ホーチミン日本人街レタントン通りの歩き方【2026年版】|地図・グルメ・ホテル・治安

2026.06.17
旅・ガイド

ホーチミンの日本人街として知られるのが、1区のレタントン通りとタイバンルン通り周辺だ。日本食レストランや居酒屋、ホテル、マッサージ店が数百メートルの範囲に集まり、昼と夜で街の雰囲気が大きく変わる。

日本語の看板やメニューが多く、初めて歩いてもすぐに日本人街だと気づく。一方、夜は細い路地「ヘム」に提灯とネオンが灯り、昼のオフィス街とは別の顔を見せる。

場所|レタントン通りとタイバンルン通りが交差する一帯。市民劇場(オペラハウス)から徒歩約5分。Grabなら「Saigon Sky Garden」を目的地にすると中心部へ行きやすい。Googleマップで開く

ホーチミン全体の歩き方はホーチミン観光ガイドを参考にしてほしい。

目次

ホーチミンの日本人街「レタントン」とは|どこからどこまでか

昼のレタントン日本人街、タイバンルン8Aの入口ゲート「KHU PHỐ VĂN HÓA(文化街区)」と赤い案内板

レタントン通り(Lê Thánh Tôn)は、ホーチミン1区を東西に横断する全長約2.3kmの通り。ベンタイン市場の北側からサイゴン川方向に伸びていて、その中間部分——タイバンルン通り(Thái Văn Lung)との交差点を中心とした一帯が、「日本人街」として知られている。

通り全体が日本人街というわけではない。実際に日系飲食店が密集しているのは、レタントン通りのうち数百メートルの区画と、そこから直角に伸びるタイバンルン通りのあたり。この限定されたエリアに、居酒屋、ラーメン店、焼き鳥、寿司、とんかつ、おでん、カフェ、マッサージ店が軒を連ねている。日本人向けレジデンスのサイゴンスカイガーデンやランカスターもこの区画にあり、タクシーで「サイゴンスカイガーデン」と告げれば、この名前で日本人街の中心まで伝わる。

番地で見ると範囲がはっきりする。店が集まっているのは、レタントン通りの8番地から26番地あたりと、そこから南に伸びるタイバンルン通りの8A番地周辺。ラーメンの一風堂が17/5、ITTOUが8/8、一番軒が8A1、ツバメヤが26B。居酒屋の多くはタイバンルン通りの8A/A7、8A/A14、8A/A20といった枝番に並んでいる。スラッシュの入った番地は路地(ヘム)の中を指すことが多く、本通りを歩いているだけでは見えない場所に店がある。

なぜここが日本人街になったのか

レタントンが日本人街として育ってきた背景には、1990年代以降の日本企業のベトナム進出がある。日系企業の駐在員向けの住居や日本食店がこの周辺に集まり、1990年代後半から2000年代にかけて「リトルトーキョー」と呼ばれる日本人街として発展してきた。

近年は日本食ブーム自体がベトナム人の間で広がっていて、昼のランチタイムは日本人よりもベトナム人の客の方が多い店も珍しくない。日本食は今やこの街の観光資源でもある。

レタントンへの行き方|地図・メトロ・徒歩・Grab

ドンコイ通りや市民劇場など、1区中心部の主要スポットから徒歩でアクセスしやすい。日本人街の中心を地図で見るなら、Googleマップで「Saigon Sky Garden」を目印にすると分かりやすい。Googleマップで開く。

  • ベンタイン市場から|徒歩約10〜15分、約1km(市場の北門=レタントン側)
  • サイゴン大教会・中央郵便局から|徒歩約10分
  • ドンコイ通りから|徒歩約5〜10分
  • 市民劇場(オペラハウス)から|徒歩約5分
  • 統一会堂から|徒歩約15分

Grabで来る場合も、目印は「サイゴンスカイガーデン」。目的地に設定すると、日本人街の中心付近へ行きやすい。

メトロ1号線の駅からはまだ少し距離がある。最寄りはベンタイン駅または市民劇場駅で、そこから徒歩5〜10分。メトロでタオディエンから戻ってきて、そのままレタントンで夕食、という動線は現実的に成立する。メトロの使い方はホーチミン・メトロの記事にまとめている。レタントンを旅の動線にどう組み込むかは、ホーチミン観光モデルコースの記事も参考になる。

