ベトナムの塩コーヒーは、練乳入りのコーヒーに塩を効かせたクリームをのせた飲み物だ。「コーヒーに塩?」と身構える名前だが、ベトナムでは屋台でもチェーンのカフェでも普通に頼める。
塩コーヒー(ソルトコーヒー)とは?練乳コーヒーに塩クリームをのせた飲み物
塩コーヒーは、グラスの底に練乳、その上に濃いコーヒー、いちばん上に塩を加えて泡立てたクリームを重ねた飲み物だ。ベトナム語ではcà phê muối(カフェ・ムオイ)という。muốiが塩という意味で、英語のメニューでは「Salt Coffee」「Salted Coffee」と書かれる。日本では「塩コーヒー」とも「ソルトコーヒー」とも呼ばれるが、同じものだ。
ホットでもアイスでも出てくる。まずクリームとコーヒーを一緒にひと口味わい、その後、軽く混ぜて飲む。
・muối=塩
・kem muối=塩クリーム
・nâu=ミルクコーヒー(北部の呼び方)
・đá=アイス(氷)
・nóng=ホット
2010年にフエの小さなカフェで生まれた
塩コーヒーは中部の古都フエで生まれた。始まりは、2010年にフエの10 Nguyễn Lương Bằngで開店したカフェ「Cà Phê Muối」だとされる。店を開いたのはフエの夫婦で、店独自の飲み物として塩コーヒーを作った。店の名前は、夫がネットで読んで気に入っていた「Cà phê muối(塩コーヒー)」という題名の恋愛の話から、そのまま付けた。
フエでは長く地元の名物だったが、2023年にホーチミンやハノイの若者の間で一気に流行し、全国のカフェや屋台のメニューに並ぶようになった。
発祥の店は今もフエで営業していて、10 Nguyễn Lương Bằngと142 Đặng Thái Thânの2か所にある。発祥の店の出し方は、練乳と塩を加えたミルクを入れたグラスの上にフィン(ベトナム式の金属フィルター)を置き、コーヒーを落として混ぜる形で、2022年の時点で1杯15,000ドンだった。
フエ以外の中部の街でも飲める。ダナンでは「Cà Phê Muối gốc Huế(フエ発祥の塩コーヒー)」を看板に掲げる店が多い。
どんな味?まずいと感じる人もいる?
練乳の甘さ、コーヒーのほろ苦さ、クリームのコクを合わせた飲み物だ。この記事で紹介するレシピでは、しょっぱさを前に出さず、最後にかすかな塩気が残る程度に仕上げる。
まずクリームとコーヒーを一緒にひと口味わい、その後、軽く混ぜて飲む。
コーヒーに塩を入れるのはベトナムだけ?効果は?
日本にも、ドリップしたコーヒーにひとつまみの塩を入れて苦みを抑える飲み方がある。ベトナムの塩コーヒーは、塩を練乳やクリームと合わせてのせる点が違い、甘いデザートに近い飲み物だ。
塩は味のために入れるもので、健康のための飲み物ではない。インスタントの塩コーヒーでは、1本あたりのナトリウムは75〜90mgほど(食塩に直すと0.2g前後)で、塩の量より砂糖の量のほうが多い。
ベトナムでの頼み方|メニューの「muối」を探す
メニューで探す文字はmuối(MUỐI)だ。塩コーヒーそのものの名前のほかに、塩クリームをのせた抹茶やココアもある。
| メニューの表記 | 中身 |
|---|---|
| Cà phê muối | 塩コーヒー |
| Nâu kem muối | 塩クリームをのせたミルクコーヒー |
| Matcha kem muối | 塩クリームをのせた抹茶ラテ |
| Cacao kem muối | 塩クリームをのせたココア |
| Cà phê muối đá/nóng | アイス/ホット |
ベトナムの路上の屋台では22,000ドン
路上でも移動式の屋台を見かけることがある。台の前にメニューが貼ってあり、いちばん上に塩コーヒーが載っている。

| メニュー | 中身 | 値段 | 円 |
|---|---|---|---|
| Cà phê muối | 塩コーヒー | 22,000ドン | 約130円 |
| Cà phê nâu | ミルクコーヒー | 20,000ドン | 約120円 |
| Cà phê đen | ブラック | 17,000ドン | 約100円 |
| Cà phê sữa tươi | 牛乳入りコーヒー | 22,000ドン | 約130円 |
| Bạc xỉu | ミルク多めのコーヒー | 22,000ドン | 約130円 |
| Matcha latte | 抹茶ラテ | 25,000ドン | 約150円 |
| Matcha kem muối | 塩クリーム抹茶 | 30,000ドン | 約180円 |
| Cacao latte | ココアラテ | 25,000ドン | 約150円 |
| Cacao kem muối | 塩クリームココア | 30,000ドン | 約180円 |
塩コーヒーは普通のミルクコーヒーより2,000ドン(約12円)高いだけだった。抹茶とココアは、塩クリームをのせると5,000ドン上がる。

