ベトナム旅行を調べていると、必ず一度は出てくる言葉があります。
それが「テト(Tết)」。ベトナムの旧正月です。
ただ、テトは「旧正月だからお祝いがあるよ」という話だけでは終わりません。体感としては、国のリズムが“家族側”に倒れる期間です。
- 都市の人が一斉に帰省する
- ローカルのお店が閉まる
- 交通・ホテルが動きづらくなる
- でも、街の飾りや空気は特別になる
旅行者にとっては、良くも悪くも「いつものベトナム」と違う。
この記事では、2027年の日程から、旅行への影響、そしてテトの空気感まで、初めての人向けに整理して解説します。
ベトナムのテト(旧正月)とは?
テトは、ベトナムの旧暦に基づく新年行事で、一年でもっとも大きな祝祭です。
日本でいうお正月に近いのですが、テトの期間は「祝日」以上に、生活の優先順位が変わります。
テトは一年で一番長い休みというだけでなく、家族が再会し、祖先を供養し、新しい一年の平安と幸運を願う時でもあります。
ベトナムのテトは、ざっくり言うとこうです。
- 仕事より家族
- 都会より故郷
- いつもの日常より「区切り」
だからテトが近づくと、街が“賑やか”になるというより、別の方向へ動き始める感じがします。
テト前の1〜2週間は、多くの家庭が大掃除をして、花(桃・キンカン・黄梅など)を飾り、お供えやバインチュンを準備し、新しい服やお年玉(リーシー)を用意します。だからテト前の市場・スーパー・モールは毎年とても混み合います。そして実はテトは元日からの3日間だけではなく、旧暦12月23日(かまど神を送る日)ごろから準備が始まり、地域によっては旧暦1月15日(テト明けの満月)まで続きます。
【2027年(未年)】ベトナムのテトはいつ?休暇はいつからいつまで?
まず日程です。
2027年(未年)のテト(旧暦元日)は2月6日(土)。
2027年の公的機関の休暇日程は、2026年秋ごろに政府が発表予定です(例年9連休前後)。元日が2月6日(土)なので、その前後1週間ほどが目安になります。
【2027年のテト休暇スケジュール】
- 公式連休:2026年秋ごろ発表予定(例年9連休前後)。確定し次第このページを更新します
- 旧暦元日:2027年2月6日(土)
旅行者が特に注意すべき「静まり返る4日間」。お店や移動の選択肢が一気に減りやすいのは、次の4日間です(特にローカル店・ローカル交通)。
- 2月5日(金):大晦日(午後〜夕方にかけて閉店が増える)
- 2月6日(土):元日(街が静かになりやすい/ローカル店は休業が多い)
- 2月7日(日):2日目(親戚回りでまだ静かめ)
- 2月8日(月):3日目(少しずつ再開する店が増える)
ただし、この「静けさ」には地域差があります。ハノイやホーチミンは大晦日の午後〜元日〜2日目の朝がとくに静かですが、2日目の午後〜3日目にはカフェ・モール・歩行者天国などが少しずつ賑わいを取り戻します。一方、ホイアン・ダナン・サパなど外国人や国内旅行客の多い観光地は、テト中もほとんど閉まらず営業しているお店が多いです。再開のタイミングもお店によってバラバラで、元日の午後や2日目から開く店もあれば、5日目・6日目・8日目まで閉める店もあります(市場は比較的早く、家族経営の食堂は遅めの傾向)。
※2月9日以降は、徐々に日常に戻っていきます。
ここで大事なのは「公的機関の9連休=世の中すべてが同じ」ではないこと。
民間は会社ごとに調整が入るので、旅行者の体感としては前後1週間くらい影響が続くと見ておくのが安全です。
相手別の相場や、赤い袋(ポチ袋)の準備など「渡し方」まで含めて、リーシーの基本はこちらにまとめています。
テト期間のベトナム旅行で何が起きる?影響はこの4つ
結論から言うと、旅行者が困りやすいのはだいたい次の4つです。
1)ローカル店が閉まりやすい

