結論から言うと、ホーチミンの1号線は観光に使える。
これは「東南アジアだから仕方ない」の目線で甘く採点した結果ではない。ハノイで「まだ厳しい」と書いた同じ基準で評価して、ホーチミン1号線は合格ラインを超えている。観光客の動線と路線が重なっていて、改札のタッチ決済にVISAやMastercardをかざすだけで乗れる。1駅から6駅先のタオディエンまで、バイクの洪水を横目に10分で運んでくれる。
この記事では、ホーチミン・メトロ1号線の基本情報、乗り方、運賃、そして「ハノイと何がどう違うのか」を、両方の路線に乗った目線で書いておく。ホーチミン全体の回り方はホーチミン観光ガイドにまとめている。
ホーチミン・メトロ1号線の基本情報
2024年12月22日に開業した、ベトナム南部で初めての都市鉄道。長い工事期間を経てようやく走り出したこの路線は、ホーチミン1区のベンタイン市場前を起点に、サイゴン川を渡ってタオディエンを抜け、郊外のスオイティエンバスターミナルまで東へ19.7kmを結ぶ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区間 | ベンタイン ⇄ スオイティエンバスターミナル |
| 全長 | 19.7km |
| 駅数 | 14駅(地下3駅・高架11駅) |
| 所要時間 | 全線約30分(公式値29分30秒) |
| 運行時間 | 5:00〜23:30(最終列車は平日22時台/金土日祝23時台) |
| 運行間隔 | ピーク時約6〜8分、日中10分前後 |
| 運賃 | 6,000〜20,000 VND(約36〜121円、距離別/キャッシュレスは若干安い) |
| 編成数 | 17編成 |
| 開業日 | 2024年12月22日 |
| 車両 | 日立製作所製(山口県笠戸事業所) |
名前は「メトロ(地下鉄)」だが、地下区間はベンタイン・市民劇場・バソンの3駅だけ。バソンから先は全区間が高架を走る。ハノイの2A号線と3号線が「全線高架」だったのに対して、ホーチミン1号線は3駅とはいえ地下区間を持つ、ベトナム初の本物の地下鉄だ。
車両は日本の日立製作所製で、車内の静けさと走行中の揺れの少なさは日本の新しい地下鉄と変わらない。駅の案内表示は英語併記、券売機も英語対応。観光客目線での使い勝手は、ベトナムの都市鉄道としては異例に高い。
オールジャパンで作られた地下鉄

ホーチミン・メトロ1号線は、日本企業が総力を挙げて作った地下鉄と言っていい路線だ。
- 車両:日立製作所(山口県笠戸事業所で製造、5年間の保守契約も込み)
- 高架区間の土木工事(11駅・17.2km):住友商事
- 地下区間の施工(市民劇場〜バソン):清水建設
- プロジェクト全体への融資・技術支援:JICA(国際協力機構)
2012年に建設が始まり、開通までに12年以上がかかった。当初は2018年開業予定だったが、設計変更・用地取得・資金調達で何度も延期され、「どうせまた延期でしょ」というのが現地の合言葉になっていた時期もある。それでも2024年12月22日、ベトナム南部で初めて地下鉄が走った。この1号線が、ベトナム全体の都市鉄道の基準になる路線だ。
ホーチミン・メトロ1号線の路線図|全14駅・旅行者が使うのは7駅まで

ベトナム国内で初の地下鉄路線、ホーチミン・メトロ1号線の路線図(駅並び)はシンプルに一本線だ。ベンタイン駅を起点に東へ、サイゴン川を渡り、タオディエンを抜けて郊外のスオイティエンバスターミナルまで、全14駅が一直線に並んでいる。分岐も環状線もない。全線でも29分30秒、駅と駅の間はおおむね1〜2分で、ぽんぽん進む。

ベンタイン駅から順番に並べるとこうなる。
| 駅番号 | 駅名 | タイプ | 旅行者度 |