この屋台の作り方は、氷とミルクを入れたカップを並べておき、泡立てたコーヒーを上から注ぐ形だった。

持ち帰りは、カップを1杯ずつビニールの袋に入れて渡された。
値段の目安|22,000〜55,000ドン
店の種類で2倍ほどの開きがある。
| 店 | 1杯 | 円 |
|---|---|---|
| 路上の屋台 | 22,000ドン | 約130円 |
| ホイアンの食堂(壁の貼り紙) | 35,000ドン | 約210円 |
| 別のカフェ | 47,000ドン | 約280円 |
| コンカフェ(Nâu kem muối) | 49,000ドン/大55,000ドン | 約290円/約330円 |
このカフェでは、同じメニュー表のブラックが33,000ドン、エッグコーヒーが60,000ドンだった。塩コーヒーはその間に入る値段になる。

ホイアンの食堂でも、黄色い壁に「CÀ PHÊ MUỐI Salt Coffee 35.000đ」の貼り紙が出ていた。食事の店でも、飲み物として置いているところがある。
エッグコーヒーの値段と飲み方は、別の記事で詳しく書いている。
どこで飲める?ハノイ・ホーチミン・ダナン・フエ
いまはフエに行かなくても飲める。旅行者が見つけやすいのは次の3つだ。
- コンカフェ(Cộng Cà Phê):観光地にほぼ必ずあるチェーン。塩クリームのミルクコーヒー「Nâu kem muối」がある
- 路上の屋台・小さなカフェ:「CÀ PHÊ MUỐI」と書いた看板や貼り紙が目印。いちばん安く飲める
- フエの発祥の店:10 Nguyễn Lương Bằng と 142 Đặng Thái Thân。朝6時半から夜22時ごろまで営業している
ハイランズコーヒーで頼めるものはハイランズコーヒーの記事にまとめている。
塩コーヒーの作り方|1杯分の分量
家で作るときに要るのは、濃いコーヒー・練乳・生クリーム・塩の4つだ。塩はしょっぱくするためではなく、コーヒーの苦みを和らげて甘さとコクを引き立てるために入れる。量はごく少しでいい。
材料(アイス1杯分)
| 材料 | 分量 | 日本で買うなら |
|---|---|---|
| コーヒーの粉 | 20g | ロブスタコーヒー。なければ深煎りコーヒー |
| お湯 | 80ml(90〜95℃) | |
| 練乳(コーヒー用) | 20〜25g(大さじ1ほど) | コンデンスミルク・加糖練乳 |
| 氷 | 適量 | |
| 生クリーム(塩クリーム用) | 50ml | 生クリーム。冷やしておく |
| 練乳(塩クリーム用) | 15g(小さじ2ほど) | コンデンスミルク・加糖練乳 |
| 塩 | 0.5〜0.7g(小さじ1/8ほど) | 普通の食塩 |
作り方
- フィンに粉20gを入れ、90〜95℃のお湯を30ml注いで30〜40秒待ち、粉をふくらませる
- お湯を50ml足して、ゆっくり落とす。濃いコーヒーが40〜60mlできればいい
- 熱いうちに練乳20〜25gを入れ、よく混ぜる。ミルクフォーマーがあれば短く泡立てると、よく混ざって表面に細かい泡ができる
- 氷を入れる。上に塩クリームをのせるので、グラスいっぱいにはしない
- 冷えた生クリーム50mlに練乳15gと塩を入れ、30〜60秒泡立てる。白くなめらかで、とろみがあってまだ注げる固さで止める
- 塩クリームをコーヒーの上にゆっくり注ぐ
飲むときは、まずクリームとコーヒーを一緒にひと口味わい、その後、軽く混ぜる。コーヒーのほろ苦さ、練乳の甘さ、クリームのコクが来て、最後にかすかな塩気が残る。
フィンがないときは
エスプレッソマシン、マキネッタ(直火式のエスプレッソメーカー)、コーヒーメーカーのどれでも作れる。大事なのは、濃いコーヒーを40〜60ml用意すること。ロブスタ種が見つからなければ、深煎りで味の強い豆を選ぶ。
インスタントの塩コーヒー|スーパーで買える3商品
スーパーのコーヒー売り場には、お湯に溶かすだけの塩コーヒーが並んでいる。ベトナムのスーパーで見た3つの商品を比べた。
| 商品 | 中身 | 値段 | 円 |
|---|---|---|---|
| BẢN F&B SALTED COFFEE | 20g×10袋(200g) | 55,400ドン(特売・通常65,000ドン) | 約330円 |
| Cộng Nâu Kem Muối | 17g×12本(204g) | 83,000ドン | 約500円 |
| HONEE COFFEE Muối | 160g | 120,200ドン | 約720円 |
いちばん安いBẢN F&Bは1袋あたり5,540ドン(約33円)、コンカフェのものは1本約6,900ドン(約41円)になる。
BẢN F&B SALTED COFFEE|いちばん安い

