ベトナムのスーパーでビール売り場を前にすると、見慣れない銘柄が10種類以上並んでいて、どれを選べばいいのか分からない。
この記事では、ハノイの大手スーパー「WinMart」で撮影した値札と缶裏の表示をもとに、主要銘柄の実売価格とアルコール度数をまとめた。
米の蒸留酒やベトナム産ワインなど、ビール以外のお酒はこちらの記事で紹介している。
ベトナムビールの実売価格一覧|スーパーとビアホイの値段
まずは首都ハノイの大手スーパー「WinMart」で確認した主要缶ビールの店頭価格と、街頭のビアホイの価格を一覧で示す。
スーパー(WinMart)での缶ビール実売価格(330ml)

スーパーの酒売り場(Bia & Rượu)には、ベトナム国内の定番銘柄が整然と陳列されている。店頭の電子値札から確認した実売価格は以下の通りである。
| 銘柄名 | 容量 | 店頭実売価格 | 日本円換算 | 度数 | 原材料・特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 333(バーバーバー) | 330ml | 12,500 VND | 約75円 | 5.3% | 米入り 伝統的ラガー |
| サイゴン・ラガー | 330ml | 11,000 VND | 約66円 | 4.0〜4.3% | 軽快な飲み口 南部定番 |
| サイゴン・スペシャル | 330ml | 14,500 VND | 約87円 | 4.9% | 麦芽100% 米不使用 |
| ハノイビール | 330ml | 10,500 VND | 約63円 | 4.6% | 米入り 北部定番 |
| タイガービール | 330ml | 17,000 VND | 約102円 | 5.0% | コクのある苦味 国際ブランド |
| ラルービール | 330ml | 10,000 VND | 約60円 | 4.2% | さっぱりした酸味 中部定番 |
| フーダ(Huda) | 330ml | — | – | 4.7% | 中部フエ発祥 詳細は後述 |
※日本円換算レートは規定の計算式(ドン ÷ 1000 × 6)による概算値である。
※度数の出どころは銘柄で異なる。333・サイゴン・スペシャル・ハノイビールは缶裏面の表示を確認した数字、タイガー・ラルー・フーダはメーカー公式の製品仕様による。サイゴン・ラガーは出典により4.0%と4.3%の表記があるため、本記事では4.0〜4.3%としている。


ローカルブランドの缶ビールはいずれも10,000〜14,500ドン(約60〜87円)の範囲に収まっており、日本の一般的な缶ビール(200円前後)と比べて大幅に安い。国際ブランドのタイガービールでも17,000ドン(約102円)で購入できる。値札で価格を確認できた中で最も安いのはラルーの10,000ドン(約60円)、最も高いのはタイガーの17,000ドン(約102円)で、同じ330ml缶でも7,000ドン(約42円)の差がある。
ビアホイ(生ビール)店頭での1杯の値段

ベトナム、特に北部ハノイの庶民的な酒場文化を代表するのが「ビアホイ(Bia hơi)」である。当日に醸造所から運ばれる無殺菌の生ビールで、夕方になると歩道に並べられたプラスチックの椅子に人々が集まる。
店頭の黒板を確認すると、「Bia hơi 12.000đ/cốc」と明記されている。ジョッキ1杯が12,000ドン(約72円)という安さである。缶ビール1本と同等の手頃な価格で、新鮮な生ビールを何杯も楽しめるのがビアホイの大きな魅力だ。
・路上のビアホイはジョッキ1杯約72円(12,000ドン)
・日本の缶ビールの半額以下で購入できる
ビアホイの製法や味の特徴、ローカルのビアホイ屋の入り方、実際のメニューや会計については、こちらの記事で詳しく紹介している。この記事では缶と瓶を中心に扱う。
ベトナムのビールはなぜ安いのか
1缶60円台という値段には、生産のされ方と税金のかかり方という2つの背景がある。
理由1:輸入品ではなく、国内の工場で大量に造られている
この記事で紹介する主要銘柄は、国際ブランドも含めていずれもベトナム国内の工場で製造されている。333とサイゴンはSABECO、ハノイビールはHABECO、タイガーとラルーはハイネケン・ベトナム、フーダはカールスバーグ・ベトナムが手がけている。
