ベトナムの中秋節(Tết Trung Thu)は旧暦8月15日なので、毎年日付が動く。2026年は9月25日(金)。
ただし、この日を境に何かが始まるわけではない。ハノイの街は1か月前から中秋節の顔になっていて、旅行者にとっての本番はむしろ「その手前」だ。この記事では、2026年の日付、街のどこで何が見られるのか、月餅の選び方までを在住者の目線でまとめる。
ベトナムの中秋節2026年はいつ?|9月25日(金)
中秋節は旧暦8月15日。新暦に直すと毎年ずれて、9月上旬から10月上旬のあいだを動く。
2026年は9月25日(金曜日)。ちなみに2025年は10月6日、2024年は9月17日だった。1年ごとに10日前後ずれていくので、去年の日付を覚えていても当てにならない。
もうひとつ、2026年は少し珍しい年だ。旧暦8月15日の月は「中秋の名月」と呼ばれるが、天文学上の満月は9月27日で、2日ずれる。月をきれいに見たいだけなら、25日の夜より27日のほうが丸い。
ベトナムでは祝日ではない
中国や台湾では中秋節は国の祝日で連休になるが、ベトナムでは公休日に入っていない。会社も学校も普通にあり、店も通常どおり営業する。
旅行者にとっては、これはむしろ好都合だ。テト(旧正月)のように店が一斉に閉まることがないので、旅程を組み替える必要はない。
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2026年は金曜日|旧市街のナイトマーケットと重なる
9月25日は金曜日にあたる。ハノイ旧市街の週末ナイトマーケットは金・土・日の開催なので、中秋節の当日とナイトマーケットが重なる。
ホアンキエム湖の周りも週末は歩行者天国になる。つまりこの日の旧市街は、普段の週末の人出に中秋節の人出が乗る。歩けないほど混むと考えておいたほうがいい。
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中秋節はどんな日?|ベトナムでは「子どもの祭り」
中国では家族が集まって月を愛でる日、というイメージが強い。ベトナムの中秋節は少し性格が違っていて、子どもが主役の日として定着している。ベトナム語で「Tết thiếu nhi(子どもの節句)」と呼ばれることもあるくらいだ。
大人が子どもにランタンやお面を買い与え、夜になると子どもたちが提灯を持って通りに出てくる。企業や学校、マンションの管理組合が子ども向けのイベントを開くのも定番だ。
獅子舞(Múa lân)
中秋節の時期に街で必ず見かけるのが獅子舞だ。太鼓と鐘の音がしたら、たいてい近くでやっている。
店やマンションが縁起担ぎで呼ぶことが多く、決まった会場があるわけではない。夜、旧市街を歩いていると突然出くわす、というのが実際の遭遇の仕方になる。
五果盛り(Mâm ngũ quả)と月見
家庭では果物を盛った皿を用意して供える。テトのときにも登場する習慣だが、中秋節では子ども向けに果物を動物の形に飾り付けることが多い。柚子の実を犬の形にしたものが定番だ。
ハンマー通り(Hàng Mã)|1か月前から街が変わる
ハノイで中秋節を見るなら、行き先は旧市街のハンマー通り一択になる。ドンスアン市場のすぐそば、旧市街の北側を東西に走る短い通りだ。
この通りは季節ごとに扱う商品が丸ごと入れ替わる。普段は冠婚葬祭用品やパーティーグッズを売っているが、中秋節の1か月ほど前から、通りの端から端までが提灯とお面で埋まる。テトの時期は赤一色、ハロウィンが近づけばオレンジ、という具合に姿を変える通りで、1年で最も派手になるのがテトとこの時期だ。
いつ行けばいいか
飾りが出そろうのは本番の3〜4週間前から。2026年でいえば9月上旬にはもう中秋節の通りになっている。
混み具合で選ぶなら、当日より前のほうがいい。9月25日当日の夜は身動きが取れないほど人が入る。写真を撮りたいなら平日の夕方、飾りは揃っていて人はまだ少ない時間帯が狙い目だ。
売っているもの
- 星形ランタン(Đèn ông sao)——中秋節の象徴。セロハンを貼った五芒星で、いちばん小さいサイズなら数万ドン(数百円)から
- 張子のお面(Mặt nạ giấy bồi)——手描きなので一つずつ表情が違う
- 獅子舞の頭(Đầu lân)——子ども用の小さいものから、大人が被る本格的なものまで
- 回り灯籠(Đèn kéo quân)——熱で内側が回転する伝統的な灯籠
- 電池式の光るおもちゃ——実際に子どもに人気なのはこちらだったりする