|---|---|---|---|
| 1 | ベンタイン(Bến Thành) | 地下 | ★★★ |
| 2 | 市民劇場(Nhà Hát Thành Phố) | 地下 | ★★★ |
| 3 | バソン(Ba Son) | 地下 | ★ |
| 4 | ヴァンタイン公園(Công viên Văn Thánh) | 高架 | ★ |
| 5 | タンカン(Tân Cảng) | 高架 | ★★ |
| 6 | タオディエン(Thảo Điền) | 高架 | ★★★ |
| 7 | アンフー(An Phú) | 高架 | ★★ |
| 8〜14 | ラックチエック以降 | 高架 | — |
旅行者が実際に使うのは、この上から7駅まで。スオイティエン公園に行きたい人は13番の国家大学駅まで乗るが、それ以外の駅は周辺に観光要素が薄く、乗る理由がほとんどない。
乗り方|タッチ決済・キオスク・券売機・窓口
初めてでも迷わないように、流れを整理する。ホーチミン1号線は支払い方法が機械ごとに分かれているのが最大の戸惑いポイントで、ここさえ押さえれば一気に楽になる。
方法① 改札でクレジットカードのタッチ決済(最推奨)

改札の手前に、カードをかざす専用のリーダー(ポール状の端末)が立っている。改札機本体ではなく、その一歩手前にある端末にタッチする形だ。VISA・Mastercard・napas、さらにMoMoやZaloPay、Samsung Payのタッチ決済に対応していて、日本で発行したVISA/Mastercardのコンタクトレスカードがそのまま使える(実際に日本の三井住友VISAをかざして問題なく通れた)。
入場時と降車時の両方でタッチして、差額が自動決済される仕組み。チケットを買う手間も、紙を持ち歩く手間もないので、旅行者にはこれが圧倒的に楽だ。

方法② キオスク(白い縦型)で買う

コンコースに白い縦型のセルフ式キオスクが並んでいる。画面で行き先の駅と枚数を選び、銀行カードかMoMo/ZaloPay/ShopeePayで支払う(現金は不可)と、QRコード付きの紙チケットが出てくる。英語表示に切り替えできるので、操作で困ることはほぼない。
方法③ 現金で買うなら旧型の券売機(TVM)

金属製の旧型券売機(TVM)は現金専用で、画面上部に「Cash only / No bank cards accepted(現金のみ・カード不可)」と表示されている。紙幣で支払う方式で、硬貨は使えない。現金派はこちらを使う。
方法④ 有人窓口(Quầy vé)
有人のチケット窓口(Quầy vé)は駅によって残っている(終点スオイティエンでは稼働中)。中心部の主要駅はキオスクと券売機への集約が進んでいるので、窓口がない駅もある。
困ったら係員に聞けばいい
開業からまだ日が浅く、現地のベトナム人でも機械の操作に慣れていない人が多い。そのため係員が機械の横に立って案内していることが多く、迷ったら声をかければ通じなくても身ぶりで教えてくれる。「機械が分からなくて詰む」場面は実質ない。
改札の通り方

紙チケットならQRコードをスキャナにかざす、カードならそのままタッチ。日本の自動改札と同じ感覚で通れる。降車駅でも同じ操作が必要なので、紙チケットは到着まで失くさないように。
ハノイのメトロとの決定的な違い|なぜホーチミンの地下鉄1号線は「使える」のか
ハノイのメトロ記事で「まだ厳しい」と書いた主な理由は4つあった。主要観光地に届いていない/2路線が接続していない/路線が郊外中心/旅行者は券売機が使えない。この4点がホーチミンでどう変わっているのか、順番に答え合わせをする。
違い①:観光客が実際に行く場所に駅がある
