ベトナムの食堂の看板には「Phở」のほかに「Bún」「Mì」「Hủ tiếu」と、見慣れない名前が並ぶ。これは麺の種類の名前で、後ろに続く言葉が具や土地の名前を表している。
麺の名前を6つ覚えれば、看板とメニューはだいたい読める。
ベトナムの麺の種類|看板に出る6つの名前と、原料・見た目の違い

ベトナムの麺は、原料と形で名前が分かれる。店の看板やメニューには、この麺の名前がそのまま書かれている。
| 麺の名前 | 原料 | 見た目 | 代表的な料理 |
|---|---|---|---|
| フォー(Phở) | 米 | 白くて平たい | フォーボー、フォーガー |
| ブン(Bún) | 米 | 白くて丸い。細い麺から太い麺まである | ブンチャー、ブンボーフエ、ブンリエウ |
| ミー(Mì) | 小麦(卵入りが多い) | 黄色い中華麺 | ワンタン麺、ミーサオ(焼きそば) |
| フーティウ(Hủ tiếu) | 米が中心(タピオカ粉を混ぜる麺や、タピオカで作る麺もある) | 半透明で、コシのある細い麺 | フーティウナムヴァン |
| ミエン(Miến) | 緑豆などのでんぷん | 透明な春雨 | ミエンガー、ミエンルオン |
| バインカン(Bánh canh) | 米粉やタピオカ粉(両方を混ぜるものもある) | 太くて丸い、もちもちした麺 | バインカンクア |
このほかに、その土地の名物として知られる麺が3つある。
- ミークアン(Mì Quảng):ダナン周辺の麺。「ミー」とつくが平たい米の麺で、ウコンで色をつけた黄色い麺が多いが、白い麺もある
- カオラウ(Cao lầu):ホイアンの麺。うどんに似た太い麺で、しっかりしたコシがある
- バインダー(Bánh đa):米から作る平たい麺。港町ハイフォン名物のバインダードー(Bánh đa đỏ)は茶色く、カニのスープで食べるバインダークアに使う
料理名の読み方|麺の名前の後ろにつく言葉
料理名は「麺の名前+具や調理法」の順に並ぶ。たとえば「Bún bò Huế」はブン+牛肉+フエ(地名)、「Mì xào」は炒めた小麦の麺、つまり焼きそばになる。
よく出てくる言葉
- 具:bò(ボー)=牛肉/gà(ガー)=鶏肉/heo(ヘオ)=豚肉/cua(クア)=カニ/cá(カー)=魚/tôm(トム)=エビ
- 食べ方:nước(ヌオック)=スープ入り/khô(コー)=汁なし/trộn(チョン)=和える・混ぜる/xào(サオ)=炒める
フォーとブンの違い|いちばん見かける2つの米の麺
どちらも米から作る麺だが、作り方と使い道が違う。
フォーは、米の生地を薄く蒸してから細く切った平たい麺で、スープに入れて食べる料理がほとんどだ。ブンは、生地を小さな穴から押し出して作る丸い麺で、スープ麺にも、つけ麺にも、汁なしの和え麺にも使われる。
日本のビーフンに近いのはブンで、ブンのほうが太くて柔らかい。春雨にあたるのはミエンになる。
フォーそのものの歴史や種類、ブンを使った料理はそれぞれこちらで紹介している。
ベトナムの麺料理16品の一覧|汁あり・汁なしと値段
北部・中部・南部で名物の麺が違う。値段は現地の店での目安で、ホーチミンのベンタイン市場のような観光地の食堂では、ローカルの店より少し高く出る。
| 料理 | 麺 | スープ | 地域 | 値段の目安 |
|---|---|---|---|---|
| フォー(Phở) | フォー | あり | 北部 | 40,000〜90,000ドン |
| ブンチャー(Bún chả) | ブン | つけ麺 | ハノイ | 50,000〜80,000ドン |
| ブンリエウ(Bún riêu) | ブン | あり | 北部 | 35,000ドン前後から |
| ブンダウマムトム(Bún đậu mắm tôm) | ブン | なし(タレにつける) | 北部 | 45,000〜70,000ドン |
| ブンボーナムボー(Bún bò Nam Bộ) | ブン | なし | ハノイ | 60,000〜70,000ドン |
| ミエンルオン(Miến lươn) | ミエン | あり/和え | ハノイ | 30,000〜50,000ドン |
| バインダークア(Bánh đa cua) | バインダー | あり | ハイフォン | 30,000〜70,000ドン |
| ブンボーフエ(Bún bò Huế) | ブン(太め) | あり | フエ | 40,000〜70,000ドン |
| ミークアン(Mì Quảng) | ミークアン | 底に少し | ダナン | 35,000〜60,000ドン |
| カオラウ(Cao lầu) | カオラウ | ほぼなし | ホイアン | 45,000ドン前後 |
| ブンチャーカー(Bún chả cá) | ブン | あり | ダナン | 35,000〜65,000ドン |
| バインカン(Bánh canh) | バインカン | あり | 中部・南部 | 25,000〜30,000ドン |
| フーティウ(Hủ tiếu) | フーティウ | あり/なし | ホーチミン | 50,000〜100,000ドン |
| ブンティットヌン(Bún thịt nướng) | ブン | なし | ホーチミン | 35,000〜55,000ドン |
| ブンマム(Bún mắm) | ブン | あり | メコンデルタ | 50,000〜80,000ドン |
| ワンタン麺(Mì hoành thánh) | ミー | あり | ホーチミン | 60,000ドン前後 |
北部(ハノイ・ハイフォン)の麺料理|フォー・ブンチャーなど7品
北部の麺は、澄んだスープや甘酸っぱいタレの、あっさりした味が多い。
フォー(Phở)──平たい米の麺と澄んだスープ