いずれも国内で造られているため、輸入ビールのように国際輸送のコストが上乗せされることもない。
一方、同じ銘柄を日本で買うと1缶300〜400円前後になる。日本で輸入販売する場合は、国際輸送や輸入・卸売流通などのコストが加わり、さらに次に述べる酒税の負担が乗るためである。
理由2:日本とは酒税のかかり方が違う
日本の酒税は、中身の値段ではなく容量に対してかかる。ビールの税率は、2026年9月30日までは1キロリットルあたり181,000円(330ml缶1本あたり約59.7円)、2026年10月1日からは155,000円(同約51.2円)である。
この額は、安い商品でも高い商品でも変わらない。1本あたり数十円の負担が固定的にかかるため、日本では店頭価格を下げられる余地がそもそも小さい。
一方ベトナムの特別消費税は、製造者などの販売価格を基礎とする従価税である。ビールの税率は2026年時点で65%だ。ここで基礎になるのはメーカー段階の価格であり、店頭に並んだ値札の65%が税金という意味ではない。
参考:日本の酒税1本分と、ベトナムの缶ビールの値段
日本で330mlの缶ビール1本にかかる酒税は、2026年9月30日までは約59.7円、10月1日からは約51.2円。今回WinMartで確認したラルーの店頭価格は10,000ドン(約60円)、ハノイビールは10,500ドン(約63円)だった。日本の缶ビール1本にかかる酒税と、ベトナムの缶ビール1本の値段がほぼ同じ水準ということになる。
・日本の酒税は容量あたりの定額で、330ml缶1本につき約59.7円(2026年9月30日まで)、約51.2円(10月1日から)
・ベトナムの特別消費税は製造者などの販売価格を基礎とする従価税で、2026年時点は65%
・日本の缶ビール1本にかかる酒税と、ベトナムのローカル銘柄1缶の店頭価格がほぼ同じ水準
※日本の酒税率は国税庁の公表資料による。ベトナムの特別消費税率は、2026年1月1日施行の特別消費税法66/2025/QH15にもとづく。
定番ベトナムビール銘柄の特徴|度数・原材料・味の違い
ベトナムのビールは地域ごとに強い支持を持つブランドが分かれている。各銘柄の缶裏面表示や実物をもとに、原材料、アルコール度数、味わいの違いを比較する。
333(バーバーバー)|前身は「33 Export」という輸出用ラベル

ベトナムを代表する定番銘柄のひとつが「333」だ。数字の3はベトナム語でバー(Ba)と発音するため、現地では「バーバーバー」と呼ばれる。
この銘柄の前身は、フランス統治時代に造られた「33 Export」という輸出向けのラベルである。33センチリットル(=330ml)の瓶で売られていた。現在の333はその系譜を引くブランドで、棚に並んでいる缶も同じ330mlだ。なお、数字が1つ増えて「333」になった理由については、資料によって説明が分かれている。
製造元はベトナムのビール大手SABECO(サベコ)社である。缶裏面の表示を確認すると、アルコール度数は5.3%で、今回確認した銘柄の中では最も高い。原材料表示には大麦麦芽(malt đại mạch)とホップ(hoa bia)のほか、米(gạo)が明記されている。
米を副原料に加えることでスッキリとしたキレを生み出しつつ、しっかりとした炭酸感と程よい苦味が後味に残る。店頭価格は12,500ドン(約75円)で、ローカル銘柄の中では中の上といったところだ。全国の食堂や居酒屋で広く親しまれており、日本の輸入食品店でも「ベトナムビール333」の名で売られている。
・前身は33cl(330ml)瓶の「33 Export」
・注文するときは「バーバーバー」と言えば通じる
サイゴンビール(Bia Saigon)|ラガーとスペシャルは中身が別物

南部ホーチミンを中心に強いシェアを持つのが、同じくSABECO社の「サイゴンビール」である。主力は「サイゴン・ラガー」と「サイゴン・スペシャル」の2本立てで、同じ名前でも中身は別物だ。
