ベトナムコーヒーは、日本のコーヒーと同じ感覚で淹れると薄くなる。粉と湯をどれだけ使うかは、粉の袋の裏に書いてある。
ハイランズコーヒーの粉を、フィン(ベトナムの金属のドリッパー)で袋の手順どおりに淹れた。
ベトナムコーヒーの入れ方|袋に書かれた分量は粉20g・湯70ml
ハイランズコーヒーのフィン用の粉「Truyền Thống(伝統)」は、袋の裏に淹れ方が3行で書かれている。
- フィンに粉を20g入れる(袋の表記では「スプーン約3杯」)
- 90〜96℃の湯を30ml注いで約2分待ち、さらに湯を40ml注ぐ
- 好みで練乳か砂糖、氷を入れる

湯は合わせて70ml。日本のマグカップ1杯(140〜180ml)の半分以下だ。一方で粉の20gは、日本でドリップするときの1杯(10g前後)の約2倍ある。
粉は多く、湯は少なく。濃く出したコーヒーを、練乳や氷で割って飲む前提の分量になっている。
ほかのメーカーの袋や箱も、湯の量はほとんど変わらない。
| 商品 | 使う量 | 湯 | 袋・箱に書かれた手順 |
|---|---|---|---|
| ハイランズ Truyền Thống(フィン用の粉) | 粉20g | 70ml | 90〜96℃の湯30mlを注いで約2分待ち、40ml足す |
| チュングエン Sáng Tạo(フィン用の粉) | 粉 約20g | 約65ml | 96〜100℃の湯20mlが粉に染み込むのを待ち、45mlほど足す |
| G7 3in1(インスタント・ホット) | 1袋(16g) | 75ml | 80〜100℃の湯に溶かす |
| G7 3in1(インスタント・アイス) | 2袋(32g) | 75ml | 湯に溶かしてから、氷を約100g入れる |
今回確認したハイランズとチュングエンの商品では、指定される湯量は65〜75mlだった。日本のマグにお湯をいっぱいに注いで作ると、指定の2倍前後に薄まる。
用意する器具と材料|フィン(ドリッパー)・粉・練乳

用意するのは、器具のフィンと、フィン用の粉、練乳、耐熱のグラスかカップ、湯の5つ。粉を量るはかりと、湯を量る計量カップがあると、袋の分量どおりに淹れられる。
フィンはベトナムの1杯用ドリッパー(フィルター)
フィン(phin)は、コーヒーを1杯ずつ淹れる金属のドリッパーだ。紙のフィルターは使わず、底に開いた小さな穴からコーヒーが落ちる。
- 本体:粉を入れる筒。底に小さな穴が並んでいて、下の受け皿をグラスの口に載せて使う
- 中ぶた:粉の上に載せて押さえる、穴の開いた板
- 上ぶた:湯を注いだあとにかぶせるふた。淹れ終わったら裏返して、外したフィンを置く皿にできる
今回使ったのは、タイニン省のInox Thành Phát製のステンレスのフィンで、本体に「07cm」のシールが貼られていた。ベトナムではステンレス製が20,000〜50,000ドン(約120〜300円)で買える。ハイランズコーヒーでは、Truyền Thống 500gとフィンを1箱にしたギフトボックスも売っている。
粉は袋に「Phin」と書かれたものを選ぶ

フィンで淹れる粉は、袋の表に「Phin」と書かれている。今回使ったハイランズコーヒーのTruyền Thốngも、商品名の下に小さく「Phin」とある。
200g入りで、袋の表示では1杯20gの10杯ぶん。ハイランズコーヒーの店頭では105,000ドン(約630円)、スーパーの棚では98,400ドン(約590円)の値札が付いていた(2026年8月)。1杯あたり60円前後になる。
原材料はコーヒー97%(ロブスタとアラビカ)で、残りはバター代わりの油脂、香料、塩。ハイランズの豆の種類と値段はハイランズコーヒーの記事にまとめている。
練乳は1杯ぶんのカップ入りが使いやすい

ベトナムの練乳には、1杯ぶんずつカップに入ったものがある。写真はビナミルクの「Ông Thọ(オントー)」で、1個40g。6個がつながったパックで売られている。
ふたの表示では、原材料の47.2%が砂糖。中身の半分近くが砂糖だ。100gあたりの表示を1個40gに直すと、約136kcal、糖類は約21.7gになる。ふたには「開けたらすぐに使う」とも書かれている。

同じÔng Thọには380gの缶もあり、スーパーのFujiMartでは31,000ドン(約190円)だった(2026年9月)。中身の表示はカップと同じで、缶のラベルには、開けたらふたをして冷蔵庫に入れ、7日以内に使い切るよう書かれている。
日本で淹れるなら、スーパーの加糖練乳(コンデンスミルク)で代わりになる。
フィン(ドリッパー)の使い方|袋の分量で淹れる手順
袋の手順どおりに、Truyền Thốngをフィンで淹れた。湯は、袋の指定では90〜96℃。
粉20gを量って本体に入れる

