ダナンで「バインセオを食べたい」と言うと、ほぼ確実にこの店の名前が返ってきます。バインセオ バーユン(Bánh Xèo Bà Dưỡng)。ところが、タクシーやGrabで住所まで来ても、店は見えません。目の前にあるのは、人ひとりがやっと通れるくらいの細い路地の入口だけです。
しかもこの路地、入ってすぐ左手に「Bà Dương」の看板が出ているのに、そこは店ではありません。実際に行ってみると、迷うポイントも、知らないと損をするポイントも、料理そのものより手前にありました。この記事では、路地の入口から皿の中身まで、2026年5月に行ったときの実物の写真と看板の数字でまとめます。

バインセオ バーユンとは
ダナン中心部、ハイチャウ区のホアンジエウ通りから入った路地の奥にある、創業30年以上のバインセオ専門店です。正式には Bánh Xèo Bà Dưỡng。日本語では「バーユン」「バーズオン」「バードゥン」と表記が割れていて、これが検索でこの店を見つけにくくしている原因にもなっています。この記事では日本で一番よく使われている「バーユン」で統一します。
- 店名:Bánh Xèo Bà Dưỡng(バインセオ バーユン)
- 住所:K280/23 Hoàng Diệu, Hải Châu, Đà Nẵng
- 電話:0236 3 873 168
- 営業時間:9:30〜21:30(無休)
住所の頭にある「K280」は、大通りから入る路地の番号です。ここを知っているだけで、あとで説明する迷子問題がかなり減ります。

最大の関門は店ではなく「路地」
この店で一番つまずくのは、味でも注文でもなくたどり着くことです。しかも、つまずき方が2段階あります。
まず、大通りから細い路地に入る
ホアンジエウ通りに面しているのは、店ではなく路地の入口です。緑色の大きな看板が出ているので入口自体は見つかりますが、そこから先はバイクがすれ違えないくらいの細い道。両側に乾物屋や食堂が並び、頭上には提灯や横断幕が下がっています。
夜は路地の中まで明かりが入っているので暗くはありません。ただ、初めてだと「本当にこの先に有名店があるのか」と不安になる道です。
入ってすぐ左手の「バーユン」看板は、店ではなくバイク置き場
ここが一番の落とし穴です。路地に入ってすぐ、左手に緑色の「Bà Dương」の看板が立っています。店名がはっきり書いてあるので、つい「着いた」と思ってしまうのですが、これはバイク置き場(ĐIỂM GIỮ XE)の看板です。
なお、この看板の下に営業時間が書かれています。店の情報自体は正しいので、看板を見つけたこと自体は間違いではありません。「まだ先だ」と分かっていれば大丈夫です。

バインセオの店は何軒も連なっている。目指すのは一番奥
さらに進むと、路地の中にバインセオの店が何軒も並んでいます。どれも「BÁNH XÈO」の看板を出していて、店構えもよく似ています。
海外の口コミでも「隣にも別のバインセオ店があって紛らわしい。緑色のBà Dươngの看板を探せ」と繰り返し書かれています。日本人だけが迷っているわけではありません。

営業時間は「9:30」から
店の看板にもありますが、営業時間は下記のとおりです。
メニューと値段
店内のメニュー表は写真つきで、ベトナム語と英語が併記されています。料理は4品だけというシンプルな構成です。

- バインセオ(Bánh Xèo):90,000ドン/皿
- ネムルイ(Nem Lụi):40,000ドン(5本)/80,000ドン(10本)/120,000ドン(15本)/160,000ドン(20本)
- ボー・ヌン・ラー・ロット(Bò Nướng Lá Lốt):100,000ドン/皿
- ブン・ティット・ヌン(Bún Thịt Nướng):40,000ドン/丼
バインセオは1皿4枚。それぞれ半分に切って出てくるので、皿の上には8切れ並びます。2人でシェアするとちょうどいい量です。
ドリンクとおしぼり
飲み物はほぼ15,000ドン均一です。コーラ、スプライト、ファンタ、冬瓜茶、アクエリアス、ミニッツメイド、そしてビア・サイゴンまでが15,000ドン。水(Dasani)は10,000ドン、ビア・タイガーが20,000ドン、ハイネケンが25,000ドンです。
支払い方法
現金のほか、クレジットカードも使えます。とはいえ路地の奥のローカル店ですので、現金を持っておくほうが気は楽です。ベトナムの現金の準備については下記でまとめています。
出てくるものと食べ方
注文すると、テーブルの上がにぎやかになります。バインセオの皿、葉物野菜とハーブの大皿、青パパイヤの千切り、きゅうり、ライスペーパー、そしてタレ。人数分のタレが小さい器で配られます。