日本人街の歩き方|昼と夜で顔が変わる街

レタントンを歩くなら、昼と夜で目立つ店が入れ替わることを知っておきたい。昼はオフィス街と日本食ランチの顔が強く、夜は居酒屋やヘム(路地裏)の灯りが目立つ。

昼のレタントン|オフィス街とランチの行列

並木が続く昼のレタントン通り(本通り)、車とバイクが行き交うオフィス街

平日の昼12時前後のレタントンは、ホーチミン有数のオフィスランチ激戦区だ。周辺の日系企業で働くベトナム人スタッフと日本人駐在員が、日本食の店に列を作る。ラーメン店の前には並びが発生し、定食屋ではベトナム人客が日本語のメニューを指差しながら注文している。

特にラーメンの密度が高く、1区のレタントン一帯は「ホーチミンのラーメン激戦区」と呼ばれている。博多系、家系、つけ麺、二郎系まで、日本の主要なラーメンジャンルがひととおり揃っている。日本の有名チェーンもあれば、現地の日本人オーナーが個人で経営する専門店もあり、日本で食べるのとほぼ同じクオリティが成立しているのがこの街の凄さだ。

昼のレタントンはオフィス街・ランチ街として人通りが多い。家族連れや女性一人でも歩きやすい時間帯だが、スマホや財布など基本的な防犯は意識しておきたい。

夜のレタントン|提灯とネオンとヘム(路地裏)

焼肉店や日本料理店の灯りがともる夜のレタントン通り

日が落ちると、レタントンは別の顔を見せる。18時を過ぎるあたりから、居酒屋と酒場の提灯が灯り、焼き鳥の炭火の匂いが路地に流れ、ビジネスマンがネクタイを緩めながら集まってくる。19時以降のタイバンルン通りは、日本の新橋や神田の仕事帰りの雑踏とほぼ同じ光景になる。レタントン酒場と呼ばれるジャンルが根付いているのもこの街の特徴だ。

18時以降は、路地裏(ヘム)の店も目立ち始める。「ヘム(Hẻm)」はベトナム語で「路地」を意味し、レタントン通りやタイバンルン通りから一本中に入った細い路地を指す。レタントンの夜らしさが濃く出る場所のひとつで、歩き方と注意点は後半で詳しく紹介する。

レタントンのグルメ・食事|昼はラーメンと定食、夜は居酒屋

「居酒屋」と書かれた赤提灯が下がるレタントンの日本食店

この街の食は時間で分かれている。昼に開いているのはラーメンと定食・寿司の店。焼き鳥の店が開くのは夕方5時前後からで、同じ通りでも時間で顔ぶれが入れ替わる。まず何があるのかを見ておく。

レタントンの食の特徴を一言で言うと、「日本の専門店が1区画にまとまっている」。具体的に何があるかというと:

  • ラーメン|博多系、家系、つけ麺、二郎系、味噌、塩——日本の主要ジャンルはほぼ揃う。激戦区
  • 焼き鳥・居酒屋|炭火焼きの専門店から、カウンターだけの小さな店まで
  • 寿司・刺身|日本から食材を輸入している高級店が複数
  • とんかつ・そば・うどん|それぞれ専門店がある
  • おでん・焼肉・お好み焼き・たこ焼き|日本の家庭料理系の専門店も
  • カフェ・パン屋|日本式のベーカリーや喫茶店もある

ホーチミンで日本食を探すなら、レタントンは店をまとめて比較しやすいエリアだ。店を決めるときはGoogleマップで直近の営業時間と口コミを確認し、目的の店へ直接向かうと迷わない。エリア別・タイプ別にホーチミンの食を見渡すならホーチミングルメ完全ガイドも参考になる。

ラーメン|通しで開いている店が多い

ラーメン店はレタントン通り沿いに固まっていて、昼に確実に食べられるのがこのジャンルだ。

  • 一風堂(17/5 Lê Thánh Tôn)|博多豚骨。11時から24時まで通し営業、年中無休
  • 一番軒(8A1 Lê Thánh Tôn)|豚骨。11時から翌1時30分(木・金は翌2時30分)まで
  • ITTOU(8/8 Lê Thánh Tôn)|つけ麺とまぜそば。11時から22時まで
  • ツバメヤ(26B Lê Thánh Tôn)|平日は17時30分から。土日だけ11時30分から開く