粉を20g量って本体に入れ、軽く揺すって表面を平らにする。袋の「スプーン約3杯」はスプーンの大きさで変わるので、はかりがあるなら量ったほうが確実だ。
中ぶたを載せて、粉を軽く押さえる
中ぶたを粉の上に載せ、軽く押さえる。今回のフィンは、本体の真ん中に中ぶたを留める軸が立っていた。押さえる強さで落ちる速さが変わるので、下の「うまく落ちないとき」もあわせて見てほしい。
グラスに載せ、湯30mlを注いで約2分待つ(蒸らし)

本体をグラスの口に載せ、湯を30ml注ぐ。粉が湯を吸ってふくらむ。少しの湯で粉全体を湿らせてから待つことを「蒸らし」という。袋の指定は約2分。
その間にも、コーヒーは少しずつ落ちてくる。粉を入れてから1分56秒後の写真で、グラスの底にもうコーヒーがたまり始めていた。
湯40mlを足して、上ぶたをかぶせて待つ

2分たったら湯を40ml足し、上ぶたをかぶせる。コーヒーは底の穴から少しずつ落ちてくる。
落ち切ったらフィンを外す

落ちなくなったらフィンを外し、裏返した上ぶたの上に置く。
粉を入れてから、フィンを外して練乳を注ぐまで、写真の撮影時刻で6分53秒だった。袋の約2分の待ち時間を含めて、7分ほどみておけばいい。
練乳を注いで、よく混ぜる

袋の手順の3番目は「好みで練乳か砂糖、氷を入れる」。淹れ終わったコーヒーに練乳を注ぎ、スプーンでよく混ぜる。

練乳は底に沈みやすいので、底からしっかり混ぜる。混ぜれば、ホットの練乳コーヒー(cà phê sữa nóng=カフェ・スア・ノン)になる。
練乳の量は好みで決める。Ông Thọのカップ1個(40g)で糖類は約21.7g、半分の20gなら約10.8g。半分から入れて、味を見て足すと甘くなりすぎない。
ベトナムのカフェでは、先に練乳を入れたグラスにフィンを載せて出てくることもある。
うまく落ちないとき|中ぶたの押さえ方で時間が変わる
落ちる速さは、中ぶたの押さえ方で変わる。
なかなか落ちない
中ぶたで粉を強く押し固めると、湯が粉のすき間を通りにくくなる。中ぶたを少しゆるめるか、次からは粉の上に載せて軽く押さえる程度にする。
一気に落ちて薄い・粉が浮く
押さえが弱いと、湯が粉のすき間をすぐに通り抜ける。粉を平らにならしてから、中ぶたで押さえ直す。
アイス(カフェ・スア・ダー)の作り方|練乳を混ぜてから氷を入れる

練乳入りのアイスコーヒーは、ベトナム語でcà phê sữa đá(カフェ・スア・ダー)という。淹れ方はホットと同じで、練乳を混ぜてから氷を入れる。今回は、ホットで混ぜたグラスに、そのまま氷を足した。
氷を入れる前に、熱いうちに練乳とよく混ぜておく。冷えると練乳が溶けにくい。
塩コーヒー・エッグコーヒーの土台にもなる
この淹れ方で作った濃いコーヒーに、塩を入れて泡立てたクリームをのせれば塩コーヒー、卵黄と砂糖と練乳を泡立てたクリームをのせればエッグコーヒーになる。
練乳なしで飲むなら|ブラック(カフェ・デン)か砂糖
練乳を入れないブラックはcà phê đen(カフェ・デン)、アイスならcà phê đen đá(カフェ・デン・ダー)という。
袋の手順にも「練乳か砂糖」とあるので、甘さだけ足したいなら砂糖でいい。
ブラックで濃すぎるときは、落ち切ったあとに湯を足して好みの濃さにする。
フィンがないとき|ペーパーフィルターや普通のドリッパーで淹れる
フィンがなくても、日本の紙のフィルターとドリッパーで淹れられる。100円ショップのドリッパーでもいい。分量はフィンと同じ粉20g・湯70mlにして、最初に30mlを注いで待ち、残りの40mlを足す。
紙のドリッパーには、粉を押さえる中ぶたがない。湯は一度に注がず、少しずつ注ぐ。
ベトナムには、紙のフィルターに粉が入った1杯用のドリップバッグもある。箱には「cà phê phin giấy(紙のフィン)」と書かれている。フィンを持っていない人に渡すなら、こちらが手軽だ。
インスタント(G7)の入れ方|湯は75ml、アイスは2袋