食べ方はどこの地域でも同じ
「中部と南部で食べ方が違う」と説明されることがありますが、実際に食べてみるとやることは同じです。ライスペーパーを広げて、バインセオを乗せ、野菜と一緒に巻いてタレにつける。これだけです。
違うのは、巻く中身とタレの中身のほうです。ここでは青パパイヤやきゅうりが一緒に出てきますし、タレも後述のとおり強い個性があります。テーブルの上のものを好きな配分で巻いていい、というのがこの店のスタイルです。

主役はタレのほう
この店を語るときに欠かせないのがタレです。ベトナム料理でよく出てくる、透明で甘酸っぱい魚醤ダレ(ヌクチャム)ではありません。出てくるのはとろみのある茶色いタレで、ピーナッツのコクに挽き肉やレバーの濃厚さが混ざった、他ではあまり食べない味です。ミシュランガイドの紹介文でも、この挽き肉入りピーナッツソースが「必食」として名指しされています。
パリパリのバインセオと大量の生野菜にとてもよく合うドロっとしたタレの味は、ぜひ一度経験してみてほしいです。
ネムルイも頼んだほうがいい
ネムルイは、レモングラスの茎に豚肉のつくねを巻きつけて焼いた串です。バインセオと同じタレで食べられるので、一緒に頼んで巻いてしまうのが現地流。5本から頼めるので、2人ならまず5本で様子を見て足す形が無駄がありません。

混み具合と店内の様子
行ったのは平日の19時半ごろ。店内はとんでもない混雑でした。片付けもままならないまま空いた席に座る感じで、店員は絶えず動き回っています。

ただ、待ち時間はほとんどありませんでした。回転が速く、食べ終わった席から次々に片づけて詰めていくためです。店の前の人だかりを見て諦める必要はありません。
席はステンレスの長机に丸椅子で、相席が基本。落ち着いて長居するタイプの店ではなく、食べたら出る場所です。滞在時間は35分ほどでした。

奥は厨房が見えるようになっていて、緑の帽子をかぶったスタッフが並んでバインセオを焼き続けています。この光景自体がちょっとした見ものです。

ミシュランガイドでの扱い
バーユンはミシュランガイド・ベトナムの掲載店です。ただし、ビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理に与えられる称号)ではなく、掲載店としての紹介という位置づけになります。
ダナンのバインセオでビブグルマンに選ばれているのは別の2軒です。
- Bánh Xèo 76(レ・ヴァン・フー通り)=2025年のビブグルマン
- Bánh Xèo Tôm Nhảy Cô Ba=2026年のビブグルマン
「ミシュランの称号を持つ店」と「地元とダナン在住者が真っ先に名前を挙げる店」が必ずしも一致しない、という一例です。どちらが正解ということはありません。バーユンは、路地の奥という立地も含めて、ダナンの日常の食堂の空気がそのまま残っている店です。
ダナンで他に何を食べるかは、下記の記事も参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
予約はできますか?
予約を受けている店ではありません。行って空いた席に座る形です。回転が速いので、混んでいても待ち時間は長くならないことがほとんどです。
何時ごろが空いていますか?
夕食どき(19時前後)と昼食どきは混み合います。ただ回転が速いので、19時半に行ったときもほとんど待たずに座れました。
クレジットカードは使えますか?
使えます。ただし路地の奥のローカル店なので、現金も持っておくと安心です。
ひとりでも入れますか?
入れます。相席が基本の店なので、ひとりでもまったく浮きません。バインセオ1皿とネムルイ5本で、ひとりでも十分な量になります。
辛いですか?
タレ自体は辛くありません。テーブルに生の唐辛子が置かれているので、辛くしたい人はそれを足す形です。
日本語や英語は通じますか?
メニューにベトナム語と英語、写真が併記されているので、指させば注文できます。料理が4品しかないので、言葉が通じなくても困る場面はほとんどありません。
ホーチミンやハノイのバインセオとは違いますか?
生地の大きさとタレが違います。中部のバインセオは手のひらサイズで、南部のものは皿いっぱいの大判になります。タレも、バーユンのようなピーナッツ系の濃厚なものは中部の特徴です。ただし前述のとおり、巻いて食べるという手順自体はどこでも同じです。
おわりに
バインセオ バーユンは、料理そのものより「たどり着けるか」で評価が分かれてしまう店です。逆に言えば、路地の入口の場所、手前の看板はバイク置き場だということ、そして突き当たりまで進むこと。この3つさえ分かっていれば、あとは座って巻いて食べるだけです。
ダナンで1食だけローカルらしいものを、というときに、迷わず挙げられる店です。ダナン全体の歩き方は下記の記事にまとめています。