サイゴン・ラガーは苦味が控えめで飲みやすく、値段も11,000ドン(約66円)と中間程度である。一方のサイゴン・スペシャルは、原材料に米を使わず「水、大麦麦芽、ホップ」のみで醸造されたモルト100%のプレミアムラガーで、缶裏面の表示では度数4.9%だった。大麦麦芽本来のコクと豊かな香りが感じられ、日本のピルスナー系ビールに近いしっかりした飲み応えを持つ。価格は14,500ドン(約87円)と通常ラインより少し高いが、麦の味わいを楽しみたい人には向いている。
売り場では2種類のパッケージが似ているため、缶に書かれた「SPECIAL」の文字で見分けるのが早い。
ハノイビール(Bia Hà Nội)|北部の日常を支えるすっきり味

北部ハノイを中心に飲まれているのが、HABECO(ハベコ)社が製造する「ハノイビール」だ。黄色と緑のラベルが街のあちこちで見られる。
缶裏面の表示によると、アルコール度数は4.6%である。原材料には大麦麦芽、米、ホップ、酵母が使用されている。価格も10,500ドン(約63円)と今回の銘柄では最安クラスだった。
味のバランスが良く、苦味が穏やかでクセがない。炭酸もきつすぎず、喉越しがスムーズだ。ハノイ名物のブンチャーや揚げ春巻きといった料理の邪魔をせず、日常の食事とともに飲める軽快さが特徴である。ハノイの食堂や歩道の店では、地元の人がまず選ぶビールとしてよく見かける。
タイガービール(Tiger Beer)|今回の棚で最も高かった一本
シンガポール発祥の国際ブランドだが、ベトナム国内ではハイネケン・ベトナムが現地工場で製造している。アルコール度数は5.0%だ。
店頭価格は17,000ドン(約102円)で、値札で価格を確認できた中では最も高かった。最安のラルー(10,000ドン)とは1缶あたり7,000ドン(約42円)の差がある。ローカル銘柄だけを買っていると気づきにくいが、国際ブランドは現地生産であっても価格帯が一段上に置かれている。
味はローカル銘柄と比べるとホップの苦味と麦のコクがしっかりしており、フルーティーな香りと力強い飲み口が特徴だ。レストランや中規模以上の飲食店で選ばれることが多く、外国人旅行者にも親しみやすい。ローカル食堂で出てくる軽いラガーに物足りなさを感じたときの選択肢になる。
ラルービール(Bia Larue)|333と同じ醸造所から分かれた一本
虎のイラストが描かれた缶が目印で、ダナンやホイアンなどの中部地域で広く飲まれている。今回のスーパー実売調査では1缶10,000ドン(約60円)と、確認した中で最も安い価格帯だった。アルコール度数は4.2%で、かすかな酸味を伴うさっぱりとした味わいである。
この銘柄と333は、もとをたどると同じ場所から出ている。1875年、フランス海軍出身のビクター・ラルーがサイゴンで小さな醸造所を興した。この醸造所はやがてインドシナ全域に広がる会社へと成長し、そこで生まれたのが先の「33 Export」だった。1909年、ラルーは自分の名を冠した「Bière Larue」を送り出す。
南北統一後、この醸造所はサイゴンビール工場として再出発し、のちのSABECOになった。333はそのままSABECOに残り、ラルーの商標は後にハイネケン側へ渡っている。スーパーの棚で隣り合っている333とラルーは、150年前の同じ醸造所から分かれた兄弟にあたる。
フエの地ビール「Huda(フーダ)」|中部でラルーと並ぶ選択肢

中部フエ発祥の地ビール「Huda(フーダ)」は、デンマークのカルスバーグ社傘下のカルスバーグ・ベトナムが製造している(アルコール度数4.7%)。香水川(フォーン川)の水を使用していた歴史を持ち、中部ではラルーと並ぶ選択肢として知られる。
今回訪問したWinMartでもフーダは販売されていた。価格は店舗や時期によって変わるため、購入時は棚の表示を確認したい。同じ棚で価格を確認できたローカル銘柄は10,000〜14,500ドン(約60〜87円)だった。
初めてなら何を頼む?銘柄選びの目安
銘柄が多くて選べないという人向けに、味の傾向で大まかに分けておく。
- 軽くさっぱり派:ハノイビール、サイゴン・ラガー、ラルー
- しっかりした味が好き:333、タイガー
- 麦の味をじっくり楽しみたい:サイゴン・スペシャル
- とにかく安く済ませたい:ラルー(10,000ドン)かハノイビール(10,500ドン)
- 缶より軽い一杯で済ませたい:ビアホイ