テトの直前〜元日前後は、家族経営のお店ほど休みがちです。
- ローカル食堂
- 個人商店
- 市場(マーケット)
- 小さなスパ・ネイルなど
一方で、開きやすいのは「観光客向けに回っている場所」です。
- ホテル
- 大型モール
- 観光エリアのレストラン
大型スーパー・モール(WinMart・Co.opmart・GO!・AEONモール・ロッテマートなど)は、休んでも短期間か時短営業で、年始でも比較的早く通常営業に戻ります。
ただし、開いていても
- メニューが減る:食材調達が難しいため、特別メニューのみになる
- 営業時間が短い:昼過ぎで閉まる、夕方から開くなど不規則に
- 正月価格になる:サービス料として10〜30%程度加算されることがあります。ただしこれは目安で、レストランは5〜20%の追加や直接の値上げ、Grabは需要に応じた変動(サージ)と、決まった率があるわけではありません。ホテルは予約済みなら据え置きのことも。いずれも「ぼったくり」ではなく、テト期間に働いてくれるスタッフへの手当ても含まれるため、仕様として受け入れましょう。
は普通にあります。
2)移動(交通・航空券・バス)が取りづらい
テトは帰省のピークです。国内線や長距離移動は取りづらくなり、価格も上がりやすい。
「ホーチミン→ダナン」「ハノイ→中部」など、移動を多くする旅ほど難易度が上がります。
3)Grabやタクシーは動くが、捕まりにくい時間がある
Grabも使えるけど、需要が集中するタイミングでは捕まりにくく、料金も高くなります。テト期間の移動は、“いつも通りのつもり”で組まないのがコツです。
一日中・期間中ずっと捕まらないわけではなく、エリアや時間帯によります(元日の朝のハノイはとくに難しい一方、2日目の夜の旧市街や、ホーチミン中心部は比較的つかまえやすい)。Grabがつかまりにくいときは、Xanh SM・Be などの配車アプリや、Mai Linh・Vinasun といったタクシー会社も代替になります。
テト期間は特に「乗り方」と「料金の動き」を知っているだけでストレスが減ります。
4)現金・銀行まわりが不便になりやすい
祝日中は金融系が動きづらくなります。
ベトナムではお年玉(リーシー)を新札の現金で渡す文化があるため、テト直前はATMから現金が引き出され尽くして空っぽになることがあります。ただし、すべてのATMが空になるわけではなく、スーパー・モール・空港のATMは補充が早め、住宅街のATMほど枯れやすい傾向です。
また最近のベトナムはキャッシュレスもかなり普及していて、ホテル・モール・大型チェーンではVisa/Masterのカード、Apple Pay・Google Pay、QR決済(主にベトナムの銀行口座向け)が使えます。とはいえローカル店や屋台は現金が基本なので、両替やある程度の現金確保は『テトに入る数日前』に済ませておくと安心です。
テトに限らず、ベトナム旅行で「これだけは押さえておくと安心」という基本は別記事にまとめています。初めての方は先にこちらもご覧ください。
それでもテト旅行には「良さ」もある
テト旅行はデメリットだけではありません。むしろ「テトならではの良さ」を楽しめる人もいます。
街が驚くほど静かになる日がある
帰省で都市部の人が減り、ローカル店も閉まるので、中心部でも「あれ、こんなに空いてる?」という静けさになることがあります。
正月の飾り・花・空気が見られる

テト前は花や飾りが増えて、街の色が変わります。北部は桃の花(hoa đào)やキンカン(quất)、南部は黄色い梅(hoa mai)が定番で、各地に花市(花通り)が立ちます。“観光地”というより、街全体が季節色に染まる“季節の空気”を見たい人に向いています。
テトの過ごし方(文化)を、旅行者目線で理解する