平たい米の麺を、澄んだスープで食べる。牛肉のフォーボー(Phở bò)は牛骨を中心にとったスープ、鶏肉のフォーガー(Phở gà)は鶏でとったスープを使う。フォーボーは、牛肉をレア(tái)にするか、火を通した肉(chín)にするかを選んで頼む。
スープのない料理もあり、タレで和えるフォーチョン(Phở trộn)、炒めたフォーサオ(Phở xào)がある。
値段は、ハノイの普通の店で60,000〜70,000ドン(約360〜420円)ほど。旧市街の食堂なら40,000ドン(約240円)からあり、名前の知られた店では80,000〜90,000ドン(約480〜540円)になる。
ハノイでフォーを食べる店は、1杯の値段と営業時間つきで13軒を紹介している。
ブンチャー(Bún chả)──炭火で焼いた豚肉のつけ麺

炭火で焼いた豚肉とつくねが入った甘酸っぱいタレの椀に、白いブンと生野菜をつけて食べる。揚げ春巻き(ネム)を一緒に頼む人が多い。
ハノイの店で1人前50,000〜80,000ドン(約300〜480円)。昼に開いて夕方に閉める店もあるので、夜に食べるなら営業時間を確かめてから向かう。料理そのものはブンチャーとはで詳しく書いている。
ブンリエウ(Bún riêu)──カニとトマトの赤いスープ

つぶした淡水ガニとトマトで作る赤いスープに、細いブンを入れる。揚げ豆腐や牛肉などの具を選んで足していく。「ブンリュウ」と書かれることもある。
ハノイの店で35,000ドン(約210円)前後から。具を足すと上がる。
ブンダウマムトム(Bún đậu mắm tôm)──揚げ豆腐とエビの発酵ダレ
四角く固めたブンと揚げ豆腐、きゅうり、香草を、マムトム(エビを発酵させた調味料)につけて食べる。スープはない。
マムトムはにおいが強く、好き嫌いがはっきり分かれる。値段は45,000〜70,000ドン(約270〜420円)。
ブンボーナムボー(Bún bò Nam Bộ)──炒めた牛肉をのせる汁なしの麺
温かい米の麺に、炒めた牛肉、香草、もやし、ピーナッツ、揚げたエシャロットをのせ、甘酸っぱいタレをかけて混ぜて食べる。
名前は「南部の牛肉の麺」という意味だが、ハノイの旧市街に専門店がある。1杯60,000〜70,000ドン(約360〜420円)ほど。
ミエンルオン(Miến lươn)──揚げたウナギをのせる春雨
カリッと揚げたウナギを、春雨のミエンにのせる。スープに入れたミエンルオンヌオック(Miến lươn nước)と、タレで和えたミエンルオンチョン(Miến lươn trộn)がある。
ハノイの店で30,000〜50,000ドン(約180〜300円)くらい。
バインダークア(Bánh đa cua)──ハイフォンのカニスープの茶色い麺
港町ハイフォンの名物で、茶色い平たい米の麺をカニのスープで食べる。魚の練り物、牛肉、揚げ豆腐、空芯菜などがのる。
ハノイにも専門店があり、30,000〜70,000ドン(約180〜420円)ほど。
ハノイで名物の麺を出す店は、住所と営業時間つきでこちらにまとめている。
中部(フエ・ダナン・ホイアン)の麺料理|ブンボーフエ・ミークアンなど5品
中部は唐辛子を効かせた辛い味が多い。ミークアンやカオラウのように、スープが少ない麺もある。
ブンボーフエ(Bún bò Huế)──レモングラスと唐辛子の辛いスープ