赤い箱に笠をかぶった女性の絵が入っている。表が「SALTED COFFEE」の箱と、表が「CÀ PHÊ MUỐI」の箱があり、中身の表示はどちらも20g×10袋だ。
裏の原材料は、植物性クリーム、砂糖、インスタントコーヒー(12%)、マルトデキストリン、塩(1%)の順。100gあたりの表示を1袋20gに直すと、約88kcal、砂糖は約9.5gになる。
Cộng Nâu Kem Muối|コンカフェの味をスティックで

コンカフェが出しているインスタントで、店のメニューの「Nâu kem muối」と同じ名前だ。ベージュの箱に「NÂU KEM MUỐI」、英語面に「SALTED CREAM COFFEE」と書かれている。

箱の裏に書かれている内容はこうだ。
- ホット:1本を熱湯50〜70mlに溶かす
- アイス:2本を熱湯50〜70mlに溶かし、よく混ぜてから氷を入れる
- 1本17gあたり:80kcal、砂糖9g、ナトリウム75mg
- 原材料:砂糖、植物性クリーム、泡立ち用クリーム(15%)、インスタントコーヒー(8%)、塩(1%)、香料など
アイスは2本使う指定なので、12本入りでもアイスだけなら6杯分になる。
HONEE COFFEE Muối|紫の箱

紫の箱に「Muối Vietnam Salt Coffee」と書かれている。160gで120,200ドンと、3つの中ではいちばん高かった。棚ではココナッツコーヒーの箱と並び、黄色い特売の値札が付いていた。
お土産店にも並んでいる

お土産店でも、塩コーヒーの箱がエッグコーヒーの箱やチョコレートと同じ棚に並んでいる。ベトナムのコーヒーは、お土産店や空港よりスーパーのほうが安い。まとめて買うなら、スーパーのコーヒー売り場を先に見たほうがいい。
スーパーの回り方はベトナムのスーパーの記事にまとめている。インスタントコーヒーのお土産は、砂糖の量と値段を商品ごとに比べた記事がある。
よくある質問
ベトナムの塩コーヒーとは?
練乳入りのコーヒーに、塩を加えて泡立てたクリームをのせた飲み物。ベトナム語でcà phê muối(カフェ・ムオイ)という。
塩コーヒーとソルトコーヒーは違う?
同じもの。ベトナム語のcà phê muốiを日本語にしたか、英語のSalt Coffeeから呼んだかの違いだ。
発祥はどこ?
中部のフエ。2010年、フエの10 Nguyễn Lương Bằngのカフェ「Cà Phê Muối」で作られたのが始まりとされる。
ベトナムでいくら?
ベトナムの路上の屋台で22,000ドン(約130円)、ホイアンの食堂で35,000ドン、コンカフェで49,000ドン(約290円)だった。
飲み方は?
まずクリームとコーヒーを一緒にひと口味わい、その後、軽く混ぜて飲む。
家で作れる?
作れる。冷えた生クリーム50mlに練乳15gと塩0.5〜0.7gを入れて泡立て、練乳20〜25gを混ぜた濃いコーヒーと氷の上にのせる。
インスタントはどこで買える?
スーパーのコーヒー売り場にある。スーパーで見た3商品は、55,400〜120,200ドン。
まとめ|メニューで「muối」を探す
塩コーヒーは、練乳コーヒーに塩クリームをのせた、フエ生まれの飲み物だ。路上の屋台なら22,000ドン、チェーンのコンカフェなら49,000ドンで飲める。
カフェに入ったらメニューでmuốiの文字を探し、出てきたらクリームとコーヒーを一緒にひと口味わってから、軽く混ぜて飲んでみてほしい。家で作るなら生クリームと塩、持ち帰るならスーパーのインスタントが手軽だ。
ベトナムのコーヒー全体の飲み方と頼み方は、こちらで紹介している。