ブンボーフエ(Bún bò Huế)は、ベトナム中部の古都フエの、牛肉の入った米の麺のスープ料理だ。
丸い米の麺「ブン」を、レモングラスとエビの調味料「ルオック」で香りを付けたスープで食べ、仕上げに赤い唐辛子の油をかける。
2025年6月には、文化スポーツ観光省が「ブンボーフエについての民間の知識」を国の無形文化遺産の一覧に入れた。
この記事では、フォーとの違い、辛さ、添える野菜と食べ方、店のメニューの値段を、写真と一緒に紹介する。
ブンボーフエとは|名前の意味と、スープ・麺・具
ブンボーフエは、「ブン(Bún=米の麺)」「ボー(Bò=牛肉)」「フエ(Huế=町の名前)」をつなげた名前で、「フエの牛肉の米麺」という意味だ。
国の観光局のサイトも、名前の「Bò」は牛肉の意味だと紹介している。
フエはベトナム中部の古都で、文化遺産局によると、ブンボーフエはフエの毎日の食べ物で、祭りや法事、宴会の席にも出る。
スープ|牛と豚の骨、レモングラス、ルオック
スープは、牛と豚の骨を煮て、レモングラスとルオックで香りを付ける。
文化遺産局の説明では、牛のすねの骨、豚の骨、豚足、牛のすね肉のかたまりを煮る。そこに、つぶして束ねたレモングラスと、軽く焼いたエシャロットか玉ねぎを入れる。
ルオック(ruốc)はエビで作る調味料で、フエの海沿いのトゥアンアン(Thuận An)の名物の物を溶いて沈ませ、こしたすんだ上ずみを使う。仕上げに、赤みがかったオレンジ色の唐辛子の油を軽くかける。
国の観光局のサイトは、スープの味付けとして、ニンニク、エシャロット、パプリカ、エビのペースト、レモングラス、ハーブ、ライムを挙げている。
ルオックは、ベトナムの調味料の記事では「マムルオック(Mắm ruốc)」の名前で出てくる。調味料の味と値段は、こちらで紹介している。
麺|丸い米の麺「ブン」
麺は、丸い米の麺「ブン」だ。文化遺産局は、ブンボーフエのブンは、丸くて、やわらかいのに弾力があり、切れない麺でなければならないとしている。
ブンは、白い米に、でんぷんの粉(bột lọc)を合わせて作る。ブンという麺と、ほかのブン料理は、こちらで紹介している。
具|牛のすね・豚足・つみれ・血
具は、牛肉と豚足が基本で、つみれや、血を固めた物を好みで足す。
文化遺産局の説明では、豚足と、牛のすねかすじの肉を、やわらかくなりすぎないように煮る。カニのつみれ、牛肉のハム(練り物)、ゆでた血は、好みで足す。
国の観光局のサイトは、牛のブリスケット(胸の肉)のほか、豚足や、固めた血のかたまり、ロースの細切りなど、豚肉も多く使うと紹介している。
文化遺産局の説明に出てくる具の名前と、ブンボーフエの店グーウエン(Ngự Uyển)のメニューでの書き方は、次のとおり。
| 具 | ベトナム語 | 説明 |
|---|---|---|
| 牛肉(すね・すじ) | Bắp bò/Gân bò | 豚足と一緒に、やわらかくなりすぎないように煮る |
| 豚足 | Giò heo(グーウエンのメニューでは Móng giò) | スープを取る時にも使う |
| カニのつみれ | Chả cua | 好みで足す |
| 牛肉のハム(練り物) | Chả bò | 好みで足す |
| 血を固めた物 | Huyết(グーウエンのメニューでは Tiết) | ゆでた血を好みで足す |
写真の一杯には、薄切りの牛肉、豚足、ピンク色のハムのような薄切りと、赤紫色の四角い具が入っていた。スープの表面には、赤い油が浮いていた。