ベトナムビールは「まずい」?薄いと言われる理由と味の楽しみ方
「ベトナムのビールは薄い」「水っぽい」という感想を見かけることがある。しかし品質の問題というより、原材料や飲み方の違いによって軽く感じやすい面がある。
理由1:米を使用して軽快なキレを重視している
日本の大手ビール(ヱビスやプレミアムモルツなど)に代表される重厚な麦芽感に慣れていると、ベトナムのビールは薄く感じられることがある。
前述の原材料表示の通り、333やハノイビールには副原料として米が使われている。米を加えることで雑味が抑えられ、すっきりとした喉越しと後味のキレにつながる。暑い気候の中でよく冷やして飲むには合ったつくりといえる。
理由2:氷を入れて飲むと、さらに軽く感じやすい
ベトナムには、ビールに氷を入れて飲む習慣がある。屋外の席では気温が30度を超えることも珍しくない。
濃厚なフルボディのビールに氷を入れるとバランスが崩れやすいのに対し、軽快なラガーはこの飲み方と相性がいい。冷房の効いた室内で日本のビールの感覚でそのまま口にすると、やや軽すぎると感じる場合がある。
・揚げ春巻きや空心菜炒めなど油を使ったベトナム料理と一緒に飲むと軽快なラガーが合う
お土産にするならどれ?|選び方と日本への持ち帰りルール
パッケージが鮮やかで単価も安いため、ビールはお土産に選ばれやすい。ただし持ち帰りには重量と免税の2つの制約がある。
どれを買うか|旅先の地域で選ぶと外さない
日本の輸入食品店やネット通販で見かけるのは、主に333とサイゴン・スペシャルである。この2つは日本でも1缶300〜400円前後で手に入るため、お土産としての珍しさはやや薄い。
一方、銘柄には地域性がある。旅先で地元の人が飲んでいる銘柄を選ぶと、土産としての意味がはっきりする。
- ハノイ・北部から:ハノイビール(10,500ドン)
- ダナン・ホイアン・フエなど中部から:ラルー(10,000ドン)、フーダ
- ホーチミン・南部から:サイゴン・スペシャル(14,500ドン)
- 迷ったら:333。ベトナム全土で通用する定番
缶と瓶では缶を選ぶのが無難だ。軽く、割れる心配がなく、荷造りも楽になる。
どこで買うか|スーパーが最も安く、空港でも買える
最も安いのはスーパーやコンビニである。WinMartのような大型スーパーなら銘柄も揃っており、電子値札で価格を確認しながら選べる。ベトナムの空港の免税店でも缶・瓶のビールは購入できるが、街中のスーパーより割高になるのが通常だ。
なお、買った場所によって扱いが変わる。街中のスーパーや、空港でも保安検査より手前で買った缶ビールは機内に持ち込めないので、預け入れの荷物に入れる。一方、保安検査を通った後の免税店で買ったものは、条件を満たせば機内に持ち込める。ただし途中で乗り継ぐ場合は密封袋(STEB)に入っているかなど別の条件がつくため、購入時に店員へ確認しておきたい。
日本への持ち帰り|330ml缶なら6本まで免税
- 街中で買ったものは預け入れ:国際線では100mlを超える液体物の客室持ち込みが原則禁止されている。街中で買った缶ビールは保安検査を通せないため、スーツケースに入れて受託手荷物(預け入れ荷物)にする
- 荷造りの注意点:上空の気圧変化やスーツケースへの衝撃で缶が破裂・凹みを生じるリスクがある。ビニール袋で密閉した上で、タオルや衣類で包んで中央部に配置する
- 重さに注意:330ml缶は1本あたり約340g。6本で約2kgになり、預け入れ荷物の重量制限をそれなりに圧迫する
- 日本の税関免税範囲:20歳以上の1人あたり「酒類3本(1本760ml換算、合計2,280ml相当)」まで。20歳未満は免税の対象外
ベトナムの一般的な330ml缶ビールを持ち帰る場合、合計容量は以下のように計算できる。
| 本数(330ml缶) | 合計容量 | 税関の扱い |
|---|---|---|
| 1〜6本 | 330〜1,980ml | 完全免税(2,280ml以内) |
| 7本 | 2,310ml | 免税枠超過(課税対象) |
330ml缶であれば6本までなら免税範囲内で日本へ持ち帰ることができる。