ハノイメトロの致命的な弱点は、ホアンキエム湖にも西湖にも旧市街にもノイバイ空港にも、駅がないことだった。2A号線は郊外のハドン方面、3号線は西のニョン方面。観光客の動線とは別の世界を走っていた。
ホーチミン1号線は違う。ベンタイン市場の真下、ドンコイ通りの入口、サイゴン川の対岸タオディエン——旅行者が実際に訪れる場所に駅がある。ベンタイン駅はベンタイン市場の目の前、市民劇場駅はドンコイ通りとグエンフエ通りの交差点付近、タオディエン駅はおしゃれエリアのど真ん中。1号線で行く場所と観光客の動線が、最初から重なっている。
違い②:渋滞フリーで「時間が読める」移動ができる
ホーチミンの中心部からタオディエンまで、Grabで行くと昼間の交通量が多い時間帯は30分以上かかる。サイゴン橋を渡る車線が詰まって、ひたすら動かないということが普通にある。
これが1号線ならベンタインからタオディエンまで約10分、定時運行。渋滞の影響を1ミリも受けない。タクシーだと「行ってみないと時間がわからない」移動が、メトロで「確実に10分」に置き換わる。この差は観光の予定を組む上で決定的に大きい。
ハノイの2A号線でも「時間が読める」という長所はあったが、観光客が時間を読みたい区間を走っていなかった。1号線は最初から旅行者の需要に突き刺さっている。
違い③:カード1枚で改札を通れる
ハノイメトロの券売機は、2026年現在でも旅行者にとって実質使いにくい。現金決済ができず、地元のベトナム人が使う銀行アプリのQRコード決済前提で動いている。結果として窓口で紙のQRシールを買って手の甲に貼る、という独特のフローになる。
ホーチミン1号線は改札の手前にあるリーダーに、VISA/Mastercardのコンタクトレスをかざすだけで乗れる。日本のカードがそのまま使えるので、チケットを買うハードルが存在しない。現金で買いたい人向けの券売機(現金専用)も、カード・電子マネー専用のキオスクも揃っていて、いずれも英語対応。
この「最初のハードルの低さ」が、旅行者の体験を決定的に変える。
違い④:まだ1路線しかないが、その1本が観光に効く
ホーチミン1号線にも弱点はある。まだ1路線しかないことと、タンソンニャット国際空港に届いていないことだ。2号線(空港経由)は建設中で、開業目標は2030年頃。完全なメトロネットワークが立ち上がるのはまだ先の話だ。
ただし、ハノイと違うのは、その1本が観光の中核を貫いていること。ハノイの2A号線1本だけだったら、旅行者にとってはほぼ無意味だった。ホーチミン1号線は1本で「ベンタイン・市民劇場・ランドマーク81・タオディエン」という観光主要スポットを直線で結んでいる。だから1路線でも十分「使える」。
観光で1号線をどう使うか|実用ルート3つ
1号線はホーチミンの全観光スポットを網羅する路線ではない。統一会堂・中央郵便局・サイゴン大教会・戦争証跡博物館は、全部1区中心部の徒歩圏にあって、メトロを使う必要がない。1号線が真価を発揮するのは次の3つの移動だ。
ルート①:ベンタイン→タオディエン(これが1号線の真骨頂)
ベンタイン駅から6駅目のタオディエン駅まで約10分。タクシーだと昼間は30分以上かかる距離を、渋滞無視で運んでくれる。
タオディエンは外国人居住者が多い高級住宅街で、L’Usine、The Workshop、Shri Restaurant & Loungeなどの洗練されたカフェ・レストランが集まっている。中心部の喧騒に疲れたら、午後半日をここで過ごすのはホーチミン滞在の賢い使い方だ。駅の出口2A側を出て徒歩5分ほどで、メインのストリートに着く。
ハノイでこれに相当する移動はGrab一択で、しかも渋滞に巻き込まれる。ホーチミン1号線のこの区間の使い勝手は、ハノイとの最大の差を体感できるポイントだ。
ルート②:ベンタイン→市民劇場(冷房避難ルート)