2025年に国の無形文化遺産に
文化スポーツ観光省は、「ブンボーフエについての民間の知識(Tri thức dân gian về Bún bò Huế)」を国の無形文化遺産の一覧に入れた。
決定は2025年6月27日(2203/QĐ-BVHTTDL)だ。ベトナム政府の電子新聞によると、材料の選び方、スープの煮出し方、味付け、盛り付けまでの、フエで受け継がれてきた知識が認められた。
ここで言う無形文化遺産は、ユネスコの一覧ではなく、ベトナムの国の一覧だ。
フォーも、「ハノイのフォーについての民間の知識(Tri thức dân gian Phở Hà Nội)」が国の一覧に入っている。決定は2024年8月9日(2328/QĐ-BVHTTDL)だ。
ブンボーフエとフォーの違い|麺・スープ・辛さ
麺の形とスープの味が違う。
フォーは、平たい米の麺を、牛か鶏の骨を長く煮たスープで食べる北部の料理だ。ブンボーフエは、丸い米の麺ブンを、レモングラスとルオックで香りを付け、唐辛子の油をかけたスープで食べるフエの料理だ。
| 比べる所 | ブンボーフエ(Bún bò Huế) | フォー(Phở) |
|---|---|---|
| 生まれた土地 | 中部のフエ | 北部 |
| 麺 | 丸い米の麺(ブン)。白い米に、でんぷんの粉を合わせて作る | 平たい米の麺。薄くて弾力がある |
| スープ | 牛と豚の骨、豚足、牛のすね肉を煮て、レモングラスとルオックで香りを付ける | ふつうは牛か鶏の骨を、約24時間と長く煮る。しょうがや八角を使う |
| 辛さ | 仕上げに唐辛子の油をかける | テーブルの唐辛子のたれなどで足す |
| 主な具 | 牛のすね・すじ、豚足(好みで、つみれや血を固めた物) | 牛肉(フォーボー)か鶏肉(フォーガー) |
| 国の無形文化遺産 | 2025年6月27日の決定 | 「ハノイのフォーについての民間の知識」が2024年8月9日の決定 |
フォーの列は、国の観光局のサイト(平たい麺・北部)と、ハノイ市の文化スポーツ局の「ハノイのフォー」の説明による。フォーの歴史や種類、食べ方は、こちらで紹介している。
ブンボーフエは辛い?どんな味?
文化遺産局の説明では、レモングラスとルオックの香りが強く、辛さは軽めの味だ。骨と肉から出るすっきりした甘みに、唐辛子の軽い辛さ、ヌクマムの塩気、ライムのやわらかな酸味が加わる、とも書いている。
辛さは、仕上げに軽くかける赤い唐辛子の油で付き、文化遺産局はこの油がぴりっとした辛さを出すと書いている。
文化スポーツ観光省の英語のサイトも、「spicy beef noodle soup(辛い牛肉の麺のスープ)」と紹介している。
写真の一杯には、唐辛子の薬味が小皿で別に付いてきた。辛いのが苦手なら、小皿の唐辛子は入れずに、スープの味を見てから少しずつ足すとよい。
ブンボーフエの食べ方|添える野菜・ライム・唐辛子
添えて出てくる野菜と香草をスープに入れ、ライムを搾り、辛さは唐辛子で足して食べる。文化遺産局は、ブンボーフエに添える生の野菜として、若い青菜(cải non)、もやし、バナナの花、香草を挙げている。
国の観光局のサイトも、ベトナムの麺のスープは、ふつうはライムや唐辛子、香りの強い香草で、食べる人がテーブルで味を整えると紹介している。
写真の一杯には、バジルのような香草、バナナの花のような赤茶色の細切り、もやし、ライムをのせた皿と、唐辛子の薬味の小皿が付いてきた。

- スープを一口飲んで、味を見る
- 皿の野菜と香草を、好きなだけ丼に入れる
- ライムを搾る
- 辛さが足りなければ、唐辛子を少しずつ足す
ブンボーフエの値段|店のメニュー
ブンボーフエの店「グーウエン(Ngự Uyển)」のメニューでは、ふつうの一杯(Bát vừa)が48,000ドン(約290円)だった。
具がそろった一杯(Bát đầy đủ)は58,000ドン(約350円)だった。この一杯には「BÁN CHẠY(よく売れている)」の印が付いていた。
店は、ハノイのグエン・ティ・ディン通り(Nguyễn Thị Định)119番地にある(上の写真の一杯とは別の店)。メニューは、2026年5月に行った時の物だ。店の場所はGoogleマップで見られる。