もし7本以上持ち帰って免税範囲を超えた場合でも、税関の簡易税率ではビールは1リットルあたり200円(330ml缶1本あたり約66円)と少額である。税関申告書に本数を記入し、到着空港の税関検査で申告して税金を支払えば持ち込むことができる。
・6本で約2kg。預け入れ荷物の重量を計算に入れておく
・街中で買ったものは預け入れ。保安検査後の免税店で買ったものは持ち込める
・超えても1本あたり約66円の課税で済む
なぜビールに氷を入れるのか?現地流の飲み方とマナー
ベトナムの飲食店でビールを注文すると、氷(Đá)がたっぷり入ったグラスが一緒に出てくる。これにはベトナム特有の気候と歴史的背景がある。
理由1:暑さですぐにぬるくなるのを防ぐ
最大の理由は気候である。特に夏季のベトナムは日中の気温が35度を超え、夜間でも30度前後の熱気が残る。屋外の席でビールを飲んでいると、数分で生ぬるくなってしまう。大きな氷を入れておくことで、最後の1滴まで冷たい状態を保つことができる。
理由2:冷えていないビールを冷やすため
小規模な食堂や路上の店では、ビールを冷蔵庫で冷やしていないことがある。常温の瓶や缶を、氷を入れたグラスに注いで飲む。冷やす設備の代わりに氷を使う、という順番である。
理由3:ゆっくり長く飲むのに向いている
氷が少し溶けると味が軽くなり、友人と話しながら長時間飲むのに向く。テーブルに氷のバケツを置き、自分で足しながら飲むスタイルが多い。初めて氷入りのビールを見た日本人は驚くことが多いが、この暑さの中では氷入りの方が涼しく感じられるという声もある。
ビールに氷を入れる国はベトナムだけではない
ビールに氷を入れる習慣は、ベトナムだけのものではない。タイやカンボジア、ラオスなど東南アジアの暑い地域でも、大衆食堂や屋台で見られる。高温の屋外で冷たさを保ちながら飲むための方法として定着してきた飲み方で、ベトナムでは特に身近なスタイルのひとつである。
氷の衛生面と「氷なし」で注文する方法
旅行者が懸念しやすいのが氷の衛生状態だ。現代のハノイやホーチミンの都市部では、製氷工場で衛生管理された中央に穴の空いた円筒形の氷(Đá ống)が普及しており、過度に心配する必要はない。
それでも氷によるお腹の冷えを防ぎたい場合や、薄まらない味を楽しみたい場合は、注文時にひとこと伝えればよい。
・冷えたビールをください=Cho bia lạnh(チョー ビア ラン)
・氷を追加してください=Cho thêm đá(チョー テム ダー)
乾杯の掛け声「モッ・ハイ・バー・ゾー!」
ベトナムの飲み会に欠かせないのが乾杯の合図だ。誰かが音頭を取ると、全員で声を揃えて以下のように叫ぶ。
「Một! Hai! Ba! Dzô!(モッ!ハイ!バー!ゾー!)」
ベトナム語で「1、2、3、飲もう!」という意味である。何度もグラスを突き合わせることで、初対面の人同士でも打ち解けられるのが現地の宴席文化だ。
飲んだら乗らない|ベトナムの飲酒運転は1滴でも違反になる
旅行者が最も気をつけるべきなのがここである。ベトナムにはアルコールの基準値という考え方がない。呼気や血液からアルコールが検出された時点で違反になる。
2025年1月1日に施行された政令168/2024/ND-CPでは、罰則が大幅に引き上げられた。同政令の第7条により、アルコールが検出された状態でバイクや原付を運転した場合、違反の程度に応じて200万〜1,000万ドン(約1万2,000〜6万円)の罰金に加え、免許の点数が引かれ、最も重い区分(呼気1リットルあたり0.4mg超)では22〜24か月の免許停止になる。
見落とされがちだが、自転車も対象である。第9条により、飲酒状態での自転車運転にも10万〜60万ドン(約600〜3,600円)の罰金が定められている。外国人も同じように取り締まりの対象になる。
ビールを飲む予定がある日は、バイクをレンタルせずGrabやタクシーを使うのが確実だ。
・バイク・原付は200万〜1,000万ドン(約1万2,000〜6万円)の罰金
・自転車も対象(10万〜60万ドン)
・飲む日はGrabかタクシーを使う
※罰則の内容は2025年1月1日施行の政令168/2024/ND-CPにもとづく。
ベトナムのクラフトビール事情
缶ビールやビアホイのような従来のビールのほかに、ここ数年でベトナムではクラフトビールも広がっている。大手メーカーとは違い、小規模な醸造所がこだわりの原材料と製法で作るビールで、トロピカルフルーツの香りやコーヒー・チョコレート風味など、店ごとに味の幅が大きい。
