ハノイの線香村クアンフーカウ|行き方・入場料・見どころ【2026年版】

文化・歴史

SNSで見かける、赤い線香が一面に敷き詰められたあの写真。ハノイから35km離れたクアンフーカウ村(Quảng Phú Cầu)で撮られたものです。

行ってみて分かったのは、あの景色が広がっているのは村の一角だけだということでした。この記事では、料金を払う場所と払わなくていい場所、どれくらい時間がかかるのかを、2025年10月に実際にまわって確かめたことから書きます。

この記事の金額は2026年9月時点のものです。円換算は1万ドン=約60円で計算しています。

クアンフーカウ線香村の撮影スポット。赤い線香が敷き詰められ、黄色い星の模様が作られている

線香村(クアンフーカウ)とは|ハノイから南に35km

クアンフーカウはハノイ市ウンホア地区にある村で、100年以上前から線香の軸(竹ひご)を作ってきました。ここで作られた線香は国内だけでなく、中国、インド、マレーシアなどにも出ています。

線香作りはもともとフールオントゥオン集落だけの仕事でしたが、そこからダオトゥー集落、カウバウ集落へと広がり、いまは村全体が線香の産地になっています。

数年前から、赤く染めた線香を扇のように広げて並べた写真がSNSで広まり、撮影目的の来訪者が増えました。いまは観光の受け入れ場所が用意されていて、外国人観光客のほうが多い状態です。

撮影スポットは2か所ある|ディンバウとチュアモイ

まず知っておきたいのが、写真を撮る場所は村の中に2か所あるということです。

  • ディンバウ(Đình Bầu):カウバウ集落。村の集会所(亭)の前。空間が開けている
  • チュアモイ(Chùa Mối):ダオトゥー集落。お寺の境内。撮れる場所が多い

2か所は約550m離れているので、両方まわることもできます。料金はどちらも同じです。

今回行ったのはディンバウのほうです。Googleマップで「クアン・フー・カウ 線香工芸村」を目的地にすると、こちらに着きます。住所はĐ. 429, Cầu Bầu。

赤い線香の中に緑の道が作られた撮影スポットを歩く人

亭の門を背にして、赤い線香が地面を埋め、その中に緑の道が曲がりくねって作られています。星や花の模様が色違いの線香で描かれていて、撮るために作られた場所だとひと目で分かります。

撮影スポットの脇に何台も並べて置かれた銀色の脚立

脇には銀色の脚立が7、8台立てかけてあります。上から全体を入れて撮るための道具で、誰でも使えるように置いてあります。ノンラーや扇子、椅子も貸してくれます。

料金は1人50,000ドン|払う場所と、払わなくていい場所

撮影スポットの受付テント。扇風機と飲み物のケース、線香の商品が並ぶ

料金は1人50,000ドン(約300円)。青いテントの下が受付で、ここで払います。テントは受付だけでなく、飲み物と線香の販売も兼ねていました。

その日のうちなら何度でも撮り直せます。アオザイなどの衣装を借りる場合は別途100,000ドン前後です。

払うのは撮影スポットに入るときだけです。村の道を歩くのは無料です。線香を干している家の前を通ったり、村の中を散策したりするのにお金はかかりません。場所によっては100,000ドンを取るところもあるので、入る前に金額を確かめてください。

ハノイからの行き方

中心部から35km、車で1時間ほどです。郊外なので、帰りの足をどうするかまで決めてから出るのが要点になります。

貸切チャーター(ドライバー付き)

いちばん確実なのがこれです。4時間・8時間といった時間制で、行き先を伝えて見積もってもらう形の手配があります。

料金が距離ではなく行き先と時間で決まるので、郊外を往復しても金額が事前に確定します。日本語で相談できる手配もあります。事前の予約と問い合わせが必要になるぶん、当日に呼ぶ手軽さはありません。