テトの本質は「当たる占い」や「派手なイベント」ではなく、一年を迎え直すために、家族の場所へ戻ることにあります。
- 家を整える(掃除・準備)
- 祖先を供養する(年越しの giao thừa、お墓参り、線香)
- 家族と食卓を囲む
- 寺院へ行く
- 新年の挨拶(チュック・テト)を交わす
- お年玉(リーシー)で幸運を分ける
この“家族に戻る力”が強いから、テトは世の中が止まりやすい。旅行者にとっての注意点は、実はここから全部つながっています。
また、元日の朝は「xông đất(ソンダット)」といって、その年最初に家を訪れた人がその家の運を左右すると考えられており、相性の良い人を待つために早朝の外出を控える家庭もあります。新年には祖父母・両親・親戚・ご近所に「Chúc mừng năm mới(明けましておめでとう)」「An khang thịnh vượng(健康と繁栄を)」といった挨拶を交わします。
テトの食卓に並ぶ料理には、一品ごとに「縁起」や家族の願いが込められています。何を食べるのか気になる人は、こちらもどうぞ。
テト期間に旅行するなら:失敗を減らす5つのコツ
ここからは実用だけに絞ります。テト旅は「準備の差」が出ます。
- レストランは「開いている候補」を3つ持つ(ホテル/モール/観光エリア)
- 移動が多い旅は避けるか、前倒しで予約
- 予定を詰めすぎない(閉店・捕まらないを織り込む)
- 現金・両替はテト前に済ませる
- “正月価格”はある程度仕様として受け入れる
テト旅行はおすすめ?向いている人/向いていない人
向いている人
- 文化の「空気」を見たい
- 静かな街を歩きたい
- 多少の不便も含めて旅だと思える
向いていない人
- ローカル食べ歩きが旅の目的
- その場で決める自由旅がしたい
- 周遊して移動しまくりたい
よくある質問(FAQ)
Q. 2027年のテトはいつですか?
2027年2月6日(土)が旧暦元日です。
Q. 2027年のテト休暇はいつからいつまで?
2027年の公式日程は2026年秋ごろ発表予定です(例年9連休前後)。元日は2月6日(土)なので、その前後1週間ほどが目安。確定し次第このページを更新します。
Q. テト期間は全部のお店が閉まりますか?
全部ではありません。ただ、ローカル店ほど閉まりやすいので、食べ歩き中心の人は注意です。
Q. テト期間にベトナム旅行はやめた方がいい?
「やめた方がいい」とは言いません。ただし、期待が「いつものベトナムの活気」ならズレる可能性があります。逆に、テトの空気を体験したい人には、良い旅になります。
Q. テト期間中、Grabは使えますか?
使えます。ただし元日の朝などピーク時は捕まりにくく、料金も上がりやすいです。つかまらないときは Xanh SM・Be、Mai Linh・Vinasun などのタクシーも代替になります。
Q. スーパーは開いていますか?
大型スーパー・モール(WinMart・Co.opmart・GO!・AEON・ロッテマートなど)は、休んでも短期間か時短で比較的早く通常営業に戻ります。家族経営の個人商店ほど長く休みがちです。
Q. ATMやクレジットカードは使えますか?
ATMは動いていますが、場所によっては現金切れのことがあります(スーパー・モール・空港は補充が早め)。ホテル・モール・大型チェーンではカードやQR決済も広く使えるので、ある程度の現金+カードの併用が安心です。
まとめ:テトは“止まる祝日”ではなく、“戻る祝日”
2027年のテトは2月6日(土)。公的機関の休暇日程は2026年秋ごろ発表予定です(例年9連休前後)。
旅行者にとっては不便もありますが、それは「たまたま休み」ではなく、ベトナムが一年に一度、家族へ戻る季節だから起きることです。
行くなら、閉店や混雑を“失敗”ではなく“季節の仕様”として織り込む。それだけで、テトの旅はかなり快適になります。