ハノイやホーチミンの中心部にはクラフトビール専門店があり、数種類を少量ずつ飲み比べできる店もある。値段は缶のローカルビールより高く、1杯で缶ビール数本分になることも珍しくない。それでも、ローカルラガーばかりで飽きたときや、ベトナムらしい素材を使った一杯を試したいときには選択肢になる。
ベトナム語でビールを注文する時の簡単フレーズ
現地の飲食店や路上店でスムーズにビールを注文するための基本表現をまとめた。指差しや簡単な単語だけでも十分に伝わる。ベトナム語でビールは「bia(ビア)」である。
| 日本語 | ベトナム語 | カタカナ読み |
|---|---|---|
| ビールを1本ください | Cho tôi một chai bia | チョー トイ モッ チャイ ビア |
| 缶ビールを2缶ください | Cho tôi hai lon bia | チョー トイ ハイ ロン ビア |
| もう1本追加で | Thêm một chai nữa | テム モッ チャイ ヌア |
| ビアホイを1杯ください | Cho tôi một cốc bia hơi | チョー トイ モッ コック ビア ホイ |
| 冷えたビールをください | Cho bia lạnh | チョー ビア ラン |
| 氷はいりません(氷なし) | Không lấy đá | ホン レイ ダー |
| 氷をください(追加) | Cho thêm đá | チョー テム ダー |
| お会計をお願いします | Tính tiền | ティン ティエン |
ベトナムのビールに関するよくある質問(FAQ)
ベトナムビールのアルコール度数は?
今回確認した範囲では、333が5.3%、サイゴン・スペシャルが4.9%、ハノイビールが4.6%、タイガーが5.0%、ラルーが4.2%、フーダが4.7%である。このうち缶裏表示で確認できたのは333・サイゴン・スペシャル・ハノイビールの3つで、残りはメーカー公式の製品仕様による。サイゴン・ラガーは出典により4.0%と4.3%の表記が分かれるため確定させていない。全体としては日本のビール(5.0%前後)と同程度か、やや軽めの銘柄が多い。
ベトナムで一番有名なビールは?
銘柄としてよく名前が挙がるのは333だが、地域によって支持される銘柄は分かれており、北部ではハノイビール、南部ではサイゴンビール、中部ではラルーやフーダが日常的に飲まれている。旅先によって「よく見る銘柄」が変わるのがベトナムのビールの特徴だ。
ベトナムのビールメーカーはどこ?
主要な4社は次のとおり。SABECO(333、サイゴン)、HABECO(ハノイビール)、ハイネケン・ベトナム(ハイネケン、タイガー、ラルー)、カールスバーグ・ベトナム(フーダ)。このほか日本のサッポロもベトナムに自社工場を持っている。
サッポロビールはベトナムで買える?
購入できる。日本のサッポロビールはベトナム南部ロンアン省に自社醸造工場(サッポロベトナム)を保有しており、「サッポロプレミアムビール」を現地生産している。WinMartなどの大型スーパーやコンビニ、日系レストランで広く流通している。
ベトナムのビールは日本(カルディやドンキ)で買える?
購入できる。輸入食品を取り扱うカルディコーヒーファームやドン・キホーテ、アジア食材店などで「333」や「サイゴン・スペシャル」が販売されている。現地では1缶60〜102円だが、日本国内での実売価格は1缶300〜400円前後が相場となっている。
ベトナムにノンアルコールビールはある?
販売されている。スーパーやコンビニの売り場では「Heineken 0.0(ハイネケン ゼロゼロ)」やサベコ社のノンアルコールビールなどが手に入る。缶にアルコール度数0.0%と大きく表示されているため、酒類が飲めない場面でも選びやすい。
ベトナムのビール消費量は世界で何位?
キリンホールディングスが2025年12月に公表した「2024年 世界主要国のビール消費量」によると、ベトナムの年間消費量は457.7万klで世界8位だった。同じ調査で日本は413.5万klの11位だった。