Grabの時間貸し

Grabのアプリにも時間単位で車とドライバーを借りるメニューがあり、燃料代とドライバー代が含まれています。2026年9月にアプリで確認したところ、4時間547,000ドン(約3,300円)、6時間756,000ドン(約4,500円)と表示されました。料金は利用時のアプリ表示を確認してください。

時間貸しには走行距離の上限があります。ハノイでは2時間30km、4時間60km、6時間90km、8時間110kmと決まっていて、超えた分は1kmごとに11,782ドンが加算されます。村までは片道約35km、往復で約70km。4時間プランの60kmでは足りません。往復するなら6時間プラン(90km)を選ぶほうが確実です。

路線バス91番

安く行くならイエンギア(Yên Nghĩa)バスターミナル発の91番です。クアンフーカウ村付近の停留所で降りて、そこから村までは徒歩数分から10分ほどです。

イエンギアはハノイメトロ2A号線(カットリン〜ハドン)の終点でもあるので、旧市街からメトロでイエンギアまで行き、91番に乗り換えるという組み立てができます。降りる停留所が分かりにくいので、乗る前にGoogleマップで経路を出しておくと安心です。

道は国道21Bから省道429号

車でもバイクでも、中心部から国道21Bを南下して省道429号に入る一本道です。信号の少ない広い道なので、時間は読みやすいほうです。

日本の免許ではベトナムでバイクを運転できません。日本の運転免許はベトナムでは無効で、日本で発行された国際運転免許証も使えません。加盟している条約が日本とベトナムで違うためです。ベトナムの免許に切り替えられるのは3か月以上滞在する人に限られるので、短期の旅行ではチャーターかGrab、バスを使ってください。

所要時間|撮影スポットは15分、村を歩くと30〜40分

撮影スポットそのものは、15分ほどで見終わります。脚立に上って構図を決め、何枚か撮って、模様の周りを一周する。それで終わりです。衣装を借りるならもう少しかかります。

35km走って15分、と聞くと割に合わないように思えますが、時間の使いようは撮影スポットの外にあります。村の道を歩いてまわると、そこから30〜40分は使えます。

往復の移動を入れると半日の予定になります。Grabの時間貸しなら6時間プランを取っておくと、距離も時間も余裕があります。

撮影スポットの外|色を付ける前の線香と、牛

撮影スポットを出て村の道に入ると、景色が変わります。

生成りの線香の材料が両側に干された村の道を歩く2頭の牛

道の両側に、色を付ける前の生成りの束が延々と立てかけて干してあります。赤く染めたものではなく、割った竹をそのまま干している段階のものです。その道を牛が歩いています。

干し場の脇の草地で餌をついばむ鶏

脇の草地では鶏が餌をついばんでいます。撮影スポットのように整えられてはいませんが、村が実際に線香で動いていることが見えるのはこちら側です。

緑色の袋を山積みにして村の通りを走る三輪トラック

通りには、緑の袋を山積みにした三輪トラックが走っています。線香の材料や製品を運ぶ車で、村のあちこちで見かけます。

村の道は舗装されていますが、雨のあとは水たまりが残ります。歩きやすい靴で行くと動きやすいです。

村を歩いていて起きたこと

撮影スポットを出て、ノンラーだけかぶって村を歩いていました。男2人です。地図に出ていた村の外れの寺まで行ってみるつもりでした。

途中、道端で村の男性が5、6人集まって話しているところを通りました。まだ昼過ぎでしたが、明らかに酒が入っていました。通りすがりに「どこから来た」と聞かれたので「ジャパン」と答えると、笑いながら何か言っていました。

しばらく歩いていると、その中の1人がバイクで追いかけてきました。何か言っているのですが分かりません。寺に行くところだと身振りで伝えると、乗れ乗れと手で示されました。3人乗りで寺まで運んでくれました。

