように作られている。
熱湯で長く出すと渋くなるので、渋いと感じたら浸す時間を短くするか、茶葉を減らす。花ごと包んだタイプは、お茶に慣れた人には花の生っぽい匂いが感じられることがある、と作り手が説明している。
淹れ方の目安
| 種類 | 分量 | お湯と時間 |
|---|---|---|
| ティーバッグ | 1袋 | 熱湯を注いで4〜5分 |
| 茶葉 | 5g | 熱湯100mlで2〜3分 |
| 花ごと包んだもの | 1輪で大きめのポット1つ分(少人数なら半分) | 花から茶葉と雄しべを出してポットに入れ、熱湯を注ぐ |
ティーバッグと茶葉の時間は、パッケージに書かれている目安だ。
ベトナムではいつ飲む?
ベトナムでは食後や来客のときにお茶を出す習慣があり、テト(旧正月)には年始のあいさつに来た人に熱いお茶と砂糖漬けのお菓子を出す。
旅行中に蓮茶に出会うのはカフェだ。コーヒーを頼むと、口直しのジャスミン茶や蓮茶がポットで無料で出てくる店が多い。
ベトナムのほかのお茶|ジャスミン茶・緑茶・花茶
ハス茶と並んで、お土産の棚によく置かれているお茶の値段は次のとおり。
| お茶 | ベトナム語 | 量と値段 | 円換算 |
|---|---|---|---|
| タイグエン産の緑茶(茶葉) | Chè Thái Nguyên | 200g 63,800ドン(スーパー) | 約380円 |
| ジャスミン茶 | Trà nhài(北部)/Trà lài(南部) | 100g 60,000ドン(タンディン市場) | 約360円 |
| ローズティー | Trà hoa hồng | 100g 60,000ドン(タンディン市場) | 約360円 |
| カモミールティー | Trà hoa cúc | 100g 50,000ドン(タンディン市場) | 約300円 |
| 蓮の芯の茶 | Trà tim sen | 100g 45,000ドン(タンディン市場) | 約270円 |
ジャスミン茶は蓮茶より香りがはっきりしていて、初めてベトナムのお茶を飲む人でも飲みやすい。食堂で出てくる氷入りのお茶(Trà đá=チャーダー)は、ハノイのフォーの店では1杯5,000ドン(約30円)ほどだ。
タンディン市場の花茶の札は、ベトナム語の下に英語も書いてあるので、読めなくても選べる。
ハス茶を日本に持ち帰るときの注意
茶葉の蓮茶とティーバッグは、日本の植物検疫の対象外なので、そのままスーツケースに入れて持ち帰れる。植物防疫所が輸入植物検疫の対象とならない植物として「製茶」を挙げているためだ。
ほかの食品のお土産と持ち帰りのルールは、ハノイのお土産の記事にまとめて書いている。
ハス茶のよくある質問
ハス茶にカフェインはある?
ある。ベトナムのハス茶は緑茶に香りを付けたものなので、緑茶と同じようにカフェインを含む。日本食品標準成分表では、煎茶の浸出液100gあたりのカフェインは約20mgだ。一方、蓮の葉だけで作る蓮葉茶(Trà lá sen)は、日本でもノンカフェインとして売られている。カフェインを避けたいなら、原材料欄に trà xanh/chè(緑茶)が入っていない蓮葉茶を選ぶ。
ハス茶はまずい?
味は緑茶に蓮の香りが付いたもので、苦みの強いお茶ではない。渋いと感じたら、浸す時間を短くするか茶葉を減らす。香料の強さが気になる人は、スーパーのティーバッグではなく、蓮の花で香りを付けた茶葉を選ぶ。
本物のハス茶はいくら?
蓮の雄しべで香りを付けた伝統製法の茶葉は、専門店で100gあたり50万〜100万ドン(約3,000〜6,000円)が目安だ。10gの小袋なら67,000ドン前後(約400円)で買える店もある。
お土産にするならティーバッグと茶葉のどちら?
何人かに配るならティーバッグ(25袋で約200円、個包装で軽い)。1人に「ハノイの蓮茶」として渡すなら、伝統製法の茶葉の小袋か小箱が向いている。
ハス茶はどこで買うのが安い?
ティーバッグと箱入り茶葉は、WinMart・ロッテマート・イオンなどのスーパーがいちばん安い。空港でも買えるが、市内より高いことが多い。
ベトナムのハス茶まとめ
ベトナムのハス茶は、香料で香りを付けたティーバッグなら25袋で約200円、蓮の雄しべで香りを移した伝統製法の茶葉なら100gで3,000〜6,000円と、同じ重さで比べると約8〜16倍ちがう。買う前に原材料欄を見て、hương liệu(香料)か、gạo sen・nhị sen(蓮の雄しべ)かを確かめれば、値段に見合ったものを選べる。
ばらまき用はスーパーのティーバッグ、ハノイらしい1品なら伝統製法の小袋、と分けて選ぶといい。ベトナムのほかのお土産は、こちらで紹介している。