お土産の定番のG7 3in1は、砂糖とクリームが入ったインスタントで、湯に溶かすだけで飲める。箱の側面に、飲み方がこう書かれている。
- ホット:1袋(16g)を80〜100℃の湯75mlに溶かし、よく混ぜる
- アイス:2袋を80〜100℃の湯75mlに溶かし、よく混ぜてから氷を約100g入れる
アイスは氷で薄まる前提で、同じ湯の量に2袋を溶かす。
1袋16gのうち糖類は9.1gで、半分以上が砂糖だ。箱には「挽いたコーヒーの粉がカップの底に沈むことがあるが、そのまま飲んで問題ない」とも書かれている。原材料に、挽いた焙煎コーヒーが0.5%入っている。
甘くないインスタントや、ほかのメーカーの砂糖の量はこちらで比べている。
苦い・まずいと感じたら
ベトナムのコーヒーは、苦みの強いロブスタが中心だ。袋の分量も、練乳や砂糖を入れる前提の濃さになっている。
- 薄くて水っぽい:湯が多い。湯を70mlに戻す
- 苦すぎる:練乳か砂糖を足す。ブラックで飲むなら、落ち切ったあとに湯で割る
- 香りが日本のコーヒーと違う:袋の原材料を見る。Truyền Thốngはコーヒー97%で、残りはバター代わりの油脂・香料・塩。チュングエンのSáng Tạoはコーヒーが80〜82%で、大豆や黒糖液なども入っている
ロブスタとアラビカの苦みやカフェインの違いは、ベトナムコーヒーの記事で紹介している。
カロリーと甘さ|練乳1カップで糖類21.7g
袋・箱・ふたの表示から、1杯に使う量ごとのカロリーと糖類を出した。
| 使うもの | 量 | カロリー | 糖類 |
|---|---|---|---|
| ハイランズの粉(粉そのものの表示) | 20g | 68kcal | 0g |
| 練乳 Ông Thọ | 1カップ40g | 約136kcal | 約21.7g |
| G7 3in1(ホット) | 1袋16g | 73kcal | 9.1g |
| G7 3in1(アイス) | 2袋32g | 146kcal | 18.2g |
粉の68kcalは粉20gそのものの数字で、淹れたコーヒーに全部が溶け出すわけではない。仮に全部が入ったとしても、練乳1カップの半分だ。練乳コーヒーのカロリーと甘さは、ほぼ練乳の量で決まる。
練乳1カップの糖類21.7gは、角砂糖(1個約3g)に直すと約7個ぶん。甘さを抑えたいなら、練乳を減らすのがいちばん効く。
カフェインは粉20gに200mg以上
ハイランズの袋のカフェインの表示は「1%以上」。粉20gなら、200mg以上のカフェインが粉に入っている計算になる。G7 3in1の表示は「0.25%以上」で、1袋16gなら40mg以上だ。どちらも下限の表示なので上は分からないが、粉から淹れるほうが濃くなる。すべてがコーヒーに溶け出すわけではないとはいえ、夜に飲むなら頭に入れておきたい。
よくある質問
ベトナムコーヒーに練乳を入れるのはなぜ?
ロブスタの強い苦みを、練乳の甘さでやわらげるため。暑いベトナムでは牛乳の保存が難しく、日持ちする練乳が使われてきた。
粉と湯の量は?
ハイランズの袋の指定は、粉20gに湯70ml。30ml注いで約2分待ち、40ml足す。チュングエンのSáng Tạoも、粉約20gに湯65mlほどだ。
フィンで落ち切るまで何分かかる?
粉を入れてから、フィンを外して練乳を注ぐまで約7分だった(写真の撮影時刻で6分53秒)。袋の約2分の待ち時間を含む。
練乳はどれくらい入れる?
Ông Thọのカップ1個(40g)で糖類は約21.7g、半分の20gなら約10.8g。半分から入れて、味を見て足す。
普通のドリッパーやペーパーフィルターで淹れられる?
淹れられる。粉20g・湯70mlのまま、湯を少しずつ注ぐ。
インスタント(3in1)の入れ方は?
G7 3in1なら1袋を湯75mlに溶かす。アイスは2袋を湯75mlに溶かし、氷を約100g入れる。
普通のコーヒーと何が違う?
苦みの強いロブスタを主に使い、フィンで少ない湯を使って濃く出し、練乳を入れて飲む。
まとめ|袋の裏の分量で、湯を増やさずに淹れる
ベトナムコーヒーの分量は、粉の袋の裏に書いてある。ハイランズの粉なら20gに湯70ml。30ml注いで約2分待ち、40ml足せば、7分ほどで飲める。
日本のマグの感覚で湯を増やさないこと。これを守れば、袋の手順どおりの1杯になる。練乳は淹れ終わってから、味を見ながら足せばいい。
豆の種類やカフェでの頼み方、お土産の選び方はこちらで紹介している。