値段は交渉できる店とできない店がある。旧市街の相場感については別記事にまとめてある。
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ベトナムの月餅(Bánh Trung Thu)|2種類ある
中秋節の食べ物といえば月餅。ベトナムでは8月に入るとスーパーの入口、コーヒーチェーンの店先、路上に、期間限定の月餅屋台が一斉に出る。赤や金の箱が積み上がっているのがそれだ。
日本人は「月餅」とひとくくりにしがちだが、ベトナムには大きく2種類ある。
バインヌーン(焼き)とバインゼオ(もち)
- Bánh nướng(バインヌーン)——オーブンで焼いた茶色い月餅。日本人が想像する月餅はこちら
- Bánh dẻo(バインゼオ)——焼かずに作る白い月餅。もち米粉の生地で、求肥に近い食感。冷やして食べる
贈答用の箱には、この2種類が組み合わせて入っていることが多い。白いほうは日本ではまず見かけないので、試すならこちらをすすめたい。
具は「タップカム」が定番
中身で最も伝統的なのがThập cẩm(タップカム=五仁)。蓮の実、ゴマ、カボチャの種、干し肉、そしてベトナムハム(チャールア)まで入る。甘いものだと思って口に入れると、しょっぱい肉の味がしてくる。好き嫌いがはっきり分かれる味だ。
甘い系なら、蓮の実あん(hạt sen)、緑豆あん(đậu xanh)、抹茶あたりが無難。塩漬け卵黄(trứng muối)が入ったものは、断面に黄色い満月が出てくる仕掛けになっている。近年は抹茶、チーズ、コーヒー、アボカドといった新しい味も増えている。
値段の目安と買う場所
バラ売りなら1個50,000〜100,000VND(約300〜600円)前後が中心。卵黄が2個入るような大きいものはもう少し上がる。
贈答用の箱入りは幅が広い。スーパーで買える4個入りの箱で300,000〜800,000VND(約1,800〜4,800円)くらい、高級ホテルが出すブランド月餅になると桁がひとつ変わる。ベトナムでは中秋節が取引先や上司への贈り物のシーズンでもあるので、この価格帯が成立している。
旅行者が買うなら、スーパーの特設コーナーがいちばん分かりやすい。ただし月餅は日持ちしない。保存料の少ないものは製造から1〜2か月が目安で、開封後は数日。お土産にするなら賞味期限を箱の側面で確認しておきたい。
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旅行中に中秋節に当たったら
当日の夜は旧市街に集中する
ハノイの人出はハンマー通りとホアンキエム湖周辺に集まる。19時を過ぎると、通りによっては人の流れに乗って進むしかなくなる。
Grabのバイクも車も、旧市街の中までは入ってこられない時間帯が出てくる。湖の南側や大聖堂のあたりまで歩いて出てから配車したほうが早い。
子ども連れなら当日がいい
逆に、小さい子どもと一緒なら本番当日の価値は高い。ランタンを持った子どもが通りにあふれる光景は、この日にしか見られない。夕方の早い時間、18時から19時くらいなら、まだ歩ける。
よくある質問
中秋節はベトナムの祝日ですか?
公休日ではありません。会社も学校も通常どおりで、店も開いています。旅程への影響はほとんどありません。
中秋節の飾りはいつからいつまで見られますか?
本番の3〜4週間前から当日まで。2026年なら9月上旬から25日までが目安です。翌日にはハロウィン用品に切り替わり始めます。
月餅は日本に持ち帰れますか?
肉入りの具(タップカムなど)は畜産物の持ち込み規制にかかる可能性があります。持ち帰るなら、蓮の実あんや緑豆あんなど植物性の具のものを選ぶほうが確実です。
ホーチミンでも同じように見られますか?
見られます。ホーチミンでは5区(チョロン地区)のルオンニューホック通りが提灯街として知られていて、ハノイのハンマー通りと同じ役割を果たしています。
2027年の中秋節はいつですか?
2027年は9月15日(水)です。旧暦8月15日は毎年同じですが、新暦に直すと9月上旬から10月上旬のあいだで動きます。
まとめ|本番より、その手前の1か月
中秋節は9月25日の1日だけの行事に見えるが、ハノイの街としては9月まるごとが中秋節だ。飾りは1か月前から出そろい、月餅は8月から売り始める。
旅行の日程が本番と重ならなくても、9月にハノイにいるならハンマー通りには寄る価値がある。そして当日に当たってしまったなら、混雑を覚悟したうえで、夕方の早い時間に旧市街へ出るのがいい。