ツバメヤ以外は中休みを取らない。観光の合間、14時から17時のような中途半端な時間に食事をしたいときは、この時間帯でも開いているラーメン店が現実的な選択肢になる。

居酒屋・焼き鳥・定食|焼き鳥は夕方から、寿司や定食は昼も開く

焼き鳥の専門店は夕方5時前後に開いて、そこから深夜まで営業する。一方で、寿司や定食を出す店には昼のランチから開けているところもある。

  • かむら(8A/A14 Thái Văn Lung)|寿司と天ぷら。11時から24時(水〜土は翌2時)で、この一帯の居酒屋では珍しく昼から開いている
  • 松木(8A/A20 Thái Văn Lung)|焼き鳥と刺身。17時から翌1時30分まで
  • 鳥匠(8A/11B1 Thái Văn Lung)|焼き鳥。17時から24時まで。日曜定休
  • 岐阜屋(8A/A7 Thái Văn Lung)|定食ととんかつ。11時30分〜14時と17時〜23時の2部制。日曜定休
  • Rikyu(15A/12B Lê Thánh Tôn)|寿司。11時〜14時と17時〜22時の2部制

岐阜屋やRikyuのように、ランチ営業のあとに中休みを挟んで夕方から再開する店もある。日曜に休むのは、ここに挙げた中では岐阜屋と鳥匠の2軒だ。

ベトナム料理は食べられるのか

レタントン一帯にもローカルのベトナム料理店はある。フォーの店、バインミーの売店、ブンチャーの食堂、ベトナムコーヒーのカフェなどが、日本食店の間に点在している。日本食が続いた翌朝に近所でフォーを食べる、といった使い方もできる。フォーやバインミーなどベトナム料理の全体像はベトナムの食べ物ガイドを参照してほしい。

日本人街でブンチャーが食べられる店「ブンチャーハノイ26(Bún Chả Hà Nội 26)」

そのベトナム料理のひとつが、8Aタイバンルンの路地にある「ブンチャーハノイ26(Bún Chả Hà Nội 26)」。ホーチミン歌劇場のすぐそば、住所は 8A/9C2 Thái Văn Lung だ。店名に「ハノイ(Hà Nội)」と入っているが場所はホーチミンで、これはハノイ名物のブンチャーを南部で出しているという意味の屋号。名前につられて「ハノイの店」だと思うと混乱するので念のため。Googleのクチコミは1,100件超で評価4.3と、数字の上では安定した人気店だ。

ブンチャーがどんな料理か(歴史・食べ方・本場ハノイのおすすめ店)は専用記事にまとめている。

いくらかかるか|レタントンの予算のめやす

日本人街で食事やマッサージにいくらかかるのか、通りの店で確認できた金額を並べておく。ここに挙げた店はいずれも表示価格が税別で、会計時にVAT(付加価値税、8%)が加算される。円は1万ドン=約60円で換算した。

昼|ラーメン1杯12万〜16万ドン、定食14万〜20万ドン

一風堂(17/5 Lê Thánh Tôn)のメニューでは、白丸124,000ドン(約750円)、赤丸134,000ドン(約800円)、からか159,000ドン(約950円)。替玉が20,000ドン(約120円)、味玉が22,000ドン(約130円)、餃子5個で79,000ドン(約470円)なので、1杯にトッピングを足して15万ドン前後という組み立てになる。

定食を出す岐阜屋(8A/A7 Thái Văn Lung)は、鶏もも唐揚定食140,000ドン(約840円)、豚ヒレカツ定食150,000ドン(約900円)、まぐろ丼定食170,000ドン(約1,020円)あたりが中心。ランチ限定の穴子天丼定食が200,000ドン(約1,200円)、五種刺身定食が250,000ドン(約1,500円)で、この店はご飯の大盛りとおかわり、赤だしのおかわりが無料と表示されている。

  • ラーメン|1杯120,000〜160,000ドン前後(約720〜960円)。替玉20,000ドン、餃子79,000ドン
  • 定食|140,000〜200,000ドン前後(約840〜1,200円)。ランチ限定メニューを置く店もある
  • 串かつ|1本35,000ドン(約210円)から。岐阜屋の名物味噌串かつ

