ベトナムの食べ物のなかで、食べるかどうかを一番迷うのがホビロンと言っても過言ではありません。
孵化しかけたアヒルの卵…と聞く分には抵抗がありませんが、いざ目の前に提供されると手が止まる方がほとんどだと思います。
この記事では、それが何なのか、どこで食べられるのか、そして実際に食べるとどうだったのかを書きます。

ホビロンとは
ホビロンは、孵化する途中まで育ったアヒルの卵を加熱した料理です。ベトナム全土で食べられていて、専門の屋台や食堂のほか、ハノイには施術のあとの軽食として出すマッサージ店もあります。
普通のゆで卵と違うのは、殻の中に雛になりかけた部分がそのまま入っていることです。育ち具合は卵によって差があり、羽や骨がはっきり分かるものもあります。
・日本語の「ホビロン」は、南部の呼び名に近い音です。
ベトナムでは滋養のある食べ物とされていて、伝統医学では血を補い、体力をつけるといわれます。
ホビロンを食べる国と呼び名
孵化しかけたアヒルの卵は、ベトナムのほか、フィリピン、カンボジア、ラオスでも食べられていて、タイでも一部で食べられています。
中国にも、似た作り方の「毛蛋(マオダン)」があります。呼び名は国ごとに違います。
| 国 | 呼び名 | 読み |
|---|---|---|
| ベトナム | Hột vịt lộn(南部)/Trứng vịt lộn(北部) | ホッ・ビッ・ロン/チュン・ビッ・ロン |
| フィリピン | Balut | バロット |
| カンボジア | ពងទាកូន | ポン・ティア・コーン |
| タイ | ไข่ข้าว | カイ・カーオ |
バロットとの違い
検索でよく並べられる「ホビロン」と「バロット」は、同じ種類の食べ物を、国ごとの言葉で呼んだものです。
ホビロンはベトナムの呼び名から来た言葉で、バロット(Balut)はフィリピンの呼び名です。料理そのものが違うわけではありません。
違いがあるとすれば、温める日数と食べ方です。フィリピンでは14〜18日ほど温めた卵が一般的で、17日が理想とされます。
ベトナムでは17〜20日ほど温めた卵がよいとされていて、目安の日数はベトナムのほうが長めです。
食べ方も、フィリピンでは塩か、唐辛子とニンニクを入れた酢につけて食べます。ベトナムではラウザム(香草)と生姜を添え、塩こしょうやライム、キンカンで味をつけます。
日本語では両方の呼び方が使われていますが、どちらも同じ種類の食べ物を指します。
日本でも食べられる
日本では、国産の鶏の卵で作ったバロットなら通販で買えます。
日本産として売られているのは、確かめた範囲では鶏の卵です。孵化の手前まで温めた鶏の有精卵で、ベトナムのアヒルのものとは別です。
フィリピン食材を扱う赤羽物産(東京都北区)の通販では、国産の鶏のバロットが10個1,296円(税込)で売られています。
・殻を割った瞬間に中身が見えます。
実際に食べた味
見た目で身構える食べ物ですが、味は部位でかなり違いました。
まず殻を割ったときの見た目。これがとにかくグロい。
でも、殻を割ると出てくる汁、これは普通に卵味のスープとしておいしくいただけます。

黄身も、見た目から想像するのとは違って普通の卵の黄身の味でした。
分かれるのが白身です。ゴムのような弾力があって、少しバサバサしています。
普通のゆで卵の白身とは別物で、ここが苦手な方はいると思います。

羽が目立つかどうかは、卵を何日温めてから茹でたかで変わります。日数が長いほど成長が進み、羽や骨も目立つようになります。
同じ店でも卵によって差が出ます。
味の評価は人によって割れる食べ物です。ベトナム人の間でも好き嫌いは分かれるといわれますが、屋台で気軽に食べられるもので、好んで食べる日本人の方もいます。
ただ、「一度は食べてみたい」で頼んだ場合に、全部食べきれずに残す方は少なくないと思います。
ホビロンの食べ方は北部と南部で違う
出てくる形は地域と店によって違います。北部(ハノイ)は椀に割って、南部(ホーチミンなど)は小さなカップに立てて食べるのが基本で、どちらもラウザムを添えます。
ハノイには、殻から出してヨモギと一緒に煮込んだものを出すマッサージ店もあります(下で紹介する Hương Sen Healthcare)。
北部(ハノイ)の食べ方
ハノイの屋台では、殻を割って中身を椀に出し、生姜の千切りとラウザムを載せて、塩をかけて食べます。