古都フエの名物。牛骨などでとったスープにレモングラスと唐辛子を効かせ、太めのブンを入れる。牛肉のほか、豚足や血を固めたものがのることが多い。
全国で食べられ、ローカルの店で40,000〜60,000ドン(約240〜360円)ほど。ホーチミンのベンタイン市場の食堂では70,000ドン(約420円)だった。
ミークアン(Mì Quảng)──器の底に少しだけスープがある混ぜ麺

幅の広い平たい米の麺(ウコンで色をつけた黄色い麺が多いが、白い麺もある)に、豚肉やエビ、ゆで卵、炒ったピーナッツをのせる。スープは器の底に少しだけで、焼いたライスペーパーを砕いて散らし、香草と一緒によく混ぜてから食べる。スープを飲み干す料理ではない。
ダナンのローカル店で35,000〜60,000ドン(約210〜360円)。観光客の多い店では80,000〜99,000ドン(約480〜590円)の例もある。
カオラウ(Cao lầu)──ホイアン名物の太い麺

見た目はうどんに似た太い麺で、しっかりしたコシがある。スープはほとんどなく、濃い甘辛のタレで和え、焼いた豚肉と香草、揚げた生地のかけらをのせる。麺は、灰を溶かした水に米を浸し、ホイアンの古い井戸バーレー(Bá Lễ)の水で作るのが昔からの作り方だ。
ホイアンの店で45,000ドン(約270円)の例がある。
ブンチャーカー(Bún chả cá)──魚の練り物が入るダナンの朝の麺

魚のすり身で作った練り物(チャーカー)を、澄んだスープとブンに入れる。ダナンでは朝ごはんの定番だ。名前は似ているが、ハノイのブンチャー(焼いた豚肉のつけ麺)とは別の料理になる。
ダナンの専門店では、基本の1杯が35,000ドン(約210円)、練り物を増やした1杯が65,000ドン(約390円)。
バインカン(Bánh canh)──太くてもちもちした麺

米粉やタピオカ粉、またはその両方で作る太い麺で、とろみのあるスープで食べる。エビや魚、豚肉、カニと合わせ、カニ入りのバインカンクア(Bánh canh cua)は南部でよく知られている。
ダナンのコン市場のフードコートには、バインカンを25,000か30,000ドン(約150か180円)の一律価格で出す店がある。
ダナンでミークアンやブンチャーカーを食べる店と値段は、こちらで紹介している。
南部(ホーチミン)の麺料理|フーティウ・ブンティットヌンなど4品
南部は砂糖を使った甘めの味つけで、もやしや香草をたっぷり入れて食べる。
フーティウ(Hủ tiếu)──スープありと汁なしを選べる南部の麺

南部に移り住んだ中華系の人たちが持ち込んだ麺で、半透明でコシがある。米で作る麺が中心だが、タピオカ粉を混ぜたものや、タピオカで作るものもあり、店によって違う。卵入りの小麦の麺ミーを一緒に入れる店もある。甘めのスープに入れるフーティウヌオック(Hủ tiếu nước)と、スープなしでタレと和えるフーティウコー(Hủ tiếu khô)があり、注文のときにどちらかを選ぶ。
カンボジア風のフーティウナムヴァン(Hủ tiếu Nam Vang)は、エビや豚肉がのる定番の1杯だ。
値段は50,000〜100,000ドン(約300〜600円)。ベンタイン市場の食堂では、海鮮のフーティウが70,000ドン(約420円)だった。
ブンティットヌン(Bún thịt nướng)──冷たいブンに焼いた豚肉をのせる

冷たいブンに、甘辛いタレに漬けて焼いた豚肉、生野菜、なます、砕いたピーナッツ、ネギ油をのせ、甘酸っぱいヌクマム(魚醤)のタレをかけて混ぜる。揚げ春巻きをのせたものもある。スープはない。
値段は35,000〜55,000ドン(約210〜330円)。
ブンマム(Bún mắm)──魚の発酵調味料で作る濃いスープ
魚を発酵させた調味料(マムカー)でとった濃いスープに、エビ、イカ、白身魚、ナスなどが入る。メコンデルタの郷土料理で、においとうま味が強い。
相場は50,000〜80,000ドン(約300〜480円)で、ベンタイン市場の食堂では60,000ドン(約360円)だった。
ワンタン麺(Mì hoành thánh)──黄色い小麦の麺とワンタン