夜|1人30万ドン前後から

かむら(8A/A14 Thái Văn Lung)は握りが1貫29,000ドン(約170円)からで、サーモン39,000ドン(約230円)、ホタテと鰻が59,000ドン(約350円)、中トロ129,000ドン(約770円)、大トロ139,000ドン(約830円)。丼は鉄火丼・漬け丼とも並119,000ドン(約710円)、大盛170,000ドン(約1,020円)、特盛220,000ドン(約1,320円)という段階になっている。本日のおまかせは寿司五貫139,000ドン、十貫219,000ドン(約1,310円)。

刺身なら松木(8A/A20 Thái Văn Lung)で、スズキ125,000ドン(約750円)、マグロ145,000ドン(約870円)、サーモン155,000ドン(約930円)、刺身5種盛りが269,000ドン(約1,610円)。

飲み物は店によって幅がある。生ビールが60,000〜69,000ドン(約360〜410円)、サワーは種類を問わず69,000ドンという店もあれば、ハイボールが90,000〜120,000ドン(約540〜720円)、日本酒の獺祭が180mlで650,000ドン(約3,900円)という価格帯まで並ぶ。

  • 握り|1貫29,000ドン(約170円)から。中トロ・大トロで130,000ドン前後(約780円)
  • 刺身|単品119,000〜169,000ドン(約710〜1,010円)、5種盛り269,000ドン(約1,610円)
  • 生ビール|60,000〜69,000ドン(約360〜410円)。サワー69,000ドン
  • 目安|軽くつまんでビールを2杯でも1人30万ドン前後(約1,800円)。刺身の盛り合わせや握りをしっかり頼むと50万ドン前後(約3,000円)

マッサージと風呂|フット30分15万ドンから

レタントン通りに面したYuan Spa(15B5 Lê Thánh Tôn)は、店頭に料金表を出している。フットマッサージが30分150,000ドン(約900円)、40分200,000ドン(約1,200円)、60分300,000ドン(約1,800円)。ボディは60分390,000ドン(約2,340円)、指圧とタイ古式が60分400,000ドン(約2,400円)。耳かきが30分200,000ドンという項目もある。営業は朝8時30分から深夜2時まで、年中無休と表示されている(料金は2025年時点の店頭表示)。

日系ホテルの東屋タイバンルン1号店(8A/7D1 Thái Văn Lung)は、公式サイトの表示でフット40分300,000ドン(約1,800円)、全身70分350,000ドン(約2,100円)、100分500,000ドン(約3,000円)。宿泊者は10%引きになる。受付は10時から23時まで、最終受付が22時45分。

同じ東屋では露天風呂とサウナを宿泊者以外も使える。タイバンルン1号店が250,000ドン(約1,500円)、2号店とレタントン店が200,000ドン(約1,200円)という料金だ。

  • 街のマッサージ店|フット30分150,000ドン(約900円)、ボディ60分390,000ドン前後(約2,340円)
  • 日系ホテルのマッサージ|全身70分350,000ドン前後(約2,100円)
  • 露天風呂とサウナ|200,000〜250,000ドン(約1,200〜1,500円)

いずれも通りを歩いて確認できた範囲の金額で、店側の都合で変わることがある。

レタントンのホテル|日本人街の代表格・東屋

日本人街レタントンの日系ビジネスホテル「東屋(Azumaya)」の入口

「日本食と日本人コミュニティの空気の中に泊まりたい」なら、レタントン周辺のホテルは便利だ。観光名所が集まるドンコイ通り側に比べると名所からは少し歩くが、日本語が通じて、和食の朝ごはんが食べられて、夜は徒歩圏で居酒屋に行けるという安心感がある。

このエリアで名前がよく挙がるのが、日系ビジネスホテルの東屋(Azumaya)。タイバンルン通りやレタントン通りに複数の店舗(タイバンルン1号店・2号店、レタントン店など)を構えていて、屋上の露天風呂(温泉ではない)、和朝食ビュッフェ、日本語対応、フットマッサージ併設が共通の特徴。日本のビジネスホテルの感覚にいちばん近い宿だ。