メニューの「BÚN BÒ HUẾ」の欄には、5つの一杯が並んでいた。
| メニューの書き方 | どんな一杯か | 値段 |
|---|---|---|
| Bát trẻ em | 子ども用の一杯 | 35,000ドン(約210円) |
| Bát vừa | ふつうの一杯 | 48,000ドン(約290円) |
| Bát không móng | 豚足なしの一杯 | 55,000ドン(約330円) |
| Bát đầy đủ | 具がそろった一杯(よく売れている印つき) | 58,000ドン(約350円) |
| Bát đặc biệt | 特別の一杯 | 75,000ドン(約450円) |
それぞれの中身の違いは、メニューには書いていない。

同じページには、具を1つずつ頼む時の値段も出ていた。
| メニューの書き方 | 具 | 値段 |
|---|---|---|
| Móng giò | 豚足(1切れ) | 15,000ドン(約90円) |
| Chả cua / Mọc thịt bò | カニのつみれ/牛肉のつみれ(1個) | 5,000ドン(約30円) |
| Giò bò | 牛肉のハム(練り物・1つ) | 10,000ドン(約60円) |
| Tiết | 血を固めた物 | 10,000ドン(約60円) |
| Quẩy | 揚げパン(2本) | 5,000ドン(約30円) |

値段はこの店のメニューの物で、ほかの店も同じとは限らない。ダナンで中部の料理を出す店のメニューと値段は、こちらで紹介している。
ブンボーフエはどこで食べられる?
フエの料理で、文化遺産局によると、フエでは高級な店から天びん棒をかついだ行商まで、どこにでもある。
フエのほかの町にも店があり、夜の通りには「BÚN BÒ HUẾ」と書いた光る看板の店があった。その看板には、名前の似た別の料理のブンボーナムボー(Bún bò Nam Bộ)も並んでいた。

即席麺もある。スーパーの即席麺の売り場には、VIFONの「Bún Bò Huế」の段ボールが置いてあった。
箱には「”HUẾ” STYLE INSTANT RICE VERMICELLI BEEF FLAVOR」と書いてあった。ベトナムの即席麺の種類と値段は、こちらで紹介している。
よくある質問(FAQ)
ブンボーフエとは何ですか?
ベトナム中部の古都フエの、牛肉の入った米の麺のスープ料理だ。「ブン」は米の麺、「ボー」は牛肉、「フエ」は町の名前。
丸い麺のブンを、牛と豚の骨を煮て、レモングラスとエビの調味料ルオックで香りを付けたスープで食べる。
ブンボーフエとフォーの違いは何ですか?
麺の形とスープが違う。
フォーは平たい米の麺を、牛か鶏の骨のスープで食べる北部の料理。ブンボーフエは丸い米の麺のブンを、レモングラスとルオックの香りの、唐辛子の油をかけたスープで食べるフエの料理だ。
ブンボーフエの食べ方は?
添えて出てくる野菜と香草(もやし、バナナの花など)をスープに入れ、ライムを搾り、辛さは唐辛子で好みに足す。
ブンボーフエは辛いですか?
唐辛子の辛さはあるが、強すぎない。文化遺産局は「辛さは軽いが、レモングラスとルオックの香りが強い」と説明している。
辛さは仕上げの唐辛子の油で付き、もっと辛くしたい時は唐辛子を足す。
ブンボーフエの血の塊は何ですか?
血を固めた具だ。国の観光局のサイトは、ブンボーフエに使う豚肉の一つとして挙げている。
文化遺産局の説明ではHuyết、グーウエンのメニューではTiếtと書いてあり、具を1つずつ頼む時の値段は10,000ドン(約60円)だった。
まとめ|丸い米の麺を、レモングラスとルオックのスープで
ブンボーフエは、フエの、牛肉の入った米の麺のスープだ。フォーとは、麺の形(丸いか平たいか)と、スープ(レモングラスとルオックの香り、唐辛子の油)が違う。
辛さは強すぎず、添えて出てくる野菜とライム、唐辛子で好みの味にして食べる。グーウエンのメニューでは、ふつうの一杯が48,000ドン(約290円)だった。
ほかのベトナムの麺料理は、こちらで紹介している。