わずか1駅分、徒歩でも10分程度の距離だが、ホーチミンの昼の気温と湿度を考えると地下駅から地下駅への移動は貴重。冷房の効いた地下を歩いてドンコイ通りに出るのは、体力を温存する戦略としてあり。運賃は最低区間でキャッシュレス6,000 VND(約36円)で、節約というより「昼の暑さ税」としての価値がある。
ルート③:タンカン駅→ランドマーク81

タンカン駅から徒歩10分、またはGrabで5分でベトナム最高層ビル「ランドマーク81」に到達できる。展望台(SkyView)からホーチミンの街を360度見渡せる場所で、特に夕暮れ〜夜の時間帯が絶景。1号線と組み合わせると、ベンタインから一直線でアクセスできる。
運賃とフリーパス
片道運賃は距離別で、キャッシュレス(カードのタッチ決済)なら6,000〜19,000 VND(約36〜115円)、現金の紙チケットなら7,000〜20,000 VND(約42〜121円)。各区間でタッチ決済のほうが数百ドン安い。全線(ベンタイン⇄スオイティエン)を乗り通してもキャッシュレスで19,000 VND=約115円という、日本の感覚からすると衝撃的な安さだ。
チケットは大きく2種類で、片道券(Single Journey Ticket)と、チャージ式ICのストアドフェアカード(Stored Fare Card/1日券としても使える)がある。乗り放題フリーパスは次のとおり。
| 種類 | 料金 | 円換算 |
|---|---|---|
| 1日券 | 40,000 VND | 約240円 |
| 3日券 | 90,000 VND | 約540円 |
| 1ヶ月定期 | 300,000 VND | 約1,800円 |
1日に3回以上乗る予定があるなら1日券、ホーチミン滞在中に毎日メトロを使うなら3日券が割安になる。旅行者なら必要な日にだけ1日券を買うのが柔軟性が高くておすすめだ。
ベトナムドンの桁の多さに慣れないうちは金額感覚が狂うので、ベトナム通貨ガイドも参考にしてほしい。
注意点とデメリット|正直に書く
ホーチミンの地下鉄(メトロ)1号線は観光で使える路線だが、万能ではない。
① 空港には行かない
タンソンニャット国際空港に最寄り駅はない。空港経由の2号線は建設中で、開業目標は2030年頃。南部の新しい玄関口として建設中のロンタイン国際空港への延伸計画も決議されたが、実現はさらに先の話だ。
空港からの移動は当面Grabかタクシー一択(詳しくは空港から市内への行き方を参照)。タクシーを使う場合、料金トラブルのリスクを減らすためにGrabを使うか、大手のMai Linh・Vinasunに限定するのが安心だ(治安記事も参照)。
② 1路線だけなので、メトロ外はGrab頼み
1号線沿線から外れた移動は、全部Grab(またはタクシー)になる。2030年に2号線が開業するまで、この構図は変わらない。「1号線で行けるところ」と「それ以外」の2つに、移動手段がはっきり分かれるのがホーチミンの現状だ。
Grabの使い方はハノイでのGrab記事で詳しく解説しているが、基本操作はベトナム全国で同じなのでホーチミンでも参考になる。
③ 駅から目的地まで歩く必要がある
タオディエン駅は便利とはいえ、駅から目的のカフェやレストランまで徒歩5〜15分が普通。ホーチミンの昼は暑いので、真昼の12〜14時に駅から歩くのは体力を使う。降車駅からGrabバイクで最終目的地まで行くのも現実的な選択肢だ。
④ 郊外駅の使い道は限られる

ラックチエック以降の郊外駅は、よほどスオイティエン公園に行きたい人以外は訪れる機会がない。1号線で観光的に意味があるのはベンタイン〜アンフーの7駅までと割り切るのが正しい使い方だ。なお終点のスオイティエンバスターミナル駅は、隣接するミエンドン新バスターミナル(Bến xe Miền Đông Mới)から地方都市行きの長距離バスが出ているので、ベトナム国内を陸路で移動する人には接続拠点になる。