  • 立地|日本人街のど真ん中。コンビニ・居酒屋・日本食が徒歩圏
  • 客室|日本式のシングル〜。店舗や部屋タイプで設備差があるので、料金だけでなく窓の有無なども確認したい
  • 料金|中級ビジネスホテル帯。時期・部屋で変動するので、予約サイトで最新の料金を確認するのが確実

東屋以外にも、レタントン周辺には日本人向けの中級ホテルやサービスアパートメントが点在している。一方で、観光名所を効率よく回りたいなら、ドンコイ通りやグエンフエ通り周辺のホテルの方がアクセスは良い。ドンコイ通りの記事でホテル選びを比較しているので、自分の旅の目的に合わせて選んでほしい。料金の相場感はホーチミンの物価ガイドも参考になる。

レタントンのマッサージ|アオザイマッサージと「健全店」の選び方

レタントンの「まじめなマッサージ」を掲げるマッサージ店の看板

レタントン一帯は、日本食と並んでマッサージ店が多いエリアでもある。日本語表記の看板や料金表を出している店もあり、食事や買い物と合わせて利用しやすい。

このエリアのマッサージで知っておきたいのが、「アオザイマッサージ」と呼ばれるスタイル。セラピストがベトナムの民族衣装アオザイを着て施術するのが特徴で、レタントン周辺の日系マッサージ店の定番になっている。アオザイそのものの背景はアオザイ完全ガイドで詳しく扱っている。

宿泊しなくても使える「東屋マッサージ」

日本人街で料金が公式に出ているマッサージが、日系ビジネスホテル東屋(Azumaya)が併設しているマッサージだ。宿泊客でなくても利用でき、フットマッサージや全身のボディマッサージを日本語が通じる環境で受けられる。料金が明朗で、初めてでも入りやすいのが利点。露天風呂とセットで使える店舗もある(東屋ホテルについては上で紹介した)。

料金と店の内容を事前に確認する

レタントン周辺のマッサージ店は、店によってサービス内容や料金体系が異なる。在ホーチミン日本国総領事館も、レタントン通り付近のマッサージ店を利用する際は、路上の客引きに応じず、事前に店舗情報を調べるよう注意喚起している。Googleマップで料金と直近の口コミを確認し、目的の店へ直接向かうのが基本だ。

判断材料は路上にもある。レタントン通り沿いのYuan Spa(15B5 Lê Thánh Tôn)のように、店頭に料金表の看板を掲げている店があり、施術の種類と分数ごとの金額が通りから読める。看板に「Traditional」「まじめなマッサージ」と日本語・韓国語・中国語で併記されているのも、どういう店かを店側が先に示している例だ。マッサージの種類・相場・健全店の選び方の全体像はホーチミンのマッサージ完全ガイドにまとめている。

レタントンのヘム(路地裏)|夜の雰囲気と歩き方

レタントン一帯のヘムに入ると、世界が突然、細く狭く、カオスに変わる。

幅2メートルほどの路地の両脇に、居酒屋、カウンターバー、カラオケラウンジ、ガールズバー、マッサージ店、スナック、看板のない店——これらがびっしり並んでいる。日本語の看板が多い。日本語で話しかけてくる店員がいる。呼び込みの女性が「オニイサン、日本人?安くしとくよ」と声をかけてくる。

ヘムの代表格「8Aタイバンルン」

赤提灯が連なる夜のタイバンルン8Aのヘム(路地裏)、日本食店が並ぶ

ヘムの中でも特に有名なのが、タイバンルン通り8A番地の路地。この区画だけで数十軒の日系店舗が軒を連ねている。焼き鳥屋の隣にカラオケラウンジがあり、その向かいが高級寿司店、さらに奥にマッサージ店——という密度の濃さは、日本の都市でもあまり見ない。観光として歩く分にはとにかく面白い。写真を撮りたくなる。

ヘムを歩く時の心構え

ヘムは観光散歩の対象としては魅力的な場所だが、夜の客引きと店選びには注意が必要。

  • 路上の客引きについていかない|店名と料金を事前に確認して、目的の店へ直接向かう
  • クレジットカードを店員に渡さない|目の前で決済してもらう
  • 会計前にメニューと価格を必ず確認する|「おまかせ」「時価」は要警戒
  • 深夜の一人歩きは避ける|特に女性
  • 路上のトラブルに関わらない|見物人になろうとしない

