ベトナムの食べ物のなかで、食べるかどうかを一番迷うのがホビロンと言っても過言ではありません。孵化しかけたアヒルの卵…と聞く分には抵抗がありませんが、いざ目の前に提供されると手が止まる方がほとんどだと思います。
この記事では、それが何なのか、どこで食べられるのか、そして実際に食べるとどうだったのかを書きます。

ホビロンとは
ホビロンは、孵化する途中まで育ったアヒルの卵を加熱した料理です。ベトナム全土で食べられていて、専門の屋台や食堂のほか、マッサージ店の軽食としても出てきます。
普通のゆで卵と違うのは、殻の中に雛になりかけた部分がそのまま入っていることです。育ち具合は卵によって差があり、羽や骨がはっきり分かるものもあります。
ベトナムでは滋養のある食べ物という位置づけで、疲れているときに食べるものとされています。
バロットとの違い
検索でよく並べられる「ホビロン」と「バロット」は、同じものを指す別の言語の呼び名です。
ホビロンがベトナム語、バロット(Balut)がフィリピンのタガログ語です。料理そのものが違うわけではありません。
日本語のネット上では両方の呼び方が混ざって使われているので、「ホビロンとバロットはどう違うのか」で調べても、どちらの記事にたどり着いても中身は同じ食べ物の話になります。
日本でも食べられる
現地まで行かなくても食べる方法はあります。
まず、日本国内で作っている業者があります。大阪で有精卵を孵卵器にかけて、孵化の直前を狙って出荷している製造所があり、通販で買えます。ここで作られているのは鶏の卵で、ベトナムのアヒルのものとは別です。都内・大阪の飲食店にも卸されています。
もう一つは、ベトナム食材店やフィリピン食材店です。扱っている店では1個200円くらいで売られています。ただしどの店にも必ずあるわけではないので、行く前に電話で聞いたほうが確実です。
実際に食べた味
見た目で身構える食べ物ですが、味は部位でかなり違いました。
まず殻を割ったときの見た目。これがとにかくグロい。でも、殻を割ると出てくる汁、これは普通に卵味のスープとしておいしくいただけます。

黄身も、見た目から想像するのとは違って普通の卵の黄身の味でした。
分かれるのが白身です。ゴムのような弾力があって、少しバサバサしています。普通のゆで卵の白身とは別物で、ここが苦手な方はいると思います。

羽が目立つかどうかは、卵を何日温めてから茹でたかで決まります。食べ頃とされるのは孵卵17〜20日ほどで、日数が長いほど成長が進み、羽や骨も目立つようになります。仕入れる卵の日数はそろわないので、同じ店でも差が出ます。
味の評価は人によって割れる食べ物です。現地のベトナム人にとっては日常のおやつであり、好んで食べる日本人の方もいます。ただ、「一度は食べてみたい」で頼んだ場合に、全部食べきれずに残す方は少なくないと思います。
食べ方と、どこで食べられるか
出てくる形は店によって違います。屋台では自分で割って食べます。マッサージ店のように、殻を剥いてスプーンで食べさせるところもあります。
屋台での食べ方はこうです。

- 殻の上部を叩いて割る
- 殻と中身の間にある汁を椀に受ける(卵の味のスープ。そのまま飲んでも、卵と一緒に食べてもいい)
- 残りの殻を剥いて椀に入れる
- 生姜の千切りとラウザム(rau răm)を一緒に載せる
- 塩をかけて食べる

ラウザムは香りの強い葉です。ベトナムの伝統医学では、ホビロンは体を冷やす食べ物、ラウザムや生姜は体を温める食べ物とされていて、一緒に食べてバランスを取るという考え方があります。ラウザムも生姜も卓上に備え付けてあるので、自分で好きなだけ取って載せます。
屋台で食べる場合
街なかの屋台や食堂で売られています。茹でたホビロンは1個8,000ドン(約48円)で、小さな椀に殻付きのまま2個入って出てきます。最初から店側で割って出してくれることもあり、今回も割って出そうかと聞かれましたが、撮影のため割らずにいただきました。

卓上にラウザムがカゴに山盛り、生姜の千切りが汁の椀に入って備え付けてあります。唐辛子の小皿と調味料の瓶も卓上です。自分で好きなだけ取って食べます。

同じ屋台ではヨモギと漢方で煮込んだもの(20,000〜30,000ドン/約120〜180円)や、それを麺に載せたもの(28,000〜38,000ドン/約168〜228円)も頼めます。

食べる時間に地域差があります。ハノイでは朝食です。朝から開いていて、朝食のついでに寄る人が多い食べ物です。南部では午後から夜にかけての軽食として食べられます。夜も開いている店はあります。看板には TRỨNG VỊT LỘN と出ています。

マッサージ店の軽食として出てくる
ハノイでホビロンに出会う場所として、屋台以外にもう一つあります。伝統医学系のマッサージ店です。
ホビロンをヨモギと一緒に煮込んだものが、施術のあとに出る軽食として用意されています。コースに組み込まれていて、注文しなくても出てきます。

たとえば西湖エリアにある Hương Sen Healthcare の68 An Dương店では、店頭のメニューにこのヨモギ煮込みのホビロンが載っていて、施術を受けた人にはコースの軽食として無料で出てきます。おかわりや追加で頼む場合は15,000ドン(約90円)です。

- 店名:Hương Sen Healthcare(68 An Dương店)
- 住所:68 An Dương, Tây Hồ, Hà Nội
- 電話:0243 7171 999 / 035 318 3888
- 営業時間:9:00〜22:30(年中無休)

コースは95分の450,000ドン(約2,700円)から、150分の1,100,000ドン(約6,600円)まであり、どのコースにも軽食が付きます。軽食の中身はホビロンのほか、その日の粥(魚か豚)と季節の果物です。
メニューは英語版も置かれているので、指させば注文できます。ハノイ市内には他にも支店があり、西湖のほかミーディン、タインスアン、ハドン、スアンディンにあります。

ホビロン以外のベトナムの食べ物については、下記でまとめています。
まとめ
ホビロンは、孵化しかけたアヒルの卵を加熱した料理で、フィリピンのバロットと同じものです。日本でも通販や食材店で手に入ります。
実際に食べてみると、手強いのは見た目のほうでした。汁と黄身は普通の卵の味です。それでもベトナムでは日常的に食べられているもので、ハノイではマッサージ店の軽食として出てくるほど生活に入り込んでいます。
試すかどうかは、割った瞬間の見た目に耐えられるかどうかだと思います。そこを越えれば汁と黄身は普通においしく、あとは白身のゴムのような食感が平気かどうかです。