ホーチミン・メトロ(地下鉄) vs Grab|使い分けの早見表
ハノイと同じように、ここでもGrabとの使い分けを整理しておく。
| 項目 | Grab | 1号線 |
|---|---|---|
| カバー範囲 | 市内全域+空港+郊外 | 1路線14駅のみ |
| 運賃(5km) | 40,000〜70,000 VND | 6,000〜15,000 VND |
| 所要時間 | 渋滞次第で変動 | 定時運行で安定 |
| 決済 | アプリで完結 | タッチ決済・キオスク・券売機・窓口 |
| 荷物 | ドアtoドアで楽 | 駅まで運ぶ必要あり |
| 向いている場面 | 空港送迎・複雑な移動・深夜 | ベンタイン〜タオディエン・暑い昼間の涼避難 |
距離が長くなるほどメトロの安さは際立つ。たとえば終点スオイティエンから中心部のホテルまでGrabのスタンダードカーで約296,400 VND(約1,800円)かかった区間も、メトロなら全線19,000 VND(約115円)で済む。とはいえホーチミンの移動の基本はGrab、メトロは「特定区間で時間を読みたい時」の切り札という位置づけがしっくりくる。1週間の滞在ならGrab:メトロの利用割合は7:3くらいが現実的だ。
よくある質問(FAQ)
Q. タンソンニャット国際空港から1号線で市内に行ける?
行けない。空港に最寄り駅はなく、2号線の空港経由区間も2030年頃まで開業しない。空港から市内への移動はGrab(推奨)か、大手タクシーのMai Linh・Vinasunを使う。
Q. クレジットカードのタッチ決済、VISAでも使える?
使える。改札の手前にあるリーダーがVISA/Mastercard/napas、MoMoやZaloPayのタッチ決済に対応していて、日本で発行したVISA/Mastercardのコンタクトレスがそのまま通る。旅行者は現金よりタッチ決済のほうが圧倒的に楽で、これが一番おすすめの方法だ。
Q. 券売機は現金で買える?
機械による。金属製の旧型券売機(TVM)は現金専用(カード不可)、白い縦型の新型キオスクはカード・電子マネー専用(現金不可)で、同じ駅に両方が置かれていることが多い。現金で買いたいなら旧型券売機、カードならキオスクか改札タッチを使う。なおキャッシュレスのほうが現金より各区間で数百ドン安い。係員が横で案内していることが多いので、迷ったら聞けばいい。
Q. 1号線で行けるおすすめスポットは?
ベンタイン市場、市民劇場(ドンコイ通り・オペラハウス)、タオディエン(カフェ・レストラン・ブティック)、タンカン(ランドマーク81)の4つ。これ以外の駅は周辺に観光要素が少ない。
Q. 治安は大丈夫?
駅構内と車内は警備員が配置されていて、照明も明るい。車内トラブルの報告もほとんど聞かない。ただし開業間もない路線なので、他の公共交通と同じくスマホやバッグは目の届く位置に置いておくのが基本(ホーチミンの治安全体については治安記事を参照)。
Q. 開業当初より便利になった?
大きく進化している。開業直後は券売機が動かず窓口購入のみだったが、現在はキオスク・券売機が稼働し、改札のタッチ決済でVISA/Mastercardがそのまま使える。情報は半年単位で更新されるので、現地で最新の状況を確認するのが確実。
Q. ベンタイン〜タオディエン、タクシーとメトロどっちが早い?
昼間(11〜14時)と夕方(17〜19時)のラッシュはメトロ一択。Grabだと30分以上、メトロは定時10分。深夜や早朝の交通が空いている時間帯ならGrabの方が早いこともある。