ヘムには焼き鳥、そば、寿司などの飲食店も多く、目的の店を決めて歩けばレタントンらしい夜の雰囲気を楽しめる。一方、客引き経由で店に入ると料金体系を事前に確認しにくい場合がある。店名・場所・料金を確認してから向かうだけでも、店選びで迷いにくくなる。

レタントン通りの治安と注意点

夜のレタントン・タイバンルン通りの人通り(スリに注意したい時間帯)

日本人街だから日本と同じ感覚で歩ける、とは考えない方がいい。レタントン通り付近では、在ホーチミン日本国総領事館が、「日本円を見せてほしい」という不審な声かけについて注意喚起を出している。人通りの多い中心部でも、スマホや財布の管理、客引きへの対応には注意したい。

2024年6月の邦人刺殺事件

2024年6月4日の午前11時頃、1区のタイバンルン通りで、36歳の日本人男性が刃物で刺されて死亡する事件が発生した。容疑者は逮捕されている。

在ホーチミン日本国総領事館の2026年の安全対策情報では、この事件以降、同種事案の連続発生はないとされている。過剰に恐れる必要はないが、挙動不審な人物や路上のトラブルには近づかず、その場を離れるのが基本だ。

事件の詳細や治安全体の話は、ホーチミンの治安記事で詳しく書いている。

夜間のトラブル類型

レタントン周辺で特に意識しておきたいのは次の4点だ。

  • バーの高額請求|ヘムの客引きに連れて行かれた店で、会計時に桁違いの額を請求される
  • 強引な客引き|日本語で話しかけてきて、断っても袖を引かれる
  • スリ|バッグや財布、スマホが狙われる。夜の人混みで特に多い
  • 偽タクシー・偽Grab|酔客が狙われやすい時間帯に横付けしてくる

対策は、客引きに応じない・現金やスマホを不用意に見せない・カード決済は金額を確認する・深夜の人通りが少ない路地を避ける、の4点を基本にしたい。

現金の持ち歩きを減らす両替のしかたは、別記事にまとめている。

よくある質問(FAQ)

Q. ホーチミンの日本人街はどこですか?

1区のレタントン通りと、そこから直角に伸びるタイバンルン通りが交差する一帯。レタントン通り全体(全長約2.3km)が日本人街というわけではなく、その中間にある数百メートルの区画に日系の店が集中している。Grabやタクシーで向かうなら、行き先は「サイゴンスカイガーデン」と告げれば日本人街の中心に着く。

なお、ベトナムの日本人街はホーチミンだけではなく、ハノイにはバーディン区のリンラン通りがある。レタントンが駐在員と出張者向けの飲み屋街の密度で知られるのに対して、リンランは600mほどの短い通りに日本料理店・居酒屋・カラオケ・マッサージ店が集まる、より小ぶりなエリアだ。

Q. レタントンは日本語だけでも大丈夫ですか?

日系の飲食店やホテルでは、日本語が通じる店や日本語メニューのある店が多い。ただし、ローカルの飲食店や移動時には日本語が通じないこともあるので、簡単な英語や翻訳アプリがあると使いやすい。

Q. 昼と夜、どちらに行くのがおすすめですか?

昼と夜の違いを見たいなら、昼のランチタイムと、夜の夕食時間帯で分けて歩くと、昼と夜の違いを両方見られる。昼はラーメンや定食、夜は居酒屋や提灯の灯るヘムが目立つ。観光の途中に昼食で立ち寄り、夜にもう一度夕食で戻る動線も組みやすい。

Q. 日曜日でも店は開いていますか?

多くの店は日曜も営業している。ラーメンの一風堂・一番軒・ITTOU、居酒屋のかむらや松木は年中無休で、日曜も通常どおり開く。この記事で挙げた中で日曜を定休にしているのは、岐阜屋と鳥匠の2軒。日曜の夜に焼き鳥や定食を目当てにするなら、行く前にGoogleマップで営業時間を見ておきたい。