卵入りの小麦の麺ミーにワンタンをのせたスープ麺で、ホーチミンの中華街チョロンの中華料理の流れをくむ。ベンタイン市場の食堂で60,000ドン(約360円)。
同じミーを炒めた焼きそばはミーサオ(Mì xào)と呼び、市場の食堂では牛肉入りや海鮮入りが70,000ドン(約420円)だった。
ホーチミンで麺を食べる店は、屋台から有名店まで、こちらで紹介している。
ベンタイン市場の食堂の値段は、麺以外の料理も含めてこちらに載せている。
汁なし麺・混ぜ麺・冷たい麺はどれ?
スープのない麺が食べたいときは、料理名の後ろに khô(コー=汁なし)や trộn(チョン=和える)がつく料理か、もともとスープのない料理を選ぶ。
- 汁なしで混ぜて食べる:ブンティットヌン、ブンボーナムボー、フォーチョン、フーティウコー、ミエンルオンチョン
- スープが少しだけの混ぜ麺:ミークアン、カオラウ
- タレにつけて食べる:ブンチャー、ブンダウマムトム
- 冷たい麺:ブンティットヌン(冷たいブンを使う)
汁なしの麺は、タレが器の底にたまっている。出てきたら、まず底からしっかり混ぜる。混ぜないと、麺だけを食べることになる。
麺料理の食べ方と注文のしかた

- 頼み方:看板に料理名が1つだけ書かれた店は、その1品しか出していないことが多く、座れば出てくる。メニューがある店は、料理名を指させば通じる
- 味の足し方:最初のひと口はそのまま食べ、ライム、唐辛子、ヌクマムなど卓上のものを後から足す
- 香草が苦手なとき:香草ともやしは別の皿で出てくることが多く、入れなければいい。最初からのっている料理なら「コン・ラウ・ソン(Không rau sống)=生野菜なし」、ネギ抜きは「コン・ハン(Không hành)」と伝える
- すする音:ベトナムでは麺をすする音はあまり立てない。れんげに麺と具をのせて口に運ぶ
- 支払い:食べ終わってから席で払う。ローカルの店でチップは要らない
日本でベトナムの麺を食べたい人へ
ベトナムのスーパーには、フォーやミーの袋麺とカップ麺が並んでいて、1袋20円ほどから買える。19種類を買って、値段と麺の種類を比べた記事がある。

よくある質問
ベトナムの有名な麺料理は?
ハノイのフォーとブンチャー、フエのブンボーフエ、ダナンのミークアン、ホイアンのカオラウ、ホーチミンのフーティウがよく知られている。滞在する都市の名物から選ぶといい。
ベトナムの麺は何て言うの?
麺の種類ごとに名前がある。米の平たい麺はフォー(Phở)、米の丸い麺はブン(Bún)、小麦の麺はミー(Mì)、春雨はミエン(Miến)。看板やメニューには、この名前が書かれている。インスタント麺はミーゴイ(Mì gói)と呼ぶ。
ベトナムの麺は全部米粉?
米の麺が多いが、全部ではない。ミーは小麦、ミエンは緑豆などのでんぷんで作る。バインカンは米粉のほか、タピオカ粉を使うものもある。
ブンボーフエとフォーの違いは?
フォーはベトナム北部で広まった代表的な麺料理で、平たい米の麺を牛や鶏のスープで食べる。ブンボーフエはフエの料理で、丸くて太めのブンを、レモングラスと唐辛子を効かせた辛いスープで食べる。麺の形もスープの味も違う。
ビーフンや春雨とはどう違う?
ベトナムの麺でビーフンに近いのは、米の丸い麺のブン。ブンのほうが太くて柔らかい。春雨にあたるのはミエン(Miến)で、米ではなく緑豆などのでんぷんで作る。
麺の店は何時に開いている?
朝から開く店が多い。ハノイでは朝6時から開くフォーの店がある一方、朝11時で一度閉めて夕方に開け直す店や、昼の13時半に閉めるブンモックの店もある。食べたい店が決まったら、営業時間を確かめてから向かう。
麺以外のベトナム料理は、こちらで紹介している。