- 殻の上部を叩いて割る
- 殻と中身の間にある汁を椀に受ける(卵の味のスープ。そのまま飲んでも、卵と一緒に食べてもいい)
- 残りの殻を剥いて椀に入れる
- 生姜の千切りとラウザム(rau răm)を一緒に載せる
- 塩をかけて食べる

塩の代わりにベトナムの調味塩(bột canh)を振り、キンカンを搾って食べる人もいます。
ラウザムは香りの強い葉です。ベトナムの伝統医学では、ホビロンは体を冷やす食べ物、ラウザムや生姜は体を温める食べ物とされていて、一緒に食べてバランスを取るという考え方があります。
南部(ホーチミンなど)の食べ方
南部では、卵を小さなカップに立てて出すのが基本です。上の殻をスプーンで叩いて小さな穴を開け、まず中の汁を飲んでから、スプーンで少しずつすくって食べます。
味付けは塩こしょうで、ラウザムを添えます。殻を全部は剥かずに穴からすくって食べるので、見た目が気になる方でも、中身を全部見ずに食べられます。
どこで食べられるか
街なかの屋台や食堂のほか、ハノイでは施術のあとの軽食に出すマッサージ店もあります。
屋台で食べる場合
街なかの屋台や食堂で売られています。2026年8月に行った屋台では、茹でたホビロンは1個8,000ドン(約48円)で、小さな椀に殻付きのまま2個入って出てきました。
最初から店側で割って出してくれることもあり、今回も割って出そうかと聞かれましたが、撮影のため割らずにいただきました。

卓上にラウザムがカゴに山盛り、生姜の千切りが汁の椀に入って備え付けてあります。唐辛子の小皿と調味料の瓶も卓上です。
自分で好きなだけ取って食べます。

同じ屋台では、次のものも頼めます。
- ヨモギと漢方で煮込んだもの:20,000〜30,000ドン(約120〜180円)
- ヨモギと煮込んだものを麺に載せたもの:28,000ドン(約168円)と38,000ドン(約228円)の2つ

ハノイでは朝ごはんによく食べられていて、朝から開いている屋台があります。ホーチミンでは、午後に歩道でビールと一緒に食べる人もいると言われています。
行った屋台の値段表には TRỨNG VỊT LỘN と書いてありました。
地図アプリで探すときは、ハノイなら「Trứng vịt lộn」、ホーチミンやダナンなら「Hột vịt lộn」と、その地域の呼び名で検索します。

マッサージ店の軽食として出てくる
屋台や食堂のほかに、ハノイでは伝統医学系のマッサージ店 Hương Sen Healthcare でも、施術のあとの軽食としてホビロンが出てきます。
ホビロンをヨモギと一緒に煮込んだものが、施術のあとに出る軽食として用意されています。コースに含まれていて、注文しなくても出てきます(75分のコースだけは粥かホビロンのどちらかを選びます)。

西湖エリアにある68 An Dương店では、店頭のメニューにこのヨモギ煮込みのホビロンが載っています。おかわりや追加で頼むと、1つ15,000ドン(約90円)です。

- 店名:Hương Sen Healthcare(68 An Dương店)
- 住所:68 An Dương, Tây Hồ, Hà Nội
- 地図:Googleマップで開く
- 電話:0243 7171 999 / 035 318 3888
- 営業時間:9:00〜22:30(旧正月のテトは休み)

コースは75分の400,000ドン(約2,400円)から、150分の1,100,000ドン(約6,600円)まであり、どのコースにも軽食が付きます。
軽食の中身はホビロンのほか、その日の粥(魚か豚)と季節の果物です。
・牛肉の煮込みと鶏の煮込みも、各150,000ドン(約900円)で頼めます
・どれも施術を受けた人向けの値段です
メニューは英語版も置かれているので、指させば注文できます。ハノイ市内には他にも支店があり、西湖のほかミーディン、タインスアン、ハドン、スアンディンにあります。

この店の薬草風呂と、施術を受ける流れは、下の記事で書いています。
まとめ
ホビロンは、孵化しかけたアヒルの卵を加熱した料理で、フィリピンのバロットと同じ種類の食べ物です。日本では、国産の鶏のものが通販で手に入ります。
実際に食べてみると、手強いのは見た目のほうでした。汁と黄身は普通の卵の味です。
それでもベトナムでは日常的に食べられているもので、ハノイにはマッサージ店の施術後の軽食に出すところもあります。
試すかどうかは、割った瞬間の見た目に耐えられるかどうかだと思います。そこを越えれば汁と黄身は普通においしく、あとは白身のゴムのような食感が平気かどうかです。
ホビロン以外のベトナムの食べ物については、下記でまとめています。