Q. 女性一人でも歩けますか?

昼はオフィス街や飲食店の利用客で人通りがあり、比較的歩きやすい。夜もメインのレタントン通りやタイバンルン通りには人が多いが、深夜のヘムの奥や人通りの少ない路地は避け、帰りはGrabなどで移動するのが安心だ。スマホや財布は路上で不用意に出したままにしない。

Q. ガールズバーやカラオケなどのナイトスポットの雰囲気は?

ヘムには日本語で呼び込みをするガールズバー、カラオケラウンジ、スナック風の店もある。店によって料金体系が異なるため、利用する場合は店名と料金システムを事前に確認し、路上の客引き経由ではなく目的の店へ直接向かうのが基本だ。

Q. マッサージはどこで受けるのが安心ですか?

料金が明示された明朗会計の店を選ぶのが基本。日系ホテル東屋のマッサージは宿泊客でなくても利用でき、初めてでも入りやすい。アオザイマッサージなど日系の店も多いが、路上の客引き経由ではなく、口コミで料金を確認して直行するのが安全だ。詳しくはホーチミンのマッサージ完全ガイドを参照。

Q. 客引きにしつこく声をかけられたらどうすればいい?

基本は無視して歩くのが一番。目を合わせず、相手にせず、早歩きで通り過ぎる。日本語で話しかけられても返事をしない。強引に袖を引かれた場合は、はっきり「No」と言って振りほどく。それでもついてくるようなら、明るい場所や人通りの多い通りに出る。店を探すなら、事前にGoogleマップで調べて目的の店に直行するのが、客引きを避ける最も確実な方法だ。

Q. 2024年の邦人刺殺事件の現場はどこですか?

タイバンルン通りで発生した。2024年6月4日の午前11時頃の事件で、容疑者は逮捕されている。事件の詳細とホーチミン全体の注意点は、ホーチミンの治安記事で詳しく扱っている。

Q. タイバンルン通りとレタントン通り、どう違うのですか?

物理的に別の通りだが、実質的にはひとつのエリア。レタントン通りは東西に走る幹線道路で、タイバンルン通りはそこから直角(南北方向)に伸びる細い通り。2本の通りが交差する一帯が「日本人街」と呼ばれている。現地の日本人の間では両方をまとめて「レタントン」と呼ぶことも多いが、地図上では別の通りなので、店を探すときは住所まで確認したい。

Q. ホテルはこのエリアに泊まるべきですか?

日本食と日本人コミュニティの雰囲気を重視するなら便利。東屋をはじめ日本人向けの中級ホテルやサービスアパートメントが複数ある。ただし観光メインで回るなら、ドンコイ通りやグエンフエ通り周辺のホテルの方が観光スポットへのアクセスが良い。詳しくは上の「レタントンのホテル」の項を参照。

Q. ファンビッチャン通り(第二の日本人街)との違いは?

ここ数年、ビンタン区のファンビッチャン通り(Phạm Viết Chánh)も「第二の日本人街」と呼ばれている。レタントンが居酒屋や夜の店まで密集する中心部の日本人街なのに対して、ファンビッチャンは日本食レストランやカフェが集まる、より落ち着いた雰囲気のエリアだ。ランドマーク81のあるエリアにも近い。詳しくは別記事で扱う予定なので、ここでは概要のみに留める。

まとめ|レタントンは「歩いて理解する」街

レタントン通りを一言で表すなら、「日本とベトナムがひとつの路地に同居している街」だ。

昼は日本食ランチの街、夜は提灯とネオンが灯るヘムの街。同じ場所でも時間帯で雰囲気が変わる。日本食を食べに来るだけでも使いやすく、夜のヘムやマッサージまで回るとレタントンらしさがさらに分かる。

歩く上では、「客引きに応じない、カード決済は金額を確認する、深夜の人通りが少ない路地を避ける、店は事前に調べて行く」の4点を基本にしたい。

ホーチミンに数日滞在するなら、レタントンは一度は足を運ぶ価値がある。「日本人街」という名前から受ける印象以上に、この街は立体的で、複雑で、歩いていて飽きない。提灯の灯りと客引きの声と焼き鳥の匂いの中を、自分のペースで歩いてみてほしい。

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編集者

ベトナムに魅せられた東京出身の経営者。数字よりも人の営みに惹かれ、現地のリアルを言葉で伝えている。

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