Q. 1日券と3日券、どっちがお得?
1日に3回以上乗るなら1日券が割安(40,000 VND)。3日連続で毎日1〜2回乗るなら3日券(90,000 VND)。1週間滞在でメトロをフル活用するなら、必要な日にだけ1日券を買うのが一番柔軟性が高い。
Q. ハノイのメトロより本当に使えるの?
使える。ハノイ記事にも書いたが、ハノイメトロは観光客の動線と路線が全然重なっていなかった。ホーチミン1号線はベンタインからタオディエンまでの主要スポットを直線で結んでいて、最初から旅行者の需要に応える設計になっている。この差は乗れば数分でわかる。
Q. 将来2号線や空港線は本当に開業する?
予定は決まっているが、遅延の可能性は常にある。ベトナムの都市鉄道計画は工期が延びる傾向にあり、ホーチミン1号線自体も開業まで10年以上の遅延があった。2号線の2030年開業、ロンタイン空港延伸はあくまで目標値として捉えておくのが現実的。
Q. 子連れでも使える?
問題なく使える。駅にはエスカレーターとエレベーターが整備されていて、ベビーカーでの乗車も可能。車内の段差も少なく、日本の地下鉄と同じ感覚でアクセスできる。6歳未満の子どもは無料で乗れる。夏場の暑い時期の観光には、子連れこそ1号線の冷房が効いた快適さがありがたい。
Q. ホーチミン・メトロ1号線の時刻表はどこで確認できますか?
公式アプリ「HCMC Metro」(iOS/Android)や運営のHURC(hurc.vn)で時刻表と最新運行状況が確認できる。運行時間は5:00〜23:30、始発は5:00、最終列車は平日22時台・金土日祝23時台、運行間隔はピーク時約6〜8分・日中10分前後。実際のところは「時刻表を調べる」よりも「駅に行けばすぐ来る」感覚で使うのが現実的で、遅延もほぼなく日本の地下鉄と同じ感覚で使える。
現時点で日本語対応のアプリはないが、英語インターフェースはシンプルなので問題なく使える。
Q. ホーチミン市内にメトロ以外の電車はありますか?
市内交通として使える電車は、メトロ1号線の1本のみ。路面電車もモノレールも、今はまだない(将来計画にはある)。
ただし、1区の北側にサイゴン駅(Ga Sài Gòn)という駅があって、ここはベトナムの南北をつなぐ「統一鉄道(Reunification Express)」の起点。ハノイまで約32時間、ニャチャンやダナンなどの地方都市に向かう長距離列車がここから出ている。ホーチミン市内を移動するための駅ではないので、観光目的なら基本的には無視していい。ベトナムの鉄道旅をしたい人向けの玄関口だ。
まとめ|ベトナム南部メトロの「合格点」
ハノイで2路線を体験して「まだ厳しい」と書いた同じ基準で、ホーチミン1号線を評価した結論はシンプルだ。
ホーチミン1号線は、観光客が実用的に使えるベトナム初の都市鉄道だ。
ベンタイン〜タオディエンの10分移動、カード1枚で通れる改札、冷房の効いた車内、定時運行、19.7kmを約115円で乗り通せる運賃——どれを取ってもハノイのメトロより一段階進んでいる。空港に行けない、路線が1本しかないという制約は確かにあるが、それを差し引いても「乗る価値のあるインフラ」だ。
次にホーチミンに行くなら、こういう使い方をおすすめしたい。初日はタクシーや徒歩で中心部を回り、2日目の午後にメトロでタオディエンへ逃避する。この1日の流れを作るだけで、ホーチミン滞在の質が変わる。
2030年に2号線が開業して空港直結が実現すれば、ベトナムの都市鉄道は本格的に「観光インフラ」になる。でもその前に、2026年の今、1号線だけでも十分楽しめる。それがベトナム南部で開業した、初めての地下鉄の現在地だ。