門が閉まっていた村の寺。オレンジと赤に塗られた門と仏旗

着いた寺は門が閉まっていました。そのおじさんは周りの人に声をかけて、なぜ開いていないのかと熱心に聞いてまわってくれましたが、結局開きませんでした。

戻ろうとすると、また乗れと言われました。今度は村の売店に連れて行かれ、ココナッツジュースをごちそうしてくれました。そのうち雨が降ってきて、カッパを2つ買ってくれました。お金を渡そうとしても受け取りません。

村の売店でごちそうになったココナッツジュース

翻訳アプリを向けても「いい、いい」と手で断って、最後までベトナム語で話し続けていました。言葉はひとつも通じていません。それでも、寺が閉まっていたことを一緒に残念がって、雨が降ったらカッパを買ってくれる人がいる。そういう村でした。

いつ行くか|天気と時期

線香を干すのは晴れた日です。曇りや雨の日は干す量が減るので、行く前に天気を確認してください。

撮影スポットの赤い模様は常設で並べてあるので、雨上がりでも色は出ています。ただし村の道の干し場は天気に左右されます。今回は曇りで路面が濡れていましたが、生成りの束は干されていました。

村がいちばん忙しいのは旧暦11月から12月のテト前で、生産の最盛期にあたります。旧暦なので、西暦では年によって時期がずれます。写真を撮るなら光がしっかりある乾いた季節が向きます。

朝の7時から9時ごろは光がやわらかく、人も少ない時間帯です。逆に日中は日陰がないので、帽子と水があると楽です。

ハノイ近郊のほかの村と比べて

ハノイの近郊には、ほかにも職人の村があります。

バッチャン村は陶器の村で、中心部から南東に13km。店と市場と博物館があり、買い物をする場所として時間が使えます。ダーシー村は包丁とハサミの鍛冶の村で、こちらは工房で仕事を見る村です。

線香村はこの2つと比べると買う場所や見学する施設が少なく、写真を撮る村という性格がはっきりしています。何を目的に行くかで、選ぶ村が変わります。

よくある質問

入場料はいくらですか?

撮影スポットが1人50,000ドン(約300円)です。その日のうちなら何度でも入れます。衣装のレンタルは別で100,000ドン前後。村の道を歩くだけなら無料です。

撮影料は別にかかりますか?

別料金はありません。50,000ドンに撮影が含まれています。ただし場所によっては100,000ドンを取るところもあるので、入る前に確認してください。

ハノイからどうやって行きますか?

車で1時間ほどです。時間制の貸切チャーターを手配するか、Grabの時間貸しを使います。安く行くならイエンギアバスターミナルから91番のバスで、クアンフーカウ付近の停留所で降ります。

Grabの時間貸しは何時間で取ればいいですか?

往復で約70km走るので、60kmまでの4時間プランでは超過分が加算されます。90kmまでの6時間プランを取っておくと距離を気にせずにすみます。

何時間みておけばいいですか?

撮影スポットだけなら15分、村を歩くところまで入れて30〜40分です。往復の移動を含めると半日みておくと余裕があります。

開いている時間は決まっていますか?

Googleマップの表示は24時間ですが、受付に人がいる時間帯に行くのが確実です。日が出ている時間に合わせて行けば問題ありません。

線香は買えますか?

買えます。受付のテントで販売しています。

子ども連れでも大丈夫ですか?

広場は平らで歩きやすい場所です。ただし日陰がなく、村の道には車やバイクが通ります。手をつないで歩ける年齢なら問題ありません。

おわりに

線香村は、ハノイから片道1時間、入場料50,000ドン、撮影スポットは15分で見終わる場所です。写真を撮りに行く村だと分かったうえで行けば、期待とのずれは起きません。

そのうえで、村の道は無料で歩けます。色を付ける前の線香が干された道を牛が歩いていて、三輪トラックが荷を運んでいる。撮影スポットの写真だけでは分からない村の姿は、そちら側にあります。

車を6時間押さえておけば、その両方に時間を使えます。

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エンジニア

幼少期をアメリカで過ごし、現在は世界を転々としながらコードを書